「また」の使い方とは?基本の意味と役割を整理

メールをはじめとしたビジネス文書で「また」を正しく使うには、言葉の意味を正確に理解しておく必要があります。どのような意味を持ち、どんな役割を果たすのか、さらに読点の打ち方などもチェックしましょう。
接続詞としての「また」の役割
「また」は、前述の内容と同等の重要性を持つ情報を追加する際に使用する接続詞です。辞書では接続詞としての「また」を、次のように解説しています。
また
[接]
1. 事柄を並列・列挙するときに用いる。ならびに。「彼は、英語もドイツ語も、—フランス語も話せる」
2. さらに別の事柄をつけ加えるときに用いる。その上。「おもしろいだけでなく、—役に立つ」「医者であり、—文学者でもある」
3 並列・列挙した事柄のうち、どれを選択してもいいときに用いる。あるいは。または。「行ってもいいし、—行かなくてもいい」
小学館『デジタル大辞泉』より一部引用
「また」は並列的な関係にある事柄を列挙したり、追加情報を伝える際などに適した接続詞です。英語で言えば “also” や “in addition” に相当します。ビジネス文書では複数の要素を紹介する際、自然な流れを作るために用いるのが基本です。
「また」には副詞としての意味も
辞書には以下のように、副詞としての「また」の意味も記載されています。
また
[副]
1. 前にあったことがもう一度繰り返されるさま。ふたたび。「あした—来ます」「いつか—お話を聞かせてください」「—失敗した」
2. ほかのものと同じ状態にあるさま。ひとしく。同じく。「息子も—父親と同様、学者だ」
3. そのものと別であるさま。「忙しいから—にしてくれ」「—の機会」
4. さらに別の事柄がつけ加わるさま。その上に。「秋は—収穫の季節でもある」
5. 驚きや疑問の気持ちを表す。まったく。それにしても。「—えらい失敗をしたものだ」「—なんときれいな花だ」
小学館『デジタル大辞泉』より一部引用
主に「再び」や「同様に」といった意味を持ち、時間的な繰り返しや同じ状況が再度起こることを表現する際に使われます。「またお会いできる日を楽しみにしています」といった用法が一例です。
副詞とは、簡単に言うと動詞や形容詞などの名詞以外を修飾する言葉です。接続詞の「また」とは多少意味が違うことに注意しましょう。
「また」を使うときの読点のルール
「また」は文頭で使用することが多い言葉です。その際には読点を付けて「また、」と区切るのが一般的です。ただし「また、○○は、〜」など、次の読点が近い場合は「また」と次の語はつなげたほうがよい場合もあります。
読点に関する明確なルールはなく、好みによって打つ位置を変えるケースも少なくありません。同一の文で「また」を複数回使用する場合は、読点の位置を工夫して文章の読みやすさを保ちましょう。
読点の位置で区切りながら音読してみると、自然な位置かどうかわかりやすくなります。
ビジネスシーンで「また」を使うときの注意点

ビジネスシーンでは「また」に限らず、言葉の使い方が仕事の結果に影響を与える場合も少なくありません。特に事務系の職種でメールや資料といった文書を多く作る場合は、接続詞を正しく使うことで内容が伝わりやすくなります。
「また」をビジネス文書に使うときに気を付けたいポイントを2つ紹介します。
「また」を多用せず言い換え表現も使う
「また」を連続して使うと文章が単調になり、読み手に冗長な印象を与えてしまいます。しかも、多用している「また」が誤用…つまり並列や追加の意ではなかった場合、意味も正しく伝わりません。
ですので、同一文中や段落内での「また」の繰り返しは避け、適切な接続詞や表現に置き換えましょう。そうすることでグッと読みやすくなる上に、意味も伝わりやすくなりますよ。文章全体の流れやリズムを意識し、接続詞のバリエーションを持たせてください。
「また」の代替表現として挙げられるのは、「そして」「さらに」「加えて」「その上」「併せて」などです。文脈や伝えたいニュアンスに応じて、適切な言い換え表現を選ぶと「また」の多用を回避でき、スマートな印象になります。
「そして」「また」「さらに」をうまく使い分ける
「そして」は、前述の内容に続く出来事や結果を示すときに用いる接続詞です。接続詞としての「また」は、同等の重要性を持つ情報を並べる・追加する際に使います。「さらに」は、前述の内容を強調・発展させる情報を加える際に使う接続詞です。
これら3つの接続詞を使う順番に明確なルールはありません。それぞれ接続詞としての役割を理解した上で、文脈や論理の流れに応じて適切に選択・配置しましょう。順番の例として、次のような流れが考えられます。
1.「また」で同等の情報を追加
2.「そして」で前後の内容の連続性を示す
3.「さらに」で前述の内容を強調・発展させる情報を追加
上記のような組み立てを意識すれば、すべて「また」でつなげるより単調さがなく、意味も適切に伝わるでしょう。
メール例文で見る「また」の自然な使い方

実際の例文を見ると、「また」の自然な使い方がわかります。2パターンに分けて、「また」を使ったメールの例文を見てみましょう。
【例文1:上司への進捗報告メール】
件名:今週の業務進捗について
〇〇課長
お疲れ様です。△△研修中の○○です。
今週の業務進捗についてご報告いたします。
請求書の作成業務は、本日中に全て終える予定です。
また、総務課へのデータ提出についても明日午前中には完了する予定です。
ご確認のほどよろしくお願いいたします。【例文2:外部への納期連絡メール】
件名:納品スケジュールのご連絡(株式会社〇〇様)
株式会社〇〇
営業部 △△様
いつも大変お世話になっております。○○株式会社の□□です。
ご依頼いただいておりました成果物につきまして、7月30日にデータの納品を予定しております。
また、紙資料の発送も同日中に手配予定ですので、到着は8月第1週になる見込みです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
「また」の使い方に迷ったときのポイント

ビジネス文書で「また」を使うのが適切か、迷うときもあるでしょう。判断しかねる際はどうすべきか、対処法を2つ紹介します。
接続の目的によって「なお」「一方」も検討する
並列や追加でない場合に「また」を使うと、論理的な構造がおかしくなり、意味が伝わらなくなってしまいます。
例:
×「彼はプレゼンが得意です。また、資料を作成するのは早くありません。」
○「彼はプレゼンが得意です。一方、資料を作成するのは早くありません。」
上記の例では、同じ人物の特徴でも良い点と悪い点を並べているので、並列の「また」を選んでしまうと論理的に正しくありません。「また」を使う前に前後の文の関係性を明確にし、情報の追加や並列を示す目的であるかどうか確認しましょう。
「また」が適切でない場合には、例のように「一方」や「なお」といった接続詞のほうが適していることがあります。「一方」は対比や異なる視点を提示する際に、「なお」は別の補足情報や注意事項を追加する際などに使う接続詞です。
第三者にチェックしてもらう
自分の文章で「また」の使用が適切かどうかを判断しかねるときは、第三者にチェックしてもらうのも一つの手。客観的な意見を取り入れることで、文章の改善点が明確になります。
特にビジネス上で言葉使いに注意したい場面では、不安があるなら人にチェックしてもらうのが確実です。フィードバックを生かして、徐々に自分で判断できるようになれば問題ありません。
まとめ
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「また」は並列や追加に使われる接続詞で、副詞としての用法もある
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ビジネス文書では「また」の多用や誤用を避け、自然な言い換えを意識しよう
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特にビジネスシーンでは、文脈や目的に合わせた接続詞の選び方が大切
ちょっとした言葉使いで、文章全体の印象が変わります。「また」を適切に使いこなすことは、読みやすさだけでなく、伝わる文を書くための第一歩です。自信を持って仕事をこなすためにも、言葉の使い方を身につけていきましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
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