「むっつり」という言葉を聞くと、どんなイメージを持ちますか? 「彼はむっつりとしていた」というように、人の性格や態度のことを表しますが、そもそもどんな意味があるのでしょうか。
そこで本記事では、「むっつり」の意味や使い方、類語・対義語について解説します。「むっつりってどんな意味?」と疑問に思った時の、参考にされてみてはいかがでしょうか?
むっつりの意味は?
「むっつり」を辞書で調べると、どのような意味があるのでしょうか? 一緒に確認してみましょう。
1[副](スル)口数が少なく、愛想のないさま。「始終―(と)している」
2[名]口数が少なく、愛想のないこと。また、その人。「あんな―は見たことがない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
口数が少なく、無愛想な様子を「むっつり」と表現します。また、そういう特徴のある人のことを「むっつり」と呼んだりしますね。「あの人はむっつりとしている」というように、副詞で用いられることが多い言葉です。
使い方を例文でチェック!
「むっつり」とは、どんな場面で使われる言葉なのでしょうか? 「むっつり」の特徴とともにチェックしてみてください。
1:同じ部署の佐藤さんは、むっつりした人で話しかけづらい。
気難しい顔をして、あまり話さない人のことを「むっつりした人」と表現することもあります。無愛想で、何を考えているのかわからないと思われることも多いでしょう。一度「むっつりした人」というイメージを持たれてしまうと、印象を変えるのが難しいかもしれません。
2:彼は、同じクラスの女子に話しかけられると、むっつりと黙り込んでしまった。
「むっつり」と聞くと、無愛想な男性をイメージする方も多いはず。特に思春期は、異性と関わることに慣れておらず、話しかけられるとつい黙ってしまうという男子も少なくありません。好きな女の子なら尚更ドキドキしてしまい、自然に接することができないのかもしれませんね。
3:あの女の子は人見知りで、むっつり屋さんだね。
幼い頃は人見知りで、家族以外の人とあまり喋れないという子もたまに見られます。近所の人に話しかけられると、恥ずかしくてついお母さんの後ろに隠れてしまったという思い出がある方もいるのではないでしょうか? そんなシャイな様子を見て、他の人が「〇〇ちゃんは、むっつり屋さんだね」と言ったりします。
4:先輩は硬派に見えて、むっつりすけべのようだ。
無関心のふりをしながら、実際は好色な人のことを「むっつりすけべ」と言うことも。普段はクールで恋愛に興味がないように見えて、実は下ネタや異性のことが好きな人もいるでしょう。表面と内側にギャップがあることがポイントですね。「むっつり助兵衛(すけべえ)」「むっつり助平(すけべい)」とも書きます。
類語や言い換え表現は?
「むっつり」の類語には、「無口」「寡黙」などが挙げられます。言い換え表現として覚えておくと、会話する時に役立ちますよ。
1:無口
「無口」の意味は、以下の通りです。
[名・形動]口数の少ないこと。おしゃべりでないこと。また、そのさまや、その人。寡黙。「―な(の)青年」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「口数が少ないこと」が、「むっつり」と同じですね。単に口数が少ないというよりも、陽気ではない雰囲気や、人とあまり関わりたがらない性格なども含めて使われることが多いでしょう。
(例文)
・その職人は無口な人で、山にこもって1人で陶器を作っている。
・父は無口な人で、母はおしゃべりな人だ。
2:寡黙
「寡黙(かもく)」の意味は、以下の通りです。
[名・形動]口数が少ないこと。また、そのさま。「―な人」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「寡黙」な人は、必要なこと以外あまり喋りません。友人に話しかけられても、「うん」「そうだね」など最低限の相槌を打ちます。どちらかというと男性に使われることが多く、よく喋る人と比較して、望ましい性格として語られることもあります。
(例文)
・武道を嗜む兄は、とても寡黙な男である。
・彼女は、寡黙な男性がタイプらしい。
対義語
「むっつり」は、口数が少ないこと。反対に、口数が多いことを表す言葉にはどのようなものがあるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
1:饒舌
「饒舌(じょうぜつ)」の意味は、以下の通りです。
[名・形動]やたらにしゃべること。また、そのさま。おしゃべり。多弁。「酔うと―になる」「―な人」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
やたらしゃべることを「饒舌」と言います。「やたら」という言葉がついていることから、余計なことを口にする、無駄口が多いといったニュアンスが感じ取れますね。
(例文)
・父はお酒を飲むと、途端に饒舌になる。
・祖父は、若い頃の武勇伝を饒舌に話し始めた。
2:口軽
「口軽」は、「くちがる」と読みます。意味は、以下の通りです。
1 口数が多く、無用のことまで軽々しくしゃべること。秘密などをすぐ人にもらすこと。また、そのさま。「―で信用できない」⇔口重(くちおも)。
2 すらすらとものを言うこと。また、そのさま。⇔口重(くちおも)。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「口軽」は、口数が多い上に、軽々しくしゃべること。2つ目の意味のように。軽快に巧みに話すことという意味もありますが、多くの場合は、1つ目の意味として用いられます。秘密などをすぐにバラすという意味合いも含まれているので、褒め言葉としては使用できませんね。
(例文)
・お隣に住む奥さんは口軽で困る。
・彼は友達の恋愛話をすぐにバラす、口軽の男として有名だ。
むっつりは英語でなんと言う?
「むっつり」を英語で言いたい時には、「口数が少ないこと」「愛想がなく不機嫌なこと」どちらを強調したいのかによって、選ぶ単語が変わります。ここでは、微妙にニュアンスが異なる「sullen」と「quiet」を見ていきましょう。
1:sullen
「sullen」は、「むっつりとした」「怒って押し黙っている」などの意味を持つ単語です。表情がブスッとしていて、不機嫌な様子を表します。「むっつり」という言葉が持っている、無愛想なニュアンスがよく似ていますね。
(例文)
・She always wore a sullen expression when she was with his parents. (両親といるとき、彼女はいつも不機嫌な表情をしていた)
2:quiet
「quiet」は、「静かな」という意味の他に、「(人が)あまり物を言わない」「黙りこくった」という意味を持ちます。「むっつりとしていて、口数が少ない」と言いたい場合は、「quiet」を使ってみましょう。
(例文)
・He’s a quiet man and doesn’t like to talk to people much.(彼は無口で、あまり人と話したがらない)
最後に
「むっつり」とは、「口数が少なく、愛想がないこと」。「むっつり」には、「愛想がないこと」という意味が含まれているため、相手に対して使うのは控えたほうがいいかもしれません。無口であることを言いたい場合には、「寡黙」などと言い換えてみてください。日本語特有のユニークな表現として覚えてみてはいかがでしょうか?
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