「空手」で社会性・しつけの基本が身につく
子供の習い事として人気の高い空手。今では、男女問わず、小さいころから子供に空手を習わせる方が増えています。では、幼少期に空手を習うことで、どのようなメリットがあるのでしょうか？ 「キッズにやさしい空手教室」代表 浜井美香さんに教えていただきます。
親が未経験だと、空手を習い事にするというイメージがわかない方も多いと思います。ズバリ「空手を習う」というのはどういうことでしょうか？
「身体能力はもちろんのこと、社会性、しつけが身につきます。とくに多くの空手道場では『挨拶』『道着をたたむ』『靴を並べる』など、しつけの基本的なことを伝えてくれます。お家で身につけてほしいけれど、お母さんお父さんが伝えても、なかなか話を聞いてくれない…そういったことを、空手の先生も一緒に伝えてくれます。またしつけは、無意識の習慣を身につけるということ。年齢に比例して習慣化しやすいので、幼少期に始めることがベストです」（キッズにやさしい空手教室代表 浜井美香さん 以下同）
具体的には何歳くらいからはじめるとよいのでしょうか？
「子供の脳の9割は6才までに完成すると言われています。言葉をしっかり理解できる4才くらいから、脳が完成する前の6才の間に始めるのがおすすめです」
しつけのほかに、空手を習うことでどのような成長を期待できますか？
「まず、体と精神の２つの面があります。体に関しては、脳と神経の連動に効果的。先生の動きをまねするだけでなく、先生の伝えた技を、子ども自身で判断して動作を行います。受け身だけでなく、主体的に行う動作が多いので、脳に大きな刺激を与えます。また、空手は裸足で行いますが、足裏への刺激は、脳の神経系統の発達を促進すると言われているので、身体能力だけでなく、学習能力やコミュニケーション能力の向上も期待できます。
精神面では、正座をして先生のお話を聴く、返事をすることから始めます。特にお話を聴くこと（傾聴する）で、忍耐力を養えます。ぴょんぴょん飛び跳ねたり、ふわふわしていると先生がきちんと叱ってくれるので、初めは落ち着きのなかった子供も、自然と人の話を聞くことができるようになるようです。
最後に、社会性の一つとして、『遊びと学び時間』のメリハリをつけることも学べます。『遊んではダメ、ではなく、空手の時間は空手に集中する』ことや、『友達のようにお話していても、稽古が始まれば先輩後輩』だということもしっかり伝えてくれます。このメリハリを付ける能力は空手だけでなく、（受験）勉強でも重要になってきます」
空手というと、「元気な子」「運動が好きな子」が向いているように思えますが、人見知りだったり運動が苦手な子供でも通えますか？
「世間では『空手は強い』印象があると思いますが、子供の性格が、内向的や消極的だからという理由で、空手を諦めないでほしいと思います。空手は個人競技でもあるので、実は1人遊びが好きな子にも向いています。また、空手は運動が苦手でも、コツコツ続ければ、必ず成果に繋がる競技。なぜなら、空手には、基本、移動、型、組手など体の使い方が異なる動きが沢山あるからです。たとえば、突きが得意な子もいれば、蹴りが得意な子もいるように、その子の得意な分野が見つかります」
向き、不向きがあまりない習い事なんですね。では、空手を習うにあたり、家でやるべきことや気をつけるべきことはありますか？ 親が未経験者でも大丈夫でしょうか？
「気をつけていただきたいのは、空手の練習を長時間やりすぎないことです。親が熱くなりすぎてしまうと、子供が先に嫌になってしまいます。『練習しなさい』ではなく、『一緒にやってみよう』と、遊ぶように声がけをするのがいいですね。お家での練習は１回5分程度で十分。そして運動能力も大事ですが、まずはしつけの面で、道着のたたみ方や、帯の結び方を一緒にやってみることをおすすめします。子どもの練習になるうえ、親子のコミュニケーションにもなりますので、一石二鳥ですよ」
空手と一言で言っても、さまざまなタイプの教室がありますが、子供に合った教室を選ぶポイントを教えてください。
「まずは空手を習うことで、子供に何を身につけてほしいかを、ご家族である程度決めておくほうがよいと思います。たとえば、体を鍛えさせたい、内気だから積極的になってほしい、活発すぎるのでメリハリをつけさせたい、しつけを身につけさせたいといったことです。その上で、子供と先生（教室）との相性を見極めます。
できれば、SNSやブログで稽古の様子を、日常的に上げている所をおすすめします。教室の雰囲気が子供に合うかもわかりますし、定期的に上げている先生は指導への意欲も高い方が多いように感じます。体験レッスンでは、先生の子供への接し方と上級生（上の帯の子）をよく見るといいと思います。
威圧感がありすぎて、自分の子供が委縮していないか。逆に、元気っ子に対しては、きちんと叱ってくれる先生なのか。また、上の帯の子で、きちんと挨拶ができている子や上手な子がいるか…などです。生徒が多い人気の道場では、先生が全体を把握して、個々人を見てくれているか、なども見るとよいと思います」
運動能力だけでなく、礼儀が身についたり、精神面での成長も期待できるからこそ、今でも人気が高い習い事なんですね。そして、どんなタイプの子供にも挑戦できる、間口の広さも魅力のひとつのようです！
