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2022.07.29

寝る前の「5分間暗記」が試験勉強に効果的なワケ|とにかく暗記する!というクセから抜け出す

 

新型コロナウイルスの感染拡大により、景気が後退。今後の雇用やキャリアに不安を感じて、仕事に役立つ資格取得を目指す人が増えました。しかし、昔より記憶力が低下していたり、そもそも勉強の仕方がわからなかったり、大人になってからの勉強はなかなか難しいもの。ブログ「弁護士公認会計士jijiたんの勉強方法ラボ」で人気を集める、平木太生さんの『図解でわかる 試験勉強のすごいコツ』の一部を抜粋・再編集し、資格試験に合格するためのコツを紹介します。

世の中には、様々な記憶法が出回っています。まず、細かい記憶法を学ぶにあたって、絶対に知っておいてほしい考え方があります。それは、「理解なき暗記は有害無益」という考え方です。私もある予備校の講師から、この考え方を教わったのですが、本当にどの勉強も、結局はこの考え方に尽きます。

試験勉強というと、なぜか「とにかく暗記」と考えてしまう人が多くいます。しかし、試験は、暗記力を競う暗記大会ではありません。試験勉強で大事なのは、しっかりとした「理解」です。理解をしたうえで、その理解を人に説明できるように(=答案で表現できるように)「記憶」するのが勉強の目標です。

試験において、最終的に覚えることは重要ですし、最低限の記憶は必須です。でも、「単純暗記」は有害です。なぜなら、単純暗記した知識は応用がきかないからです。知識を単純暗記しても、「なぜ、そのようになっているのか?」「どこが重要なのか?」が理解できていないので、少しひねった問題が出題されると、的外れのトンチンカンな解答をしてしまいます。

一方、理解を伴う記憶であれば、そうはならないのです。「勉強=暗記」という考えは、すぐに捨てましょう。理解なき暗記は有害無益(図①-1、本書P.79より)

記憶の本質は「理解+反復」

私が長い期間勉強をして、各種試験に合格した結果、記憶(暗記というと、単純暗記の要素が強いので私は「記憶」といいます)の本質に気づきました。記憶の本質は「理解+反復」です。

まず、しっかりと「理解」をすることです。「なぜ、そのような制度になるのか?」「なぜ、そのような法則が導けるのか?」などをしっかり理解します。例えば、数学の公式を単純に覚えるのではなく、多少時間はかかっても、その公式を導けるようにしておくほうが実践的です。

次に、理解したことを何度も「反復」することです。皆さんも私も、1回で覚えられるような天才ではありません。何十回、何百回と反復することで、やっと脳が「これは重要な知識なんだ」と察し、記憶に残っていくのです。

理解をして、反復する。その結果、瞬時に答えが出てくる、というのが理想的な記憶です。そうなっていれば、応用問題が出題されたとしても柔軟に対応することができます。

人間は1時間で56%、1日後で74%忘れる

繰り返しますが、人間は知識を1回で覚えることなどできない生き物なので、何度も復習が必要です。では、その復習はいつ、何回やるべきなのでしょうか?

この問題に答えるときにヒントとなるものとして、「エビングハウスの忘却曲線」という有名な研究結果があります。少し古い研究にはなりますが、心理学者のヘルマン・エビングハウス氏が、人間の記憶の構造を研究した結果です。同氏は、被験者に無意味な音節を記憶させ、時間の経過とともにどれだけ忘れるかを数値化しました。その結果が以下のグラフです。

エビングハウスの忘却曲線(図①-2 本書P.81より)

どのタイミングで復習をすべきか

このグラフが、エビングハウスの忘却曲線といわれている曲線です。この研究結果によると、一度覚えたものでも、人間はわずか20分で42%を忘れ、1時間で56%を忘れ、1日後には74%も忘れるということになります。

エビングハウスの忘却曲線からは、「いつ、どのタイミングで復習をするべきか?」ということがわかります。エビングハウスの忘却曲線によれば、人間の記憶力など大したものではないことがわかりますが、「しっかりと復習をすることで記憶保持率を上げることができる」ともいわれています。適切なタイミングでしっかり復習をすることで、やっと記憶に残るのです。

適切なタイミングについては、日本を代表する脳科学者で、様々な勉強法に関する書籍も執筆されている池谷裕二氏が著書『だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法』(ライオン社)の中で、「1日後・3日後・7日後・21日後・49日後」と書かれています。つまり、徐々に復習の感覚を伸ばしていくのが一番脳に残りやすい、ということです。

記憶が定着しやすい「寝る前5分」のゴールデンタイム

(図①-3 本書P.85より)

ゴールデンタイムは1日5分

繰り返しますが、ゴールデンタイムは1日5分しかありません。でも、365日続ければ365個の知識を記憶することができます。まさに、「塵も積もれば山となる」というもので、365個も記憶できれば、かなりの知識を蓄積することができます。なお、記憶のゴールデンタイムとはいえ、100%覚えられるわけではないので、期待はしすぎないでください。

人間は忘れる生き物です。何度忘れてもいいので、何度も何度も、色々な方法で記憶を繰り返し、そうして、やっと試験で使える記憶になっていくのです。

厳しいことをいいますが、この寝る直前の5分すら勉強ができない人は、受験に対する意識が低すぎます。

どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、寝る前の5分は必ず勉強できるはずです。寝る前の5分が記憶に残りやすいと理解できたら、その日から試験に合格して受験が終わるまで毎日、必ず寝る前の5分を記憶の時間にしてください。

『図解でわかる 試験勉強のすごいコツ 誰でも短期間で合格できる50のテクニック』(日本実業出版社)

弁護士・公認会計士

平木 太生

弁護士・公認会計士。法政大学3年時に公認会計士試験に一発合格。監査法人に4年勤務後、2012年に司法試験の勉強を開始。予備試験に一発合格し、2016年司法試験合格。試験勉強中の日々を綴ったブログが人気となり、アクセスランキング上位に。ブログ月間PV数30万突破を記録する。現在は湊総合法律事務所で弁護士として勤務する傍ら、ラインスタンプを発売するなど、多方面で活躍中

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