「ご愛顧」とは?意味や読み方
まずは「ご愛顧」の読み方と意味を解説します。混同されがちな言葉「ご愛好」との違いも説明しているので、よく理解して状況に合わせて使い分けましょう。
「ご愛顧」の読み方と意味
読み方は「ごあいこ」です。相手に敬意を表す「ご」を頭に付けた尊敬語になるため、目上の人にも使用可能です。「ご愛顧」には「目をかける」という意味があります。「目をかける」とは、よく面倒を見てもらったり特別に可愛がってもらったりする状況のことです。ビジネスの場面では、目をかけてもらった取引先や顧客に対して「ご愛顧」が使われます。取引先と今後も長く良好な関係を築きたいなら、「ご愛顧」を使って感謝の気持ちを伝えましょう。
あい‐こ【愛顧】
[名](スル)目をかけ引き立てること。引き立てられる側からいう語。ひいき。「今後ともいっそうの御愛顧を賜りますよう」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
ただ、使用するときの注意点は、「ご愛顧」には経済的な引き立ての意味合いが含まれることです。自社にお金の支払いがある相手に対してだけ使える言葉なので、誰にでも使用できるわけではありません。また、社内の上司や先輩には使用できないので注意が必要です。
「ご愛顧のほど」とは
「ご愛顧のほど」は相手に引き立ててほしい時に使えるフレーズ。ビジネスメールなどでよく見かける「〜のほど」は、「断定を避け、表現をやわらげる」用途で使える言葉です。「ご愛顧ください」と言うと命令しているように聞こえてしまう可能性がありますが、「変わらぬご愛顧のほどお願いいたします」や「末永いご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます」などクッション言葉で挟むことで印象がやわらぎます。
「ご愛好」との違い
「ご愛顧」と「ご愛好」を混同している人も多いですが、意味はまったく異なります。「ご愛好」は、「ごあいこう」と読み、「ある物事を好んで楽しむ」という意味。例えば、「〇〇愛好家」「〇〇愛好会」など、集まりの名称や人を形容するときに使用される言葉です。「ご愛顧」を読み違えていて漢字変換を間違えるパターンもあるので気をつけましょう。
▼あわせて読みたい
「ご愛顧」を使用するときの注意点
続いては「ご愛顧」を使用するときの注意点について解説します。
自分の行為に対して使用できない
「ご愛顧」は、自分の行いに対して使用することはできません。例えば、「弊社は御社を愛顧している」「私はこの会社を愛顧している」の形で使われることはないのです。あくまで相手からそうしていただきたい、いただいているという受け身での使用を念頭にしてください。自分の行為に対して使う場合は、「ひいき」を使うのが一般的です。例えば、「私はこの会社をひいきにしている」と言うことができます。
お客様への文書で使われる
「ご愛顧」には経済的な引き立ての意味合いが含まれるため、主にビジネスの場で使用されます。また、通常は書き言葉で使われており、取引先への文書やメールで使用されることが一般的です。その他、顧客や取引先に向けた新商品や事業の発表会においては、口頭での挨拶の冒頭や締めの言葉として「ご愛顧」が使われることもあります。
「ご愛顧」の具体的な例文と表現
ここからは、「ご愛顧」の例文を紹介します。年賀状や暑中お見舞いなどシーン別に例文を紹介するので、状況に合わせて使いましょう。
年賀状で使える表現
「ご愛顧」は、年の初めに送る年賀状の挨拶でも使われます。年賀状の挨拶には、昨年に目をかけていただいた感謝、そして今後も引き続き「ご愛顧」してほしい気持ちを伝えます。
例文
・昨年は格別のご愛顧を賜り誠にありがとうございました。本年も何卒よろしくお願いいたします。
・旧年中のご愛顧感謝申し上げます。今年も変わらぬご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。