「一寸の虫にも五分の魂」とは?基礎知識を解説
「一寸の虫にも五分の魂」の読み方は「いっすんのむしにもごぶのたましい」です。「虫」と「魂」の部分だけが訓読みされており、それ以外の漢字は音読みで読まれています。「一寸の虫にも五分の魂」という言葉は弱者を見下す人に対して注意する際などに使える言葉です。
はじめに、「一寸の虫にも五分の魂」という表現の詳しい意味や由来、使い方、例文、使う際の注意点について、詳しくチェックしていきましょう。
どんな弱小なものにも意地や考えがあること
【一寸(いっすん)の虫にも五分(ごぶ)の魂】
どんな弱小なものにも、それ相応の意地や考えがあって、ばかにしてはいけないということのたとえ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「一寸の虫にも五分の魂」とは、どんな弱小なものであっても意地や考えがあるという言葉です。「一寸の虫」は弱くて小さいもの、または地位の低いものを表しています。「一寸」とは尺貫法の単位であり現在でいう約3cm、「五分」とは一寸の半分にあたる約1.5cmを指すものです。
つまり、小さな弱いものでもその半分は心や精神、意地が詰まっているため、侮ってはならないという戒めを表現しています。
ことわざの由来は諸説ある
ことわざの由来は諸説ありますが、語源としてとくに有力視されているのは北条重時の『極楽寺殿御消息』からきているという説です。
北条重時は鎌倉時代に執権の補佐などをおこなっていた人物で、『極楽寺殿御消息』とは「ごくらくじどのごしょうそく」と読み、武士の心構えを説いた書物でした。そのなかでは「たとへにも一寸のむしには、五分のたましゐとて、あやしの虫けらもいのちをはをしむ事我にたかふへからす」と書かれています。小さな虫であっても命の大切さは人間とかわらないという意味です。
また、近松門左衛門の浄瑠璃『天智天皇』にも、「一寸の虫に五分の魂」に関するくだりがあります。
「一寸の虫にも五分の魂」の使い方
「一寸の虫にも五分の魂」という言葉の使い方は、「一寸の虫」にたとえている側が誰なのかによって意味が異なる点に注意が必要です。
だれかに対して一寸の虫とたとえた場合、「どんなに弱い小さなものに対しても馬鹿にしてはいけません」という忠告のためのメッセージとして使用されます。また自分のことを一寸の虫にたとえた場合は、相手のほうが自分よりも強い力があるとわかっており、それでも自らの意地を見せようと奮い立たせている文章です。
このように、一寸の虫としてたとえられる相手によって、「一寸の虫にも五分の魂」ということわざの意味合いが異なります。実際に使う際には、十分に注意しましょう。
「一寸の虫にも五分の魂」の例文
あわせて、「一寸の虫にも五分の魂」を使った例文もチェックしていきましょう。
・年下だからといって侮っているといつか痛い目を見るかもしれませんよ。【一寸の虫にも五分の魂】といいますしね。
・【一寸の虫にも五分の魂】というし、あまり油断しないようにしましょう。
・試合で一回戦目から強豪校にあたってしまったが、【一寸の虫にも五分の魂】だ。意地を見せてやろう。
・次の面接は倍率が高い大企業だが、【一寸の虫にも五分の魂】という気持ちで頑張ってみよう。