「嬉しかった」の基本をおさらい

そもそも「嬉しかった」とはどのような言葉なのかを解説します。意味や使い方を改めて確認することで、おのずとどのような言葉が言い換え表現となるのかイメージできるようになるはずです。ボキャブラリーを増やすための基礎を固めましょう。
「嬉しい」と「嬉しかった」の違い
「嬉しい」も「嬉しかった」も喜びや満足感を形容する言葉です。
うれし・い【×嬉しい】
[形][文]うれ・し[シク]
1 物事が自分の望みどおりになって満足であり、喜ばしい。自分にとってよいことが起き、愉快で、楽しい。「努力が報われてとても―・い」「―・いことに明日は晴れるらしい」⇔悲しい。
2 相手から受けた行為に感謝しているさま。ありがたい。かたじけない。「あなたの心遣いが―・い」
3 (俗な言い方で)かわいい。にくめない。「何と―・い男じゃないか」
小学館『デジタル大辞泉』より引用
共通した意味を持つ両者の違いは、活用形にあります。「嬉しかった」は形容詞「嬉しい」の連用形である「嬉しかっ」に、過去を表す助動詞の「た」が付いたもの。つまり「嬉しかった」は過去の感情を表す言葉なのですね。
現在進行形で喜びを感じているときには「嬉しい」を、過去に喜びを感じたことを表したいときには「嬉しかった」を使用しましょう。
「嬉しかった」が使われる典型的な場面
「嬉しかった」という言葉は、ビジネスでもプライベートでも広く使われる表現です。このひと言で、自分の素直な感情だけでなく、相手にしてもらったことへの感謝も含めて表すことができます。
「嬉しかった」を用いた例文は以下の通りです。
【例文】
・本日はお会いできて本当に嬉しかったです。
・感謝の言葉をいただけてとても嬉しかったです。
・最後まで応援してくれてありがとう。とっても嬉しかったよ。
ニュアンス別「嬉しかった」の言い換え表現

「嬉しかった」は、ニュアンスの異なるさまざまな言葉に言い換え可能です。多彩な言葉に言い換えられるようになれば、自分の感情をより的確に表現できるでしょう。
ニュアンス別に「嬉しかった」の言い換え表現を解説します。
強い喜びを表す場合
喜びの感情が爆発してしまったときには、「感激した」「舞い上がった」「感無量だった」などの表現が使えます。
「感激した」は強く気持ちが高揚したことを表す言葉です。「舞い上がった」は心が浮き立つような喜びや興奮で冷静さを失うことを指します。「感無量だった」は、何も言えないほどに深く心が動かされたことを表しています。
これらの言葉を使用した例文は以下の通りです。
【例文】
・みなさんに誕生日を祝ってもらえて、本当に感激しました。
・心温まるお言葉をいただいたので、つい舞い上がってしまいました。
・心血を注いで取り組んできたプロジェクトが成功し、感無量でした。
心が温かくなったことを表す場合
相手の言葉や行動に心がほっこりと温まったときには、「ありがたかった」「胸が熱くなった」「心にしみた」などの表現が適しています。
「ありがたかった」は人からの親切や好意などを受けて、心から感謝し嬉しく思う様子。「胸が熱くなった」は、文字通り感動があふれて胸がじんと熱くなる様子を表現した言葉です。「心にしみた」は心に深くしみじみと感じたことを表します。
上記の表現を使用した例文は以下の通りです。
【例文】
・友人たちの優しい言葉が本当にありがたかったです。
・先輩の情熱に胸が熱くなりました。
・つらいとき、そばにいてくれた友だちの優しさが心にしみました。
安心や安堵を表す場合
安心や安堵の気持ちを伴う「嬉しかった」をほかの言葉で言い表したいときには、「ほっとした」「安心した」「救われた」などの表現を使ってみましょう。
「ほっとした」は安心した瞬間にもらす一息を表現した言葉で、気持ちが楽になった際によく使われます。「安心した」は心配事が解消され、心が落ち着いたことを言い表しています。「救われた」は窮地や苦境から解放され、安心感を覚えたことを表す言葉です。
それぞれの言葉を用いた例文は以下の通りです。
【例文】
・迷子になった息子と再会できて、ほっとしました。
・娘の保育園が決まって本当に安心しました。
・部長の気づかいあふれる言葉に救われました。
シーン別「嬉しかった」の言い換え表現

「嬉しかった」の言い換える場合、シーン別にしっくり来る言い回しが変わってきます。シーンに合うか否かを無視して言葉を選ぶと、「空気が読めない人」に認定されてしまうおそれがありますので注意が必要です。
ここでは、「ビジネス」「プライベート」「オンライン」という3つのシーンで使える、「嬉しかった」の言い換え表現を紹介します。
ビジネスで使える表現
ビジネスシーンで「嬉しかった」を表現するには、「光栄でした」「この上ない喜びでした」「幸甚の極みでした」などの表現がうってつけです。
「光栄でした」はチャンスを与えてもらったり、仕事に対してポジティブな評価をもらった際に、相手への感謝の気持ちを表す言葉として使われます。「この上ない喜びでした」は強い喜びをフォーマルに表現した言い回しです。「幸甚の極みでした」の「幸甚」とは、「この上なくありがたく思う気持ち」を表します。「極み」という言葉と合わせることで、「この上ないほど最高の幸せ」を指すのです。
「この上ない喜びでした」と「幸甚の極みでした」は格調高い表現であり、文書の中で使われることが多いので、あわせて覚えておきましょう。
これらの言い回しを使った例文は以下の通りです。
【例文】
・念願のプロジェクトリーダーに抜擢され、大変光栄でした。
・お客様から感謝の言葉をいただいたときには、この上ない喜びを感じました。
・大変貴重な機会をいただき、幸甚の極みでした。
プライベートで使える表現
プライベートで「嬉しかった」を色彩豊かに表すには、「心強かった」「元気が出た」「にやけた」などの表現が適しています。
「心強かった」は、相手のサポートが心の支えになったという表現です。「元気が出た」は原動力となる力が湧いてきたことを表しています。「にやけた」は、嬉しくて思わず口元が緩んでしまう様子を指します。ちなみに「にやける」の本来の意味は「なよなよしている様子」ですが、時代の流れとともに嬉しいことを表す言葉としても使われるようになりました。
上記の言葉を用いた例文はこちらです。
【例文】
・病気で入院したとき、家族のお見舞いがとても心強かったです。
・お気に入りの映画を見て、久々に元気が出ました。
・できないことにチャレンジする子どもの姿が愛おしくて、思わずにやけてしまいました。
オンラインで使える表現
SNSで嬉しい気持ちを言い表したいときは「最高かよ」「尊い」「しんどい」など、ユーモアのある表現がおすすめです。
「最高かよ」は、この上なく素晴らしいことを表す「最高」に、強調の役割を持つ「かよ」が付いた言葉。相手にツッコミを入れるような雰囲気で使用されることが多い表現です。
「尊い」は本来「気高く神聖で近寄りがたいこと」を表す言葉ですが、オンライン上では「感激した」「最高」といった意味で用いられます。
「しんどい」も本来は「疲れてつらい状態」という表現であるものの、「しんどくなるほど素晴らしい」「しんどくなるほど好き」などのネットスラングとして使用されます。
これらの言い回しを使った例文も見てみましょう。
【例文】
・ここに来て〇〇とコラボするなんて最高かよ。
・今日も推しの存在が尊い。
・推しの笑顔がかわいすぎてしんどい。
まとめ
「嬉しかった」は過去の喜びや感謝の気持ちを表す言葉
湧き上がる感情の質に合わせて言い換えが可能である
シーンに応じて言い換えることが大切
「嬉しかった」の言い換え表現をたくさん知っていると、さまざまな言葉を使って自分の思いを表せるようになります。ビジネスやプライベートで使える語彙力を強化して、自分の感情をより鮮明に表現できる言葉をセレクトしてみてください。
メイン・アイキャッチ画像/(c)Adobe Stock
TEXT
Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
https://domani.shogakukan.co.jp/
あわせて読みたい


