蛍光灯の基礎知識
部屋の照明を決めるときに「蛍光灯」と「電球」のどちらにするべきか迷った経験はありませんか? 照明には、それぞれに特徴や強みがあります。ここでは、蛍光灯を活用するために、蛍光灯の仕組みや特徴についてまずは理解を深めましょう。
仕組みや特徴
「蛍光灯」は、蛍光物質を塗布したガラス管と両端の電極から構成されています。スイッチを入れると、電気は端の電極からもう一方の電極へと走り、水銀原子と電子が衝突して紫外線を発生させます。この紫外線が、蛍光物質と反応して光を発生させるという仕組みです。
一般的な白熱電球のように白熱して光るわけではありません。そのため、蛍光灯と電球にはいくつかの違いがあります。1日10時間使用した場合、白熱電球の寿命は半年ほどですが、蛍光灯の場合はおよそ数年とされています。また、白熱電球が暖色の光を発するのに対し、蛍光灯は昼白色・温白色などさまざまなバリエーションがあります。
点灯方式は三つ
蛍光灯の主な点灯方式は3種類あります。オーソドックスなのは「グロースタータ型(FL)」と呼ばれるもので、グロースタータという点灯管内部の放電を利用して点灯させるというものです。価格が安いため広く普及していますが、点灯しきるまでに数秒かかります。
次に、業務用などで使われるのが「ラピットスタート型(FLR)」です。点灯管を使っていないため、スイッチを入れるとすぐに灯りがつきます。
最後に、「インバーター型(FHF)」です。電子安定器(インバーター)が商用の交流電源を直流に変換させたあと、さらに高周波に変換させることで蛍光灯を点灯させます。値段は高いですが、グロースタータ型と比べて秒間点滅回数が圧倒的に多いために、光のちらつきを感じません。
蛍光灯の色の種類
蛍光灯の色には多くのバリエーションがあります。 その中でも代表的な色の種類について解説します。
オレンジがかった「電球色」
電球色とは、オレンジの色味がかかった暖色系の色です。オレンジ系の色は、人をリラックスさせるので、落ち着きたい場所に設置するのがよいでしょう。
明るさを抑えた色合いで目に対する刺激が弱いため、目を疲れにくくさせてくれます。また、赤みのかかった色は食欲を促進させる効果もあり、料理をおいしく見せるともいわれています。
太陽光に近いナチュラルな「昼白色」
昼白色は「ちゅうはくしょく」と読みます。日中の太陽光は、約5000~6500K(ケルビン:光の色温度を合わす数値)なのに対し、昼白色は約5000Kです。つまり、太陽の光の色とほぼ同じなのです。
そのため、人が感じるナチュラルな光といわれています。部屋を、明る過ぎず暗過ぎずの自然な空間に演出できるのが、昼白色の特徴です。
青白い色合いの「昼光色」
昼光色は「ちゅうこうしょく」と読みます。電球色・昼白色より強い光が特徴です。
およそ6500Kあり、正午の太陽光に近い色です。青みがかかっている強い光で、集中力が増す、細かい部分までよく見えるようになるといわれます。脳が活性化するとされ、勉強や読書など、何か集中したい場所に向いているのが、この昼光色という色です。
色別の適した設置場所
部屋にはそれぞれ役割があります。例えば、寝室のような場所ではリラックスすることが求められますし、書斎や仕事部屋であれば、集中することが求められるでしょう。そして、それぞれの役割に応じて、適切な光の色合いを選択することで、効果を高めることができます。電球色・昼白色・昼光色それぞれの色がどんな部屋にふさわしいのか、色別に適した設置場所を紹介します。
「電球色」はリラックスしたい場所へ
赤みがかった色は人の心をリラックスさせてくれます。落ち着いた雰囲気・空間を演出したいときには、電球色が最適です。
洋食のダイニングバーや高級ホテルのレストランのようなゆったりした場所では、よく電球色の照明が採用されます。家の中で設置する際も、そうしたリラックスを目的とした場所がよいでしょう。
例えば、家族だんらんのためのリビング・寝室・トイレ・お風呂・和室などが挙げられます。料理をおいしく見せる効果も期待できるので、ダイニングは特におすすめです。
一方で、電球色は集中力の低下を招くと考えられているため、作業や学習する部屋は不向きです。子ども部屋や書斎については、別の色がよいでしょう。
また、クローゼットや化粧台のある部屋もおすすめできません。電球色の赤みによって、色に対する判断を鈍らせてしまうためです。
「昼白色」はどんな場所でもOK
昼白色は太陽の光に近いため、人の体に対して負担がかかりにくい色です。 目にも優しく、長時間滞在する場所で使うとよいでしょう。特におすすめなのが、化粧部屋や服を選ぶ部屋です。太陽光に近いため、部屋の中で見た色と屋外での色とで差が生じにくく、 イメージ通りの色味を演出できます。
NGな場所も特にないため、 部屋の照明の色に迷ったら昼白色を選ぶとよいでしょう。
「昼光色」は集中したい場所へ
昼光色の青みがかった色は脳を活性化するといわれており、集中力のアップに貢献します。集中力を必要とする部屋の照明として選択するのがよいでしょう。例えば、仕事部屋・書斎・子どもたちの勉強部屋などに設置すれば、作業効率の上昇が期待できます。
逆に避けた方がよいのは、長時間滞在する場所です。昼光色に染まった部屋に長時間いると、目の疲れや頭痛の原因になることもあるといわれています。そのため、寝室やリビングなど、家族でだんらんを取ったり、体を休めたりする部屋では避けた方がよいでしょう。
蛍光灯を交換するときのポイント
蛍光灯の交換は数年に一度は行う必要があります。しかし、あらかじめタイミングを知っておかないと、急に蛍光灯が切れて慌てて買いに行くハメになったり、あるいは暗い部屋で過ごさなければならなくなったりします。
かといって、数年に一度の交換のために予備の蛍光灯を買い置きしておくのはスペースの無駄に。そうならないように交換の適切なタイミングを知っておきましょう。また、交換する際、不要なけがをしないために気を付けるべきことも併せて解説します。
交換のタイミング
蛍光灯は、何の前触れもなく突然寿命を迎えるわけではありません。寿命が近くなると以下の症状が現れるようになります。
・蛍光灯がチカチカしはじめる
・蛍光灯の両端が黒くなる
・灯りがつくまでに時間がかかるようになる
・異臭がする
このような症状が出たら、蛍光灯が切れる前触れです。新しい蛍光灯を用意しましょう。
交換時の注意点
蛍光灯の交換で気を付けなければならないのは「感電」です。電源をつけたままでの交換は危険です。蛍光灯交換するにあたっては、あらかじめ電源を切っておきましょう。
また、交換の直前まで使用していると、蛍光灯が熱を持っているため「やけど」をする可能性があります。特に、完全に切れてしまっている蛍光灯はパッと見ではついているかどうかの判断ができないため、確実に元の電源を切っておきましょう。
「足場」にも注意が必要です。蛍光灯は高い位置にあるため、たいていは脚立や椅子を使った作業になります。面倒くさがって、不安定なものや、人の体重を乗せることを想定していない家具などに乗って作業すると、落下して大けがしてしまうことがあります。必ず安全な足場を確保し、誰かに支えてもらいながら行うなど、けがをしないように作業しましょう。
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