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LIFESTYLE インタビュー

2024.07.04

【作家・岸田奈美さんが答える! 働くママのお悩み相談】頑張るのをやめて、“幸せな状態って?”を考えてみましょう

2024年5月に最新エッセイ『国道沿いで、だいじょうぶ100回』を発売した岸田奈美さん。第1弾のエッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』原作のドラマは、7月からNHK総合で放送開始に。相変わらずハプニングの多い自身の体験をもとに、Domani読者のお悩みに答えていただきました。

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【お悩み1】歳をとることを受け入れられず、いまだ抗っています。上手に歳を重ねたいものですが…。

気持ちが若くいられる場所を探して、心地いい自分を保って(岸田さん)

私もです(笑)。高校生のときは「女子高校生」ブランドで扱われるのが好きだったし、今のように「“新人”作家」と呼ばれるのも好き。常に「ひよっこ」としてかわいがられるのが心地いいんです。だから、今でも心地よくいられる場所を探し続けています。

最近はじめた俳句では、私のような30代はいちばん若くて、みんなが親切に教えてくれます。先日、浅草のもんじゃ焼き店に行ったときは、周囲が70代、80代ばかりで、私なんて「お嬢ちゃん」扱いです(笑)。

体のしんどさや肌の変化には抗えず、それは私もイヤだけど、気持ちだけでも常にいちばん若くいられる場所に自分を置けば、それ自体がストレス発散になる。そういう場所は、しぶとく、常に、探し続けたらいいと思います。

とはいえ、私も30代になってからは自律神経が乱れて、気温や気圧の変化をもろに受けたり、咳が止まらなくなったりしたことがありました。それでも、どんなときに体調をくずすのかがわかるようになれば、対処もできるというもの。自分の感覚を磨いていき、体や心の変化に気づけることも、年齢と上手につきあうひとつの方法かもしれません。

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【お悩み2】仕事でも家庭でも、ついイライラしがち。そんな自分が嫌いです。

ジャーナリングを活用して、イライラの原因を客観視(岸田さん)

私にも、常にイライラしていた時期がありました。気持ちをうまく言葉で伝えることができず、そんな私を見た母は「(私のイライラは)雷雲だと思ってる」とあきらめていました。また、「赤ちゃんがミルクを欲しがるのと同じ。何か伝えたいことがあるんだろう」とも思っていたそうです。この「何か伝えたいこと」「どうして」が大事なのだと今は思います。

そこで、スマホのアプリにあるジャーナリングを活用してみてはどうでしょう。イライラしたこと、思ったことや感じたことを記録して、客観的に見ることができたら、「どうして」「何か」がわかってくるはずです。

私の場合は、イライラするのは生理の1週間前と低気圧のとき、それから出張後で疲れたときだと、最近わかりました。わかれば対策はできるし、事前に休むという選択もできます。最近では、イライラしそうな時期に仕事を休んで鹿児島にひとりで5日間滞在しました。周囲に当たってしまわないためにも、可能な範囲でこんな「プチ家出」はおすすめですよ。

ただ、絶対にやってはいけないのが、イライラを「子どもにぶつけてしまうこと」。それを避けるために、また子どもに理解してもらうために、「おかあさん今、めっちゃ疲れてイライラしそうやから、そうならないようにちょっと休ませてくれる? あなたが悪いわけでも、愛してないわけでもないからね」と、説明が必要。休む意味を理解してもらえれば、子どもが不安になることも避けられるのではないでしょうか。

【お悩み3】育休明けの仕事、周囲に気を使われてる雰囲気が、かえってつらいです。

空気の読み合いはやめて、「助けられる力」で乗り切ろう!(岸田さん)

もし、「もっと仕事を任せてほしい」という意思があなたにあるなら、それははっきりと周囲に伝えたほうがいいと思います。「つらいです」という気持ちではなく、具体的に、どうしてほしいのかを。

または、気を使われることがイヤなだけで、働き方自体は今の状態でよいなら、変に空気を読み合うのではなく、むしろ「人の役に立っている」と発想の転換をしてみましょう。「周囲にフォローをさせて迷惑をかけている」とあなたが思っていることは、実は「人の仕事ややりがいをつくっている」と考えることもできるのです。

ダウン症の弟や車椅子の母を見ていると、「助けてもらえる人は強い」と感じます。その上、喜ぶ力もめっちゃ強い。だから、周囲が放っておけなくなる。助けられる力は、不思議と周囲も幸せにします。そして助けてもらったら、「ごめんなさい」ではなく、思いきり喜んで、「ありがとう」を言ってください。

【お悩み4】他人の楽しそうなSNS、私へのネガティブコメント、見るたびに気持ちがダウンしてしまいます…。

スマホ中毒で脳のバグが起こっている!?
大きな画面で見てみれば、それに気づくはず(岸田さん)

スマホでSNSばかり見ている人、それでイヤな気持ちになっている人、その現象は「脳のバグ」だと思いましょう。考えてみてください。スマホの基本機能は電話やメールやLINEなど、存在の近い人との連絡ツールですよね。その距離感でSNSなどほかの情報を見ていると、不思議と他人の投稿もめちゃくちゃ近い存在に思えてくるもの。炎上していたら、自分も怒りを感じたり、誰かが発言したことに簡単に傷ついたり。それも、距離感によるバグりだと思うのです。

試しに、SNSでもなんでも、スマホではなくパソコンの大きな画面で、それも離れた距離から、見てみてください。憧れのタレントのインテリアやファッションの投稿も、近い距離で見たときは「すぐに真似しなきゃ」となっても、離れて見ると変化するはずです。大きな画面の映画で人の生活を見ても、スマホで見たSNSのように嫉妬することはありませんよね。ネガティブなコメントも同じです。ぜひ、試してみてください。

>岸田さんによる「働く女性のための」お悩み相談は、Oggi.jpにも! こちらでご覧ください。

岸田奈美さんの最新エッセイ『国道沿いで、だいじょうぶ100回』大ヒット中!

「頑張る」のもいいけど、「幸せな状態」を続けるために

「大丈夫、大丈夫。この言葉を私は呪文として使っていて、それを言いながら、自分のバロメーターとしても使っているような気がします。ただ、たまに大丈夫じゃないときがあって――私の場合は昨年末、天井から汚水が漏れてきて住めなくなったことなど――、どんなに前向きに頑張っても、どうにもならないこともあります。

そんなときは、いったん休むに限ります。自分では家族のために頑張って働くことが大事だと思い込んでいても、子どものときの自分を振り返ってみれば、そんなことよりおかんが健康で幸せであることがいちばん。それなしで、「あなたのために頑張った」と言われても、うれしくないですからね。

できることなら、いろいろガマンしたり無理したりすることなく、“幸せな状態ってなんだろう”って考えてみてください。そのとき、最新エッセイも役立つのではないでしょうか」

>新著『国道沿いで、だいじょうぶ100回』(小学館)の詳細はこちら

▲1作目の『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』は、ドラマ化され、2作目の『傘のさし方がわからない』は、朝日新聞「天声人語」で紹介(2024年3月7日)されるなど、数々の話題をつくった伝説のシリーズ。3作目の『国道沿いで、だいじょうぶ100回』は、この2年半にnoteに書かれた膨大な数のエッセイの中から、岸田奈美さんとともに選んだ傑作ぞろい。

○岸田奈美さんの第一弾エッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』原作のドラマが、2024年7月9日放送スタート! 毎週火曜午後10時~(NHK総合・全10話)。
岸田さんが語るドラマの魅力はこちらの記事でご覧ください!

作家

岸田奈美

きしだ・なみ/1991年生まれ、神戸市出身。家族構成は、下半身麻痺で車いすユーザーの母(ひろ実)と、生まれつきダウン症で知的障害のある弟(良太)。2020年9月に初著書『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が大ヒット。ABCテレビ「newsおかえり」木曜レギュラー、関西大学客員教授。
Note:岸田奈美のnote
公式X:@namikishida

撮影/五十嵐美弥 構成/南 ゆかり

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