家事の中でも厄介な「染み」落とし。特に時間が経ったものは落ちにくく、間違った対処をすると逆に定着してしまうこともあります。この記事では、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんに身近なアイテムを活用しながら、簡単に染みを落とす方法をお聞きしました。自宅でできる効果的な染み抜きを試してみましょう。
外出先でもできる応急処置のコツ
外出先で服に染みがついてしまうと、すぐに洗えないため困ることが多いですが、適切な応急処置をすれば染みの定着を防げます。ここでは、飲食店やオフィスにあるもので手軽にできる染み落としの方法を紹介していきましょう。
服についたケチャップやカレー、染みを広げずに応急処置
ケチャップやカレーは、色素と油分が混ざっているため、すぐに対応しないと繊維に定着しやすいです。まず、乾いたティッシュやナプキンで軽く押さえるようにしたり吸い取って余分なソースを取り除きます。こすると染みが広がるため、注意が必要です。

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ボールペンや醤油の染みは「広げない」処置が肝要
ボールペンのインクや醤油の染みは、水だけでは落としにくく、間違った処置をすると繊維に染み込んでしまいます。ボールペンのインクがついた場合は、アルコール成分を含む除菌シートやウェットティッシュで軽く叩くように拭くのが効果的です。強くこすらず、汚れを浮かせるようにすると、広がるのを防げます。
醤油の染みは、広がりやすいため、水を直接かけるのは避けるのが賢明です。まず、乾いたティッシュで優しく押さえて余分な醤油を吸い取りましょう。その後、炭酸水を少し垂らして、紙ナプキンで押さえながら吸収させると、繊維の奥まで染み込むのを防げます。
時間が経った染みを落とす最強の方法
時間が経った染みは繊維の奥まで染み込んでしまい、通常の洗濯では落としにくくなります。しかし、適切な方法を使えば、頑固な染みも驚くほどきれいにできますよ。ここでは、染みの種類ごとに効果的な染み抜きの手順を紹介します。
カレー・ケチャップの染みを落とすには「分解」と「吸着」がポイント
カレーやケチャップは、油分・色素・たんぱく質が混ざった汚れのため、複数の成分に働きかける処理が必要です。まず、染み部分をぬるま湯に浸しながら食器用洗剤を少量つけ、指で軽くもみ洗いします。この工程で油分を浮かせることができます。
色素が残る場合は、酸素系漂白剤をぬるま湯に溶かし、染み部分を30分ほど浸すと効果的です。漂白剤を直接つける前に、少量の重曹を振りかけるとさらに汚れが浮きやすくなります。処理後は通常通り洗濯をしてください。
醤油・ボールペンの染みは「染み込ませずに分解」する
醤油やボールペンのインクは、繊維に定着しやすいため、染みが繊維の奥にまで入り込まないように処理することが大切です。
まず、机の上に乾いたタオルを置き、染みのついた面をタオルに当てます。生地の裏から染み抜き剤を少しずつ垂らして押し出すように拭くと、汚れを生地に浸透させずタオルに移りやすくなります。醤油の染みには、重曹と少量の酢を混ぜてペースト状にし、染みの上に乗せて5分ほど置くと効果的です。その後、水で流しながら軽くもみ洗いをしてください。
ボールペンのインクは、アルコール成分(除光液や消毒用エタノール)を綿棒につけて軽く叩くように処理すると、少しずつインクが浮き出てきます。処理後は、すぐに洗剤で洗い流すとインクが残りにくくなりますよ。
100均&市販アイテムで簡単染み抜き!
「専用の洗剤を買うほどではないけれど、手軽に染みを落としたい」と考える人にとって、100均やドラッグストアのアイテムは心強い味方です。ここでは、手に入りやすく、コストを抑えながら使える染み抜きアイテムを紹介します。
100均で買える! コスパ抜群の染み抜きアイテム
100均には、染み抜きに役立つアイテムが豊富に揃っています。特に、ダイソーやセリアで購入できる「染み抜きシート」「重曹スプレー」「衣類用ブラシ」は、低コストで手軽に使えるため人気があります。
染み抜きシート
外出先での応急処置に便利。シートに含まれた成分が汚れを浮かせるため、水なしでも対応可能です。
重曹スプレー
皮脂汚れや軽い黄ばみに効果的。衣類に吹きかけたあと、タオルで軽く押さえるだけで簡単にケアできます。

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衣類用ブラシ
繊維の奥に染み込んだ汚れを落とすのに最適。染み抜き剤と組み合わせることで、より効果が高まります。
100均アイテムは、日常的な汚れや応急処置向けに適しています。頑固な染みには、市販の染み抜き剤と併用すると効果が出やすくなりますよ。