身近な人が亡くなったら、子どもにどう伝える?どう接する?
新型コロナウイルスの流行により「死」というものを今までより身近に感じるようになったかもしれません。祖父母や同級生の親など、子どもが身近に感じる人の場合、どのようにその死を説明すれば良いのでしょうか。スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんに「死の説明」についてお聞きしました。
実は大人も「死」を理解してるとは言い難い
もちろん寿命や病気、事故などで亡くなったことを大人は理解できます。しかし、その死が納得できない時や悲しみが減らない時、どうしたら腑に落ちるのか・悲しくなくなるのか、答えが出ないと思います。ですから、子どもに死について話す際は、知ったかぶりをしないことが大切かもしれません。
子どもに死を伝えるひと言目はシンプルに
子どもの年齢によって伝え方は変わってくると思います。小さなうちは「お星様になったんだよ」「お空からいつも見守っててくれてるよ」で十分だと思います。子どもも〝遠くに行っちゃって会えないけど、見ててくれるんだ〟と感じるでしょう。年齢が上がると死の意味はわかってきますので、包み隠さず「亡くなった」と伝えていいと思います。この頃になれば〝 肉体は亡くなっても、その人の存在は形を変えてあり続ける〟と、大人に似た感覚を持つことができます。
大切なのは死に対していつでも泣ける環境を作ること
死別を体験したしばらくの間は〝いつでも泣いていいよ〟と、悲しみを受け止める姿勢が必要です。時間が経つとその死に対して疑問が出てくる場合もあると思います。その際は家事や仕事が忙しくても、手を止めしっかりと涙や疑問を受け止めてください。また、逆に泣かない子どももいます。よく理解していないことがほとんどで、無理に理解させる必要はありません。 よくありがちなのは、さっきまで大泣きしていたのに、ケロッとして遊び始めてしまう子ども。切り替えの早さに戸惑ってしまうかもしれませんが、心はずっとマイナスの感情のままではいられないようにできています。健康な証拠なので心配しないように。
そして、死に接したことで不安が長く続く子どももいます。穏やかに、温かく、長い目で受け止めていきましょう。赤ちゃん返りをすることもありますが、不安な気持ちを守り、立て直すために必要なことなので、慌てず寄り添うことが大切です。
コロナ禍では死の受け止め方も通常と異なる
今はコロナ禍でお葬式に参列できない、大好きなおじいちゃん・おばあちゃんなのにずっと会いにいけないまま亡くなってしまったなど、今までわたしたちが普通に、大切に取り行ってきた死を悼むプロセスが行えないケースも生じています。念のために気をつけたいのは、子どもが自分を責めてしまわないことです。
子どもは時に、大人が思いもよらないことを考えたり信じたりする時があります。例えば、自分がお見舞いに行ってあげられなかったから死んでしまった、というように。子どものショックの度合いが不適切に大きいな、と感じたら、少しゆっくりお話を聞いてみましょう。そして誤解があれば、解いてあげてくださいね。
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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