「潮時」の正しい意味とは?
「潮時」(しおどき)とは、物事を始めたり終えたりするのにちょうど良い頃合いを示す言葉です。また、潮が満ちたり引いたりするときを表す言葉でもあります。
潮の満ち引きは、月と地球との位置関係により変動します。魚の動きに影響を及ぼす潮時は、古くから漁に出る時期を判断する目安のひとつでもありました。
「潮時」が「物事をするのにちょうど良い時期」という意味を持つようになったのは、「潮時=漁に適したタイミング」という発想が転じたものだと考えられます。
日常生活やビジネスシーンでは、ちょうど良い時期を表す言葉として用いる場面が一般的といえるでしょう。
しお‐どき〔しほ‐〕【潮時】
1 潮の満ちる時、また、引く時。
2 物事を始めたり終えたりするのに、適当な時機。好機。「潮時を待つ」「ピッチャー交代の潮時」
3 時間。特に、一日のうちで出産や死亡の多く起こる時間。潮の干満の時刻に合わせて起こるからという。[補説]2について、文化庁が発表した平成24年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味とされる「ちょうどいい時期」で使う人が60.0パーセント、本来の意味ではない「ものごとの終わり」で使う人が36.1パーセントという結果が出ている。
「潮時」という言葉を使う際の注意点
「潮時」を使う際に気をつけたいのが、「潮時は物事のやめどきのみを表す言葉ではない」という点です。
物事が「潮時を迎えた」と聞くと、閉店や引退、別れなどを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。実際には、「潮時」はネガティブな要素のみを持つ言葉ではありません。
あくまでも始まりと終わりにちょうど良い時期を示す言葉であり、次に紹介する類語「好機」や「チャンス」のようにポジティブな側面も持ち合わせています。潮時を使う際は、間違った表現をしないように気をつけてください。
「潮時」の類語や言い換え表現
「潮時」には、以下のような類語や言い換え表現があります。「潮時」は、ポジティブな意味合いも含む言葉です。類語からも「潮時」が物事の始まりと終わりにおいて、ちょうど良いタイミングを示すことがわかります。
ここでは類語の具体的な意味や「潮時」との共通点について、詳しくみていきましょう。
好機(こうき)
好機は、物事を行うのにちょうど良い時期を表す言葉です。始まりや終わりに限らず、何かをするのに適したタイミングを意味します。
「好機到来」(こうきとうらい)のように、四字熟語として用いることもある表現です。主な使用例は以下のとおりとなります。
・希望の球団からスカウトが来るとは。千載一遇の好機がやってきた。
・長年の夢を叶えるためにも、今回の好機を逃すわけにはいかない。
・ビジネスで成功するためには、好機を捉え実行に移す意識が必要だ。
・将来の成功につながると思えば、今回の失敗も好機のひとつといえるのかもしれない。
引き際(ひきぎわ)
引き際は、それまでの地位や立場から退くタイミングを意味します。「潮時」との大きな違いは、物事の始まりには使われない点です。
あくまでも物事が終わる際に使う表現であり、始まりにちょうど良いタイミングを表す言葉ではありません。使用時は、「潮時」と混同しないように気をつけましょう。
・信頼できる後継者が育つまでは、仕事の引き際について考えられない。
・何事も引き際が肝心だ。
・将来のことを考えると引き際を見極めるのは難しい。