子育て中のママにもっとも多いのが離乳食を卒業し、少しずつ大人と同じ味に近づいていく幼児食のお悩み。「好き嫌いが多い」「野菜を食べてくれない」「食が細い」「お肉は好きだけど、魚はまったく食べない」etc……。思い当たる節はありませんか?そこで今回は、たっぷり時間があるいまだからこそ見直したい、子どもの”食”についてお話したいと思います。
食生活を豊かにする”おいしい”という感覚は5歳までに育つってホント!?
一般的に子どもが5歳くらいまでに感じた“おいしい”という記憶は、大人になってからも引き継ぐといわれています。そのため、味を覚えていく幼児期に過剰な味付けに慣れてしまうと、食材そのものの味を感じる力が育たなくなり、味覚だけでなく、食生活を豊かにする“おいしい”という感覚がしっかり育たなくなってしまうんだとか。
我が家は共働きなので料理は夫と分担していますが、なにかと忙しい平日は時間に追われてしまい、簡単にできる洋食に偏ってしまったり、野菜を食べて欲しい一心でついつい濃い味付けにしてしまうことも。本当は手間をかけて、栄養のあるおいしいものを食べさせたい。でも、それには圧倒的に時間が足りない。どうしたら……??そんなとき、出会ったのが料理家・うすいはなこさんでした。
幼児食に大切な”五味”とは?
うすいさんが食事を作る上で大切にしているのは五味。五味とは、旨み・甘み・塩味・酸味・苦味のこと。そのなかでも生きるために必要な“甘み”や“塩味”は必然的に摂取するようにできているんだそう。また“旨み”も子どもは大好物。その反面、酸味と苦味は小さな頃から少しずつ慣らしていかないと食べる機会が得られない味覚なんだとか。
だからこそ、うすいさんは「お弁当や日々の献立にわざわざ1品入れて学習させてほしい」といいます。ポイントはいたってシンプル!いい食材、いい調味料を使ってひと手間かけて調理するだけ。たとえば、お醤油は愛媛県の薄口醤油、お酢は富士酢、みりんは三河みりん、お酒は蔵の素など。スーパーで購入するなら、特売ではなく、少しお値段のはるものを選ぶといいかもしれません。
▲在宅ワーク中はたっぷりと時間があるので、塩麹と醤油麹を仕込むことにしました。最近では麹もスーパーやネットで購入できるので、手軽に作れますよ。
子どもたち自身に作らせるのも大切な食育
▲クッキー作りに励む姉弟。自分たちが思っていた以上にバターを使うことにびっくりした様子。おかしな餃子は息子の力作です。
自分でやるよりはるかに時間がかかるけど、いまはそれもゆったりと構えられる余裕がある。子どもたちの気分転換にもなっているようです。
バランスのよいメニューを作るために心がけている“まごはやさしい”
我が家は娘と息子、それぞれ食の好みが違ったので、バランスよく食べてもらえるように“まごはやさしい”と書いたシートを制作。1日の終わりに、子どもたちに食べたものをチェックしてもらうようにしました。ちなみに“まごはやさしい”のま=豆、ご=ごま、は=わかめ・海藻・海苔、や=野菜、さ=魚、し=しいたけやきのこ類、い=いものこと。項目をコンプリートするおもしろさもあってか、苦手な食材もずいぶん食べれるようになりましたし、豆から豆腐ができているなど、自然と食の知識も身に付いたようです。
▲この日の昼食は五味に加え、納豆で「ま」、きゅうりの酢の物で「ご」と「は」「や」、焼魚で「さ」を、お味噌汁のえのきで「し」、かぼちゃの煮物で「い」で”まごはやさしい”食材のすべてを制覇!
食事はひとりひとりきちんと盛り付けを!
そして、常に私が心がけているのは食事を丁寧に盛り付けること。ある料理家さんに「雑に盛り付けたご飯は、子どもたちも雑に扱うよね」と言われたのがきっかけでした。もちろん、毎食ホテルのようにセッティングはできないから、大皿にドカーンなんて日ももちろんあります。そんなときは、取り皿を並べて。ご飯とお味噌汁、お箸の向きは知っていて欲しいので、子どもたちにセッティングをお願いするようにしています。
外出自粛生活を機に子どもたちの食に向き合ってみてはいかがでしょうか? 家事に仕事、育児と慌ただしい毎日では大変だけれど、思う存分時間があるいまなら、きっと意識してできるはず。とはいえ、私もまだまだ知らないことばかり。日々勉強。がんばります!
写真・文/川口ゆかり
エディター
川口ゆかり
女性誌やWeb広告でエディターとして活躍するかたわら、JSIA飾り巻き寿司1級インストラクター資格を取得。2016年夏より、東京・青山で料理教室『おもてなしごはん東京』をスタート。不定期に飾り巻き寿司レッスンを開催しながら、ファッション誌のフードスタイリングや企業のレシピ開発なども行う。プライベートでは2児の母。おしゃれ業界人がたびたび登場する本人のインスタグラムも話題。