小4と小6の子どもがいます。
もうじき夏休みが始まるにあたり、夏休みの宿題のことが今から心配です。特に自由研究と読書感想文は例年、子どもがやるというよりも親がやっているのではないかと思うぐらいで、つらいものがあります。
この先まだ4年も同じ夏がやってくるのかと思うとうんざりします。どのように乗り切っていけばいいでしょうか。
(仮名:高橋さん)
【目次】
親にとっても大きなストレス…
子どもたちにとっては嬉しい夏休みも、親たちにとってはつらい期間であるかもしれません。マイナビニュースが母親112人を対象に行った「夏休み中のお母さんのストレス解消法」の調査(2021年)では、約86%の母親が「ストレスがたまったりすると感じることがある」と回答しています。食事を3食用意することや子どもの生活態度が気になることが理由として挙げられています。
こうした状況に加え、親が子どもの夏休みの宿題を手伝うこともストレスの元になっていそうです。
株式会社イオレが小学生の子がいる世帯1337人に「夏休みの宿題」について行ったアンケート調査(2021年)では、次のような結果が出ています。
・夏休みの宿題で最後まで残りがちなもの 1位 読書感想文 2位 自由研究
・親が手伝う宿題 1位 自由研究 2位 読書感想文
また、ベネッセによる夏休みの宿題調査(小1〜小6の保護者720人対象、2016年)でも、子どもに取り組ませにくい宿題は、第1位が「読書感想文」、第2位が「自由研究(調べ学習・レポート)」となっています。
自由研究と読書感想文は、親の手が必要なものとなっていることが伝わってきます。
この2つは、そもそも子どもたちが、どう取り組んでいいかわからないタイプの宿題ではないかと思います。場合によっては親にもよくわからないかもしれません。
特に自由研究は、自由と言われると何をしていいかわからなくなりがちです。まずはネットで「夏休みの自由研究」と検索する人も多いかもしれませんが、たくさんテーマの例は出てくるものの、取り組み方までは書かれていません。自由研究にしても読書感想文にしても、本来は宿題を出す学校側が取り組み方、書き方を教えてしかるべきですが、現実はそうではないことが少なくありません。
そこで、今回と次回の2回にわたり「自由研究の取り組み方」と「読書感想文の書き方」についてお伝えします。今回は、「自由研究の取り組み方」です。
自由研究はそれこそ自由であるため、こうでなければならないというものはありませんが、可能であれば意味があるものにしたいですね。そこで、子どもの探究心を深め、論理力向上につながる「調べ学習」の自由研究について取り上げますので、よければ参考にしてみてください。
(1) 子どもが主体的にテーマを設定する
(2) 3つの「なぜ?」を作る
(3) 「なぜ」を調べる
(4) フォーマットに合わせて書いていく
この4つの手順に沿ってやっていきます。
(1)子どもが主体的にテーマを設定する
子どもが主体であってほしいものですが、現実的には親主体でやらざるをえない状況になっているかもしれません。
例えば、「どんなテーマにしたい?」といきなり子どもに問いかけても「特にない」等と返ってくることがあります。
もともと研究したいテーマがある子はそのテーマで行えばいいでしょうが、そうではない子もいます。
そこで、次のような方法で、子どもが主体的にテーマを決められるようサポートします。
「親が選択肢をいくつか提示し、子どもがそこから絞り込む」
テーマがなかなか思い浮かばない子でも、選択肢を出して、そこから選んでいく方法をとると、比較的興味のあるものがおのずと見えてきます。
例えば学校の科目を選択肢にすることもできます。「国語系、算数系、理科系、社会系、音楽系、図工系、体育系」の中から、どの科目に関することをやりたいか選択します。
その後、ネットでその科目のテーマ例を検索していきます。「自由研究、歴史、テーマ」とキーワードを入れるなどです。そして、出てきた複数のテーマ例から子どもが選択するという流れです。
何もないところから、テーマを捻り出すのは大変です。テーマはネットからヒントを得てもいいと思います。大切なことは、子どもが主体的に選択することです。
(2)3つの「なぜ?」を作る
テーマが決まったら、次に「問い」を作っていきます。子どもに「3つのなぜ」を何にしようか、聞いてみてください。出てこない場合は、イメージできるようにいくつか例を挙げてみます。
例えば、歴史で城をテーマにするのであれば、「なぜここに城が建てられたのか?」「なぜこの城は今まで残ったのか?」「なぜ小さい城にしたのか?」などです。
このように具体的な例をいくつか出すと子どもはイメージを浮かべやすくなります。もともと、比較的興味関心のあるテーマを設定しているはずですから、「なぜ?」は出やすいはずです。
(3)「なぜ」を調べる
次に、調べる段階です。できれば図書館に行って本を何冊か借りてきます。そして不足分はネットで調べてみます。アナログとデジタルを両方使うことで子どもは調べ方の多様性を知ることができます。
「本で調べてみて、城がここに建てられた理由はわかったけど、なぜ今まで残ったのかわからない」ということであれば、ネットで調べたり、博物館に出かけて展示物を見たり学芸員さんに質問するなどして深掘りすることもできます。
調べた結果、疑問が解消されないこともありますが、それでも問題ありません。調べるというプロセスこそが大切であり、結果は二の次と考えておくといいでしょう。実際、論文を書くような学者でもわからないことは、「残された課題」として最後に記述していることがあります。
(4)フォーマットに合わせて書いていく
以上、調べる段階が終了したら、次のフォーマットに合わせて書いていきます。
①テーマ
先ほど出した「3つのなぜ」をまとめてテーマとします。例えば、前述のお城のケースであれば、「〇〇城の3つの謎」とします。そしてそれをテーマに選んだ理由を書きます。例えば、「幼稚園のとき、おじいちゃんに連れて行ってもらった〇〇城からお城に興味を持った」「〇〇城だけ他のお城と✕✕が違うことに興味を持った」などです。
②調べ方
いつ、どのように調べたのかを書きます。
③調べてみてわかったことや、要約や、まとめ
「3つのなぜ」を書き、それを調べてわかったことを書きます。図や写真、イラストも入れていきましょう。それらが入ると楽しく取り組めて、見る人にも伝わりやすくなります
要約部分ですが、まとめることができなければ、「この自由研究で、要するに何がわかったの?」と問いかけてみてください。するとまとめることができます。
④残された課題
今後の疑問について、次につなげたい問いを書きます。「次は〇〇についてもっと調べてみたい」など、今後の課題を書きます。
⑤出典
いわゆる参考文献です。その他、協力者や調査場所を明記します。
以上、このようなフォーマットに沿って書いていくと構造的になり、それらしく、またわかりやすくなります。また論理的に組み立てることになるため、国語の文章読解力の向上にもつながったりします。
以上のようなプロセスを一度経験すると、来年の自由研究も同じプロセスでやるだけですから、子どもが自分で自由研究を自主的に行うことができるかもしれません。
このようにして、夏休みの課題を、毎年の「親の悩みの種」にするのではなく、「子どもの探究心と論理力がつく機会」と捉えてみると、自由研究は親子にとっての有益な時間になると思います。
東洋経済オンライン
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