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「弟は〝逆らわない〟、兄は〝いじめない〟が絶対でした」(亜生)
――著書『ミキ、兄弟、東京』の中にもご両親との対談がありましたが、もう少しご家族のお話を聞かせてください。おふたりの仲のよさは有名ですが、この本を読んでいると、それ以上に、育ちがよくて、優しい人柄を感じます。
昴生さん(以下敬称略):ええー? そんな、両親がほんま喜びますよ。
亜生さん(以下敬称略):お父さん、お母さんの教育のおかげです。
昴生:(笑)。
――本当にそう思ってるんですよ! だから、どういう育てられ方をされたのか、興味がありまして。
昴生:そんなに、特別な教育はされてないですよ。
亜生:いちばんは「お兄ちゃんが絶対」です。ミキ家は、そこしかない。
昴生:それしかないですよ。
亜生:だから、信じられへん。ほかの人が自分のお兄ちゃんのことを「アイツ」とか「お前」とか言ってたりとか。普段兄弟と全然しゃべらへんとか。意味わからん。
昴生:両親が、弟に「お兄ちゃんに逆らうのは絶対やめや」って言ってたことは覚えています。で、僕は僕で「弟を絶対にいじめるな」って言われてた。だから僕の友達と亜生は、ちっちゃいころから仲いいんですよ、めっちゃ。僕が遊びに行くときに、こいつを連れて行ってたんです。普通だったら来んなってなるんですけど、オトンとオカンが許さなかったんですよ、こいつを連れていかんと。ひとりでかわいそうやろって。
亜生:だからこっち(昴生さん)がギャーンってきてたら、僕もなんやねんって、憎しみが生まれてたと思うんですけど、まったくなかったから、そのまま今の感じですね。
昴生:めっちゃ覚えてます。ちっちゃいころ、僕がいじめられてて。で、ボールで……。
――何歳くらいのときの話ですか?
昴生:小学校低学年かな……亜生が幼稚園生で。ボールを当てる遊びなんですよ。当てられると鬼になるんですけど、僕は誰にも当てられんくて。その内みんなに囲まれて、僕が「やめてやめて」とか言って、近くの電話ボックスの中に逃げ込んだんですよ。それでも友達が下の隙間からボールを投げ入れようとするんですけど、それを亜生が一生懸命、電話ボックスの外から友達に「お兄ちゃん泣いてるやんか、やめてあげてーや」って言うて。
亜生:悲しすぎる(笑)。
――……今の話、文字に起こすと重くなりそうなんですが(困)。
昴生:いたるところに(笑)付けといてください。もう笑い話やから(笑)。で、ふたりで「お父さんとお母さんには言わんとこな」とか言うて帰って。
亜生:覚えてる。なんか言わなかったですね、お父さんとお母さんに。あんなになんでも話してたのに。なんか、心配するんちゃうかなって。
▲撮影中は自由に動いていただいているのですが、見てください、脅威のシンクロ率! 体を傾ける角度までほぼ一緒!!
――ご両親は、厳しい感じでしたか? それとも自由放任でしたか?
昴生:間くらいかなあ。
亜生:厳しいって感じではなかったですけど、オカンが口うるさくて、けっこう。でも、あまりに僕らがひどすぎたら、オトンが最終的に言うっていう。最後の砦みたいな。
昴生:ちっちゃいころから悪いことをした記憶がないんですよね、自分らが。で、僕はずっといじめられっ子だったから、よけい人の気持ちが嫌でもわかるというか。いろんなところに遠慮してたし。だからこそ亜生がひとりになるのも嫌やって。でも「これはやってはいけない」とか言われた記憶も、あんまりないですよね。なんでかな?
――ほかでも言われませんか?「優しい」とか「育ちいがいい」って。
亜生:言われる。
昴生:こうやって兄弟で仕事してるから、よけい言われるんですよね。「親御さんはどういう教育されてきたんですか?」って。
亜生:この歳で僕が「お兄ちゃん」って呼んでるのも、大きな理由なんですよね(笑)。これで僕が「お前な」とか言ってたら、まだそうでもないんでしょうけど、でもやっぱり「お兄ちゃん」だから。ちゃんとしたおうちなんだなって思われる。
昴生:うちは、なんだかんだでオトンもオカンも僕を信頼しているからやと思いますけど。でもしっかり主従関係のある兄弟なんですよ。中川家さんとか(注:著書には中川家との対談ページも。必読!)、どの兄弟漫才師を見てもそうですけど。