「一端を担う」と「一翼を担う」の違い
「一端を担う」とは、ある物事について部分的に関与することです。「一端」とは物事の一部分のことで、「一端を担う」とすることで、責任や役目の一部を負うことを表します。
また、「一翼」にも「一端」のように、全体のなかでの一部という意味があります。大きな違いは、「一翼」は「役割の一部」というニュアンスが強い点です。
そのため、「一翼を担う」は、主にひとつの役割を引き受ける際に用いられます。
物事に部分的に関与する際は「一端を担う」、役割を引き受ける際は「一翼を担う」のように使い分けてみてください。
一端を担・う
ある物事について、部分的に関与している。責任や役目の一部を負っている。一翼を担・う
全体の中で、一つの役割を引き受ける。「大プロジェクトの―・う」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「一端を担う」を使ったビジネス例文
責任や役目の一部を負う「一端を担う」は、ビジネスシーンで活用できる慣用句です。具体的な使用例は、以下をぜひ参考にしてください。
・医薬品の販売を通し、チーム医療の一端を担う喜びを感じている。
・いつか、会社の成長の一端を担う存在になれたらと思っています。
・彼は新たなプロジェクトの一端を担う重要な存在だ。
「一端を担う」と似た意味を持つ慣用句
「一端を担う」と似た意味を持つ慣用句には、「片棒を担ぐ」「一役買う」などが挙げられます。
「片棒を担ぐ」は悪いことに対して用いられることが多く、ネガティブなニュアンスを含む言葉です。また、「一役買う」は、自ら進んで役割を担うことを意味します。
「担う」から「一端を担う」、そして似た意味を持つ慣用句まで、さまざまな語句の意味を知り、表現の幅を広げていきましょう。
片棒を担ぐ(かたぼうをかつぐ)
「片棒を担ぐ」とは、計画に加わり協力することです。「片棒」とは、江戸時代の乗り物「かご」を担ぐ二人の一方を意味します。荷担(かたん)するという意味もあり、多くは悪事を働く際に用いられる表現です。
実際には「犯罪の片棒を担ぐ」のように使用する言葉のため、「一端を担う」と混同しないように気を付けてください。
片棒を担・ぐ
計画に加わって協力する。荷担する。多く、悪いことにいう。「悪事の―・ぐ」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
一役買う(ひとやくかう)
ある役割を進んで引き受けることは「一役買う」と言い表します。
そもそも「買う」には、代金を払って自分のものとするほか、物事の価値を認めたり、好ましくないことを身に負ったりといった、さまざまな意味合いがあります。
「一役買う」の場合の「買う」の意味は、「売られたけんかを買う」のように、自ら物事を引き受けることです。
日常会話では、「新プロジェクトの立ち上げに一役買う」のように使用できます。
一役買・う
一つの仕事の中で、ある役割を進んで引き受ける。「新党結成に―・う」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「担う」の正しい意味を知りシーンに応じて使い分けよう
「担う」とは、物を肩で支えて運ぶことです。物事を推し進める意味もあり「責任を担う」のように活用できます。
また、「担ぐ」や「負う」も物を運ぶことを指す言葉です。どちらも「担う」の類語ですが、具体的な意味合いは異なります。使用する際は、それぞれが混同しないように気を付けてください。
「担う」や類語などの正しい意味を知り、シーンに応じて上手に使い分けていきましょう。
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