「由」とは?
元々は酒や汁を出す口の付いた壺や樽、ひょうたんを描いた象形文字。中身を取り出すために狭い注ぎ口の「一点を通過する」様子を表現しています。基本的に「~から出てくる」という意味を含んで、あることが何かから生じた理由という意味です。
古文での意味
古文で用いられる「由」は「よし」と読み、「わけ」「いきさつ」などの他に、様々な意味があります。
1:縁・ゆかり
「平城の京、春日の里に、しるよしして、狩りにいにけり」(『伊勢物語』)
奈良の都の春日の里に領地を所有していた縁があり、鷹狩りに出かけた。
2:情趣・風情
「木立いとよしあるは、何人の住むにか」(『源氏物語』若紫)
木立がたいへん風情があるところは、どのような人が住んでいるのだろうか。
3:手段・方法
「つれづれのながめにまさる涙河袖のみひぢてあふよしもなし」(『伊勢物語』)
降り続く雨にすることもなく物思いにふけっていると、あなたのことがいよいよ恋しく落ちる涙の川は、水かさが増して袖は濡れますがあなたにお会いする方法もありません。
漢字はもともと中国伝来のもの。グローバルな時代を生きる子どもたちは、将来、もしかしたら中国の方と交流することがあるかもしれません。漢字そのものの意味が名前にふさわしくないものだと、恥ずかしい思いをさせてしまう可能性も。古文の意味も含めて知ることで、素敵な名づけにつながるでしょう。
名づけるときの意味
「由」一字の「よりどころ」という意味から、周りの人たちの拠り所となれる存在になってほしい、という願いがこめられます。しかし、「由」を名前に使うときには「由」一字の意味を考えるより、熟語で考えた方がイメージがふくらみやすいでしょう。
1:「自由」
「自由」とは自分の思い通りにできることです。将来、自分の思うことを存分にやる、また、常識や一般論に左右されず、のびのびと羽ばたいていくような人物をイメージできます。
2:「由来」
「由来」とは、ある物事がそこから起こっていること。将来、何かを自ら発信できる子に育ってほしい、という願いも込められそうです。
3:「由緒」
「由緒」とは物事のはじまりから現在に至るいきさつ、立派な来歴という意味があります。歴史の重みが感じられる趣深さもあり、子どもの人生が立派な歴史になるように、という祈りも込めることができそうです。
「由」の持つ意味やイメージを理解して、子どもの成長した姿を想像しながら考えましょう。
「由」の読み方
「由」の読み方は音読みで「ユウ」「ユ」「ユイ」訓読みでは「よし」と読みます。名前では「ゆき」と読むことも。主に「ユ」と読む名前で使われる代表的な漢字です。