「保証」と「保障」の意味
「保証」と「保障」という言葉は、日常生活だけでなくビジネスシーン、保険の契約時などで用いられます。いずれも「ほしょう」と読むため混同しやすく、ふとした場面でどちらを使うのが適切なのか迷った経験がある方は、少なくないでしょう。
保証と保障は、一見すると似ているようで、それぞれがもつ意味や使い方は明確に異なります。ここでは、それぞれの意味を解説していきます。
■「保証」は責任を負い大丈夫と約束すること
保証とは、人物やものに対して間違いがないことを認め、大丈夫だと約束することを意味する言葉です。保証書や保証人、保証金といった言葉があるように、「責任」をあらわすと考えるとわかりやすいでしょう。
大辞泉には以下のように記載されています。
【保証:ほしょう】[名](スル)1 間違いがない、大丈夫であると認め、責任をもつこと。「品質を保証する」「彼の人柄については保証する」2 債務者が債務を履行しない場合に、代わって債権者に債務を履行する義務を負うこと。「保証責任」
■「保障」は被害から保護して守ること
保障は、権利や地位などの今ある状態が損なわれないように守ることを指す言葉です。保障を別の言葉でいい換える場合、「保護」が適切でしょう。安全保障や社会保障、人権保障など、国民の生活や人権を守るための法律や決まりには、保障が用いられます。
こちらも、大辞泉ではどのように意味が書かれているかを見ておきましょう。
【保障:ほしょう】[名](スル)ある状態がそこなわれることのないように、保護し守ること。「国家の安全を保障する」「社会保障」
「保証」と「保障」の使い方
「保証」は、保証書や保証人といったように問題が起きたときに責任を負うという意味で、「保障」は人権保障や安全保障など、なんらかの脅威から守るという意味で使います。ここからは、保証と保障の使い方を例文を交えて解説します。
■「保証」の使い方
なんらかの責任を負う状況で使われるのが、保証という言葉です。たとえば家電の保証書は、その品質に問題がないことを示すもので、購入後に故障や不具合が生じた場合でも保証書があればアフターサービスを受けられることが多いです。
また保証人は、お金を借りた人が当初の契約どおりに返済できなくなった際に、借りた本人に代わって返済する義務を負う人のことを指します。
保証を使った例文を、いくつか挙げておきましょう。
・危険な地域であるため、命の保証はできない
・そのエアコンには、1年間のメーカー保証がついている
・彼女の人柄は、私が保証します
■「保障」の使い方
保障は、脅威や損害などから個人を守り、それらに脅かされずに安定した状態を保持することをあらわします。保障を使った言葉には、社会保障や人権保障などがあります。
社会保障は病気やけが、老齢や失業などによって生活に支障をきたした場合に、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティーネットのことです。また人権保障は、さまざまな脅威から人権やプライバシーが損害されないように守ることを意味します。
保障を使った例文も、確認しておきましょう。
・憲法は、言論の自由を保障している
・老後の生活を保障してくれる制度が必要だ
・手厚い保障を約束してくれる保険を探している
参考:厚生労働省「社会保障とは何か」
:法務省「世界人権宣言」
保険における「保証」と「保障」の使い分け
保証や保障は、保険の契約の場面でも使われる言葉です。はっきりと使い分けされているため、間違えないように注意しましょう。保険における、保証と保障の使い分けをご説明します。
■“年金分野”で使われる「保証」
保証は、個人年金保険で使われることが一般的です。前述のとおり間違いがないことを認め大丈夫だと約束することを意味し、保証期間付終身年金の名称に保証という言葉が使われています。
保証期間付終身年金は、支給開始から一定の保証期間は被保険者の生死にかかわらず給付が保証され、その後は生存を条件に生涯にわたって支給される個人年金保険です。