企業の経営層や上級管理職を指し、意思決定や戦略策定を担う役割が特徴。
Summary
- エグゼクティブは「経営層」「上級管理職」を指す言葉。
- 企業のCEOやCOOなど、意思決定や戦略策定に関わる役職が該当。
- ビジネス以外でも「高級」「上質」という意味で使われる場合も。
エグゼクティブと聞くと、どんなイメージを思い浮かべますか? 「経営層」「重役」「高級」など、さまざまな印象があるかもしれませんね。この記事では、エグゼクティブの正しい意味や役割について、社労士の視点からわかりやすく解説します。
エグゼクティブとは? ビジネスでの意味と役割
エグゼクティブとは、どのような意味や役割なのでしょうか? まずは、ビジネスシーンでの意味や役割をみていきましょう。

(c) Adobe Stock
エグゼクティブの基本的な意味と語源
「エグゼクティブ(executive)」は、英語に由来する言葉で、「実行する」「遂行する」という意味を持つ動詞“execute”に関連しています。まず「エグゼクティブ」の定義を辞書で確認しましょう。
エグゼクティブ【executive】
企業などの上級管理職。経営幹部。重役。転じて、高級。ぜいたく。「―カー」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「エグゼクティブ(executive)」は、ビジネスシーンでは、特に企業の上級管理職や経営幹部を指す言葉です。日本の伝統的な言い方では、「重役」などに近いニュアンスの言葉ともいえるでしょう。
ビジネスにおけるエグゼクティブの定義
ビジネスシーンでは、エグゼクティブは会社の経営や方針決定に関わる責任ある役職のこと。具体的にはCEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)などが該当します。エグゼクティブは、一般の管理職とは異なり、経営戦略の策定や意思決定に直接関わる点が大きな違いですね。
「エグゼクティブ」が通じないことも?
「エグゼクティブ」という言葉は、すべての業界や企業で共通認識があるとは限りません。実際、あるスタートアップ企業で働く女性が「エグゼクティブ」という言葉を使ったところ、取引先から「それって何の役職ですか?」と聞かれて驚いた、というエピソードも。このように、業界によっては浸透していないケースもあります。
また、人によっては、「なんだか気取った言い方だ」と感じることもあるようですよ。転職先や顧客対応の場では、こうした文化の違いも意識しておくとスムーズでしょう。
エグゼクティブは、高級なイメージ?
ホテルやメディアで「エグゼクティブラウンジ」や「エグゼクティブ向けサービス」などのフレーズを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このような場合、エグゼクティブは、経営幹部というよりは、「高級」や「上級」といった意味で使われることが多いですよ。ビジネス上の使い方と少しニュアンスが異なることがありますので、合わせておさえておくと便利ですね。
実際に、筆者の知人Sさん(40代後半女性)は、都内の高級ホテルに宿泊した際のエピソードを語ってくれました。
「フロントで、エグゼクティブフロアにアップグレードできますと言われて、一瞬固まっちゃったんだよね。エグゼクティブは、なんだか高級っていうイメージだったから」と笑うSさん。このように、エグゼクティブは、使うシーンによっては、上質やものや高級なものという連想をする人も多いでしょう。

エグゼクティブの役職と種類|企業での位置づけ
どんな役職が「エグゼクティブ」に含まれるのでしょうか? 企業におけるエグゼクティブの代表的な役職を見ていきましょう。
エグゼクティブ職の代表例(CEO、COOなど)
企業のトップ層には、CEO、COOといった役職があります。これらは単なる肩書きではなく、企業経営において重要な責任を担うポジションですよ。
CEO(最高経営責任者)
CEO(chief executive officer)は企業全体の経営戦略や方針を決定し、最終的な意思決定を担うポジションです。主にアメリカ型の企業統治組織で使われる肩書きですが、日本のメディアでも見かけることが増えてきましたよね。
なお、CEOは日本でいう代表取締役や会長に近い立場ですが、実際にはさらに幅広い役割を果たしています。企業によってはCEOが経営戦略の策定に加え、業務執行のチェックまで行うこともありますが、近年ではCEOが戦略に専念し、執行はCOOなどに委ねるケースも増えてきていますよ。
もう一つおさえておきたいのは、日本では正式な役職名として「CEO」が使われているとは限らないということ。たとえば、取締役会や執行役といった本格的なガバナンス体制が整っていない企業でも、会社の代表をあえて「CEO」と呼んでいることもあるようです。

(c) Adobe Stock
COO(最高執行責任者)
COO(chief operating officer)はCEOが決めた戦略に基づき、実際の業務執行を管理するポジション。販売や製造などの主要な部門を統括し、会社全体の運営をスムーズに回す、いわば現場のリーダーのような存在です。

CEOやCOOなど企業経営に直結する責任ある役職が「エグゼクティブ」です。
エグゼクティブと管理監督者の関係
「エグゼクティブ」と関わりのある言葉として、おさえておきたいのは、労働基準法上の「管理監督者」です。管理監督者とは、労働基準法第41条において、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外となる立場の人のこと。
管理監督者は、一般的な労働者とは異なり、働く時間に縛られず、経営者に近い視点での働き方が求められる存在です。経営層・上級管理職を指すエグゼクティブは、この管理監督者と概念上重なる点もあるでしょう。
ただし、肩書きだけではなく、実態として「経営者と一体的な立場か」「その地位に見合った待遇か」「厳格な出退勤時刻や勤務時間の制限がないか」などが重要とされていますよ。つまり、「エグゼクティブ」という呼び名だけでは判断できないということですね。
企業の責任あるポジションを目指す方には、こうした法律上の立ち位置も知っておくと安心です。
参考:東京労働局「しっかりマスター労働基準法 管理監督者編」
エグゼクティブとして成功するためのヒント
エグゼクティブを目指すには、どんな資質やスキルが求められるのでしょう。ここでは、成功するためのポイントを紹介します。

(c) Adobe Stock
成功するエグゼクティブになるカギはEQ(感情知性)
エグゼクティブの資質として、変化への対応力や経営スキルはもちろんですが、近年特に注目されているのが「EQ(感情知性)」です。感情をうまくコントロールし、他者の感情にも配慮できる力は、チームを導くリーダーには欠かせません。
特に近年は、ハラスメントへの社会的な目が非常に厳しくなっており、感情的な言動によって信頼を失うリスクも高まっていますよね。
実際、会社の顔ともいえるエグゼクティブ層が、感情を爆発させてしまい、パワハラにつながるような発言をしてしまったというニュースを耳にしたことがある人も、多いのではないでしょうか?
成功するエグゼクティブには、知識や実務能力だけでなく、自分の感情を調整したり、他者に共感する力も強く求められる時代になってきているといえるでしょう。
最後に
- エグゼクティブは「経営層」「上級管理職」を指す言葉です。
- 企業のCEOやCOOなど、意思決定や戦略策定に関わる役職が該当します。
- 成功するエグゼクティブにはEQ(感情知性)や共感力が重要。
この記事では、エグゼクティブという言葉の意味や、イメージ、関連する用語などを解説しました。自分のキャリアに重ねて考えることで、将来の選択肢が広がるかもしれません。自分らしい働き方を見つけるヒントとして、ぜひ参考にしてくださいね。
TOP・アイキャッチ・吹き出し画像/(c) Adobe Stock

執筆
塚原社会保険労務士事務所代表 塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
事務所ホームページ:塚原社会保険労務士事務所
ライター所属:京都メディアライン


