「わらべ歌」とは?
「わらべ歌」を辞書で調べてみると以下のようにあります。
昔から子供に歌いつがれてきた歌。また、子供に歌って聞かせる歌。遊びに伴うものが多い。てまり歌や数え歌など。(〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「わらべ(童)」は子供を意味し、「わらべ歌」は「子どもたちによって歌われている歌」を指します。わらべ歌のメロディーとリズムは、とてもシンプル。子どもたちが歌いやすいように作られているのが特徴です。古くから歌われているものが多く、そのほとんどが作者不明。親から子へ、子どもから子どもへと伝わっていった歌だとされています。
「わらべ歌」・「童謡」・「唱歌」の違いとは?
同じく子供の歌である「童謡」と「わらべ歌」、「唱歌」には以下のような違いがみられます。
・メロディーが異なる
・作曲家がいるか
・歌と遊びが伴うか
「唱歌」が作られたのは明治初期から戦後。学校での音楽教育のために作られたものです。主に道徳や親孝行などを歌ったものが多いのが特徴。一方「童謡」は、大正後期以降に生まれたとされています。芸術性に重きを置いた子どもが歌う歌として作られました。
まず大きな違いとして挙げられるのは、メロディーが異なるということ。明治維新によって、日本に西洋音楽が伝わりました。その流れから、「童謡」や「唱歌」は西洋音楽のメロディーを取り入れて作られています。それに対して、「わらべ歌」は簡単な音階とリズムが特徴です。2つ目は、親子間や子どもたちの中で歌い継がれてきた「わらべ歌」に対して、「童謡」や「唱歌」の多くは作曲家によって作られているという点です。
そして「わらべ歌」には手遊びや数を数えるなど、動作が伴うものが多いのが特徴。しかし、童謡や唱歌は歌がメインです。動作を伴うものは少ないことが違いだといえるでしょう。
「わらべ歌」にはどんな種類がある?
「わらべ歌」は、子どもが遊びながら歌います。生活の中で歌う歌として歌い継がれてきたものです。その種類を見ていきましょう。
・子守唄… 小さな子どもをあやしたり、寝かしつける際に歌われる歌。子守をする人の心情や境遇を歌ったものが多い
・数え歌… 歌って数を数えるもの。歌詞の中に数を表す言葉が組み込まれており、言葉遊びのような要素を持つ
・絵描き歌… 絵を描きながら歌う歌。絵の書き方が歌詞になっていて、歌詞の通りに描くと絵が完成する
・手遊び歌… 歌に合わせて手や指などの体を動かし、相手の体に触れるなど、コミュニケーションを楽しむもの。ゲーム感覚で楽しむものが多い
・てまり歌… てまりをつく際に歌う歌のこと。てまりをつくリズムに合わせて歌う
「わらべ歌」はどんな効果が期待できる?
わらべ歌は、保育園や幼稚園において積極的に取り入れているところが多くあります。わらべ歌を用いることで、子どもたちにどのような効果があるのかを一緒にチェックしていきましょう。
1:発語を促し、数の感覚が身につきやすい
「わらべ歌」の歌詞は、子どもが真似して歌いやすいものが多いのが特徴。数を数えたり、言葉で遊ぶものが多く、繰り返し歌うことで、楽しみながら言葉や数の感覚を身につけることができるでしょう。
2:リズム感や運動能力を養う
歌いながら体を動かすわらべ歌。歌やリズムに合わせて、手や足をあげたり、飛んだりします。そのことによって、リズム感や運動能力を養うことができるでしょう。スポーツをする上で、リズム感があることはとても重要だとされています。リズム感が身についていると、本格的にスポーツを始めた際、飲み込みが早くなるということも期待できるでしょう。
3:コミュニケーション能力・社会性が身に付く
わらべ歌には一人で遊ぶものだけではなく、相手と一緒に歌いながら遊ぶものが多くあります。その中には大勢で遊ぶものも。楽しく遊びながら、自然と周囲とのコミュニケーションをとることができます。遊びの中で、相手と協力しあったり、ルールを守ったりすることで、コミュニケーション能力や社会性を身につけることにつながるでしょう。
4:乳児の身体機能の発達にも影響する
まだわらべ歌で遊べない乳児などの、小さな子どもにわらべ歌を聞かせると、その歌声に反応します。そして周囲に興味を持ち始め、歌に合わせて体を動かそうとするでしょう。わらべ歌は、赤ちゃんの身体機能の発達にも影響するといわれています。
また、わらべ歌の1つである子守唄は赤ちゃんだけでなく、歌っているママやパパもリラックスして、精神が安定するというメリットもあるようです。
5:日本の四季や季節の行事を知ることができる
わらべ歌には、日本古来の習慣や自然、季節の行事を歌ったものが多くあります。歌の歌詞から、日本の美しい四季や自然、伝統的な行事を知ることができるでしょう。
年齢別にみるおすすめ「わらべ歌」は?
子供は、年齢ごとに成長段階があります。子どもの発達に合わせた歌を選ぶために、年齢別におすすめのわらべ歌を見ていきましょう。
0~1歳
0~1歳の子どもは、人の声に反応するように。そのため、歌がメインのシンプルなわらべ歌がおすすめ。話しかけるように歌うとよいでしょう。また、赤ちゃんの体を触りながらわらべ歌を歌うのもおすすめです。赤ちゃんが、自分の体の部位を意識することができます。
2~3歳
2~3歳になると友達と遊ぶことが多くなり、社会性が出てきます。この時期におすすめのわらべ歌は、友達と一緒に体を動かしたり、歌うようなものです。友達と協力して物事に取り組むことを経験できます。
4~5歳
4~5歳になり、リズムに上手にのれるようになってきたら、より複雑な動きのあるわらべ歌にチャレンジしてみましょう。運動能力の向上につながります。
わらべ歌は、運動能力の向上はもちろん、親子でコミュニケーションやスキンシップがとれたり、友達との関係性を築いたりと、様々なメリットがあります。何気なく歌ってきたわらべ歌が、子どもの成長に影響を与えるとは考えていなかった方も多いのでは? 日常に取り入れて、楽しみながら子どもの成長を促してみてはいかがでしょうか。