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LIFESTYLE インタビュー

2023.11.18

【連載/こじらせ男のひとりごと#11】ピース綾部祐二さん「カッコつけても、どこかで笑われてる」のは、わかってます

 

イケてるのにこじらせている大人男子が語る人気連載。今回は、渡米以来沈黙を続けてきたピース綾部祐二さんが、仕事・英語・夢・結婚について語ります! イタいけどかっこいい、綾部さんにしかできない生き方とは。

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「ハリウッドデビューする」という大きな夢をかかげ、アメリカに渡った綾部さん。イタくて結構、こじらせてなんぼ。そんな唯一無二の生き方を語ったエッセイ本『HI,HOW ARE YOU?』も大ヒット。6年ぶりの帰国で語った、ポジティブすぎる「こじらせ論」とは。

語り/綾部祐二(ピース)

スーパーポジティブな僕ですが、自分を客観的に見ることはできるんです

自意識過剰の超ナルシスト。スーパーポジティブで自分が大好き。それが僕です。他人からみたら、「イタい」とか「こじらせてる」ってことになるんでしょうけど、どう思われようと関係ない。どんなにカッコつけてても、どこかで笑われてるんだろうってことも、わかってます。でも、それも本望です。

ポジティブすぎる性格は、
英語を学ぶ上ではデメリットだった

中学・高校のころ、そして芸人になってからも、モテたい、売れたいと思うほど、つい大好きな自分が出てきて、やりすぎて、イタい奴になっている。それが、いつものパターンでした。デートでもずっと自分の夢を語り続けて、いつの間にか相手が引いていて、気がついたときは手遅れ。

綾部さんのバストアップカット

一方、数人の集まりとなれば、有能な仕切り役に転じます。みんなに話を振って、盛り上げて、楽しんでいない人がいないか常に気を配って。ところが、アメリカに行ったとたん、その特技がまったく発揮できない。話を回すどころか、人の話が聞き取れない。聞き返しているうちに、話はもうどんどん進んでる。聞き返すと、「その話、もう終わってるよ」…。場を仕切り、会話を回すのが得意だった僕が、会話の中で迷惑をかける存在になっていたのです。これは、ショックでした。

ただ…。ショックをバネに英語をがんばればいいんだけど、そうはならないのが、僕の悪いところ。ま、しょうがねぇか。よくいえば、とんでもなくポジティブ。でも、このポジティブさが英語の勉強においてはデメリットにしかなりませんでした。英語ができないから、生活で困ることや恥をかくことはたくさんあります。でも、悔しい思いがガソリンとなって頑張る、ということがないんです。それでも、アメリカ生活は十分すぎるほど楽しかったから。あらゆる勉強法を試しましたが、どれも続きませんでした。僕のワイフにも、いまだによく「どうすんの?」って言われてます。

綾部さんの手元

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アメリカに「惚れちゃった」
からしょうがない

渡米するときは、2年たてば自然とペラペラになってるだろうと思っていたけど、とんでもない。今、渡米して6年たち、僕の動画などを見た日本の人から英語が上達したという評価をもらっても、現地ではまだまだ。それは自分がいちばんよくわかってます。ましてや、仕事をする上では、とてもお話になりません。もしも、自分で上手になったなんて勘違いしたら、そこで終わりです。バカがつくほどスーパーポジティブな僕ですが、そんな自分を客観的に見ることはできるんです。

アメリカに渡って、ハリウッドでレッドカーペットを歩くことが目標なのは変わっていません。小さな役で映画に出たりはしましたが、6年経った今でもまだ2合目あたり。日々、「これじゃ、ヤバいヤバい」という焦りと、「まあ、楽しいから、いいっか」という思いが、ごっちゃになって、でも「楽しい」ほうが上回っているという感じです。物価は高いし不便なことも多いけど、この国に「惚れちゃった」んだから、もうしょうがない。どれくらい楽しいかというと、渡米前に予想していた数千兆倍。もしこれで、仕事の夢が叶っちゃったら、その上の単位は何になるんですか? 京(けい)ですか? とんでもないことになりそうです。それには、やっぱり英語力が必要。日本語と同じとまでは言わないけど、その半分くらいは言いたいことが言えるようにならないと。

傘を手にした綾部さん

60歳になるまでは
もがき続けたい

もうひとつ、僕の持論を言わせてもらえば、結婚はしたものの、そこに重きは置いていません。ただワイフは、僕が夢を追いかけていく上で、大きな助けになることだけは確かで、英語を含め僕のできないこと――税金やビザや銀行やらの手続きとか――ができる、ということが結婚の大きな理由です。つきあっていた延長で2021年末、年内に入籍しておくか、という感じで慌てて教会に飛び込んで、15分程度で式を挙げました。日本の親には事後報告だったし、そういえばプロポーズもしていません。そして、やっぱり自分が好きなことは変わらず、自分が1番、ワイフはその次。

家族のビジョンさえもありませんが、60歳になるまでは、とにかくバタバタもがきながらも、夢を追いかけ続けようと思ってます。もがきながら、「ヤバい、ヤバい」でも「楽しい」を繰り返していけたら、最高でしょ。相変わらず、日本から見たら「何やってるんだ?」と思うことでしょう。こんな生き方、誰にでもすすめられるものでもないし、究極のこじらせ人生ですけど、こういう奴もいると思ってもらえたら。結局、「英語できませんでした」「夢かないませんでした」というオチだって、それはそれでアリ。それで笑ってもらえて、バカな奴がいるなと思ってもらえたら、僕は満足です。(おわり)

綾部さんの笑った横顔

芸人

綾部祐二

あやべ ゆうじ/1977年生まれ、茨城県出身。2003年、又吉直樹とお笑いコンビ「ピース」を結成。2010年にブレイクし、一躍人気タレントに。人気絶頂の2016年、アメリカに拠点を移すことを発表。9本あった番組すべてを降板し、2017年10月にニューヨークへ移住。2022年5月には渡米5周年を機に、ロサンゼルスに拠点を移し、YouTubeチャンネル「YUJI AYABE from AMERICA」を立ち上げ。夢の実現に向けて精力的に活動している。
インスタグラム:@yujiayabe
YouTubeチャンネル「YUJI AYABE from AMERICA」:https://www.youtube.com/c/yujiayabefromamerica

綾部さんのこじらせ持論がつまったエッセイ『HI, HOW ARE YOU?』大ヒット中!

なぜアメリカに渡ったのか? 何度も聞かれてきたこの質問を、丁寧にひもときながら、日本に戻らずNYでの5年間を語り尽くしたエッセイ。日々の暮らし、英語力、人生哲学、そしてこれからのこと…。綾部さんならではの「こじらせた」歳の重ね方は、魅力的で刺激的! 不思議と勇気をもらえて前向きになれる一冊です。詳細はこちら>

 


撮影/高木亜麗
取材・文/南 ゆかり

連載:こじらせ男のひとりごと

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