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2025.03.02

「小1の壁」とは? 退職・転職・フルタイム勤務… 仕事を続けるための現実的な選択肢【教員監修】

子どもが小学校へ進学すると、これまでの生活リズムが一変し、働く親の負担が増えることが「小1の壁」として知られています。特に共働き家庭では、これまで保育園でカバーできていた時間が短縮されることにより、仕事との両立が困難になるケースが多く見られます。この記事では、「小1の壁」の実情や対策、親が知っておきたいことを紹介します。

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小学校入学を機に、多くの親が直面する「小1の壁」。保育園時代とは異なる環境に適応しながら、仕事との両立を求められるこの時期は、多くの働く親にとって大きな課題となります。小学校入学を機に、働き方を見直す必要に迫られる親御さんも少なくありません。

そこで本記事では、「小1の壁」の実情と、仕事と育児を両立するための様々な選択肢、解決策についてお伝えしていきます。

「小1の壁」とは? なぜ多くの親が悩むのか

子どもが小学校へ進学すると、これまでの生活リズムが一変し、働く親の負担が増えることが「小1の壁」として知られています。特に共働き家庭では、これまで保育園でカバーできていた時間が短縮されることにより、仕事との両立が困難になるケースが多く見られます。

さらに、学校行事や宿題のサポート、急な予定変更など、親の対応が求められる場面が増えることも、悩みの一因となっています。

小学生

(c) Adobe Stock

「小1の壁」が生まれる理由

小1の壁の要因としては、保育園と小学校の制度や環境の違いだけでなく、子ども自身の環境適応へのサポートや、地域や学校との連携体制が挙げられます。保育園では、朝から夕方まで一貫した保育が提供されていましたが、小学校では授業時間が短く、放課後の預かりサービスである学童保育の利用が前提となります。

しかし、学童保育は、自治体や地域ごとの運営方針によって、定員や利用時間に制限があるケースも。一部の地域では、受け皿拡大が進んでいる一方で、新たな課題も指摘されていますよ。特に、フルタイム勤務の親にとっては、学童の終了時間と勤務時間が合わないことが課題となります。さらに、放課後児童クラブでは、長期休暇中の開所時間が自治体や運営主体によって異なり、保護者がスケジュール調整を迫られる場合もあるでしょう。

「小1の壁」に直面する親の現状

実際に「小1の壁」に直面する多くの親は、朝と夕方の時間帯に最も大きな影響を受けています。小学校の登校時間が親の出勤時間と合わないため、早朝に家を出る必要がある親は、子ども一人で準備をさせるか、登校を見守る人を確保しなければなりません。

さらに、放課後の過ごし方にも課題があります。放課後は学童保育の利用が一般的ですが、利用できない場合には、地域のファミリーサポートセンターや、民間の学童保育サービスなどを利用するケースもあるでしょう。このため、一部の親は時短勤務やフレックスタイム制度の利用を検討するものの、すべての職場で対応できるわけではなく、結果として退職を考えざるを得ない状況に陥ることもあります。

「小1の壁」対策|転職? フルタイム継続? 現実的な解決策

「小1の壁」を乗り越えるためには、退職以外の選択肢を検討することも重要です。転職やフルタイム勤務の工夫など、現実的な対策を知ることで、働き方の選択肢を広げることができますよ。

転職という選択肢|どんな仕事なら両立できる?

転職を考える場合、育児と仕事の両立がしやすい職場を選ぶことがポイントになります。特に、フルリモート勤務が可能な職種や、コアタイムが設定されていないフレックスタイム制度を導入している企業を選ぶことで、「小1の壁」の負担を軽減できる可能性があるでしょう。

また、経済産業省の調査によると、近年は育児と両立しやすい働き方を提供する企業が増えており、特にIT・マーケティング・カスタマーサポートなどの職種でリモートワークを取り入れる動きが加速しています。ただし、転職には一定のリスクも伴うため、希望する職種や企業文化を慎重に見極めることが重要です。

フルタイム勤務でも対応できる工夫

現在の職場でフルタイム勤務を続ける場合、育児と仕事の両立を可能にする環境を整えることが求められます。例えば、企業の育児支援制度を活用することで、無理なく働き続けることができる可能性がありますよ。

フレックスタイム制度の活用

出勤・退勤時間を調整することで、登校・下校時間に対応しやすくする。

在宅勤務の導入

リモートワークを部分的に取り入れ、通勤時間を削減することで、家庭とのバランスを取りやすくする。

時短勤務制度の利用

勤務時間を調整することで、学童利用の時間帯に合わせた働き方を実現。

厚生労働省の「働き方改革推進ガイドライン」によると、企業が提供する両立支援制度の活用が、育児を理由とした離職を防ぐ効果を持つとされています。フルタイム勤務を続けるためには、職場との調整を積極的に行い、制度を最大限活用することが大切です。

共働き家庭 イメージ

(c) Adobe Stock

企業の支援制度を活用する

企業によっては、育児を支援するためのさまざまな制度を導入しています。例えば、大手企業では以下のような施策を取り入れているケースがありますよ。

育児休業後の復職支援プログラム

育児休業からスムーズに職場復帰できるよう、時短勤務や研修制度を整備。

社内託児所の設置

子どもを預けながら働ける環境を提供し、育児負担を軽減。

育児に関するキャリアカウンセリング

働き方に関する悩みを相談できる窓口を設置。

また、経団連の報告書によると、企業が積極的に育児支援を行うことで、従業員の定着率が向上し、組織の生産性向上にもつながるとされています。そのため、転職を検討する前に、現在の職場で利用できる支援制度を確認することが肝要です。

「小1の壁」に悩む親が知っておきたいこと

「小1の壁」に対応するためには、短期的な対策だけでなく、長期的な視点も持つことが重要です。ここでは、親が直面しやすい不安や負担の軽減に向けた工夫について考えていきます。

小学生 イメージ

(c) Adobe Stock

「小1の壁」は一時的なものと理解する

小学校生活が始まると、子どもは新しい環境に適応しながら生活リズムを整えていきます。文部科学省の調査では、多くの子どもが入学後数か月を経て、登下校の習慣や学習の流れに慣れていく傾向が示されています。ただし、個々の状況によって適応にかかる期間や負担の度合いは異なるため、一概に「そう」とは言い切れません。親としては、日々の負担を最小限に抑えながら子どもの変化を見守ることが大切です。

親のストレスを軽減する工夫

親がイライラしていると、子どもにも伝染してしまうものですよね…。ですから、仕事と家庭の両立を考える際、親自身の負担を減らすための工夫が求められます。負担を減らす方法として、次のような対策が考えられますよ。

家庭内での役割調整

仕事の調整が難しい場合、パートナーや家族と分担の方法を見直しましょう。

外部支援の活用

放課後児童クラブや地域の見守りサービスを利用し、子どもの生活リズムを安定させましょう。

仕事の調整を模索する

勤務時間の調整が可能か、職場の制度を再確認しましょう。

小4の壁への備え|長期的なキャリア設計

「小1の壁」を乗り越えた後も、子どもの成長に応じた新たな課題が発生することがあります。「9歳の壁」と呼ばれる、小学校3、4年生頃に見られる発達段階の変化はその一例です。学習量の増加や習い事の拡大だけでなく、この時期の子どもは、抽象的な思考ができるようになり、自己や他者に対する認識が深まります。

こうした変化に備え、家庭での関わり方を見直すとともに、現在の職場環境や働き方の調整が長期的に可能かを確認しておくことが重要です。

最後に

「小1の壁」は、子どもの成長とともに訪れる大きな転機です。退職、転職、フルタイム継続、それぞれの選択肢にはメリット・デメリットがありますが、最も大切なのは「家庭と仕事をどう両立するか」という視点

働き続けるためには、職場の制度を活用し、パートナーや周囲の協力を得ながら、柔軟に対応することが求められます。この記事が、これからの働き方を考える際の参考になれば幸いです

TOP画像/(c) Adobe Stock

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執筆

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

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