シャツのシワが気になると、アイロンがけの手間が増え、朝の準備が慌ただしくなります。しかし、シワを防ぐ方法はアイロンだけではありません。洗濯や干し方を工夫するだけで、驚くほどシワを抑えられるのです。さらに、シャツ選びや収納の仕方を変えれば、忙しい日々の中でも手軽にシワを防ぐことができます。
そこで本記事では、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんにシワになりにくいシャツの選び方から、洗濯・干し方・収納・応急処置までをお聞きしました。すぐに実践できる方法を紹介します。
シワにならないシャツを選ぶポイント
シワがつきにくいシャツを選べば、日々のアイロンがけから解放されます。しかし、どんな素材や加工を選べばいいか迷うことも多いでしょう。ここでは、具体的な素材の特徴や、自分のライフスタイルに合ったシャツの選び方を紹介します。
シワになりにくい素材とは? おすすめの生地と特徴
シャツの素材は、着心地や見た目だけでなく、シワのつきやすさも左右します。天然素材ならコットン100%が人気ですが、これは吸湿性が高い反面、シワがつきやすい欠点もあります。そこで注目したいのが「ポリエステル混紡」の素材です。この素材は、ポリエステルの弾力性がコットンのシワを抑え、着用時にもきれいな形を保ちます。
ほかにも「ナイロン混紡」はシワがつきにくく軽量なため、旅行用シャツとしても便利です。素材を選ぶ際は洗濯表示に「形状記憶加工」や「ノンアイロン」と書かれたシャツを選ぶと、さらに安心ですよ。

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メンズ・レディース別のおすすめシャツ
メンズ向けで特におすすめなのが、形状記憶やノンアイロン加工のビジネスシャツです。ビジネスシーンでは清潔感と身だしなみが重要ですが、これらの加工が施されていると、長時間のデスクワークや会議後でもシワが目立ちません。
またカジュアルな服装なら、ポリエステル混紡のオックスフォードシャツが最適です。カジュアルな雰囲気を保ちながら、シワのストレスが減ります。
一方、レディース向けではポリエステル混紡のとろみシャツが便利です。さらりとした生地感が特徴で、シワになりにくい上に、オフィスでも休日でも幅広く着回せます。季節を問わず使えるため、ワードローブの定番として重宝します。もしカジュアルな印象が好みであれば、ストレッチ性のあるシャツを選ぶと、動きやすくシワもつきにくくおすすめです。
洗濯でシワを防ぐ! 洗い方の工夫
シャツのシワを防ぐには、洗濯の方法に注意を払うことが肝要です。忙しい毎日の中でも、少し洗い方を工夫するだけで、アイロンがけの負担を減らせます。ここでは初心者でもすぐに取り入れられる、シワを防ぐ洗濯のポイントをお伝えします。
洗濯機の設定と洗剤の選び方
シャツがシワになる原因の一つは、脱水時に強い力で生地が圧迫されることにあります。洗濯機の脱水設定を「弱」や「短時間」に変更すると、生地が強くねじれたり圧迫されることを防げます。また、脱水後に放置するとシワが固定されやすくなるため、洗濯終了後はすぐに取り出して干すようにしましょう。
洗剤選びにもコツがあります。柔軟剤が入った洗剤を使うと繊維同士の摩擦が減り、生地が柔らかくなってシワになりにくいです。漂白剤は生地を傷めてシワの原因になりやすいため、どうしても必要な場合以外は使わない方が安心できます。
干し方次第でシワ知らず! 正しいハンガーの使い方
シャツを干す際のハンガー選びはとても大切です。針金ハンガーなど細いハンガーにかけると肩の部分に跡がつきやすく、乾燥後にシワが残りがちです。シャツを干すときは、肩幅に合った厚みのあるハンガーを選びましょう。肩にフィットするタイプを使えば、シャツの形を整えやすくなり、乾いた後も美しい形状をキープできます。
また、干す際にはシャツの前ボタンを上から2〜3つ留めるのがポイントです。こうすることで型崩れを防ぎ、生地が不自然に折れたり、よじれたりすることを防げます。最後にシャツの袖や裾を軽く引っ張りながら干すことで、生地の繊維が伸びてシワがつきにくくなります。

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たたみ方を変えるだけ! シワを防ぐ収納のコツ
せっかく洗濯でシワを防いでも、たたみ方や収納方法を間違えると、台無しになりかねません。収納方法ひとつで、シワのないきれいなシャツを長持ちさせることができます。ここでは日常生活でも旅行先でも役立つ、丁寧なたたみ方と収納の工夫をお伝えします。
旅行でもシワなし! スーツケースへの上手なたたみ方
旅行や出張では、シャツをコンパクトに収納しつつも、シワを防ぐことが肝要になります。特におすすめなのが、丸めて収納する「ロール畳み」です。シャツを縦に三つ折りした後、襟元から裾に向かってクルクルと軽く巻きます。この方法は折り畳むよりもシワがつきにくく、スペースを有効活用できます。
さらに、ロール畳みをするときに薄手のタオルや柔らかい衣類を間に挟むと、ふっくらと丸める事ができ、よりシワになりにくいでしょう。スーツケースに収納する際には、一番上の荷物の下敷きにならないよう、重い物の上に置くことがポイントです。これだけで現地でもシワの少ないシャツを気持ちよく着ることができます。