Contents
「かたじけない」の意味と語源
「かたじけない」は「ありがとう」に変わる言葉です。平安時代に使われていた古語が語源で、もともとは「恐れ多い」という意味の言葉でした。まずは「かたじけない」の意味と語源を詳しく解説します。また間違いやすい「めんぼくない」との違いも紹介するので、正しい使い方を心がけましょう。
「ありがとう」に代わる言葉
「かたじけない」は、感謝の気持ちを伝えるときに使用できる言葉です。例えば、恩を感じる場面や親切な対応をしてくれた場合に「かたじけない」の表現を使えます。また、感謝の気持ちを伝える以外にも「恐れ多い」という謙遜の意味合いも含まれます。相手の行動や態度に対して恐縮する場面でも「かたじけない」を使用することができます。
古語である「かたじけない」の語源
「かたじけない」の語源は諸説ありますが、「かたし(忝し・辱し)」や「かたしけ」という説があります。平安時代に使われていた古語で、「恐れ多い」という意味で使用されていました。しかし、時代の流れと共に「恐れ多い」の意味が派生して「申し訳ない」や「有り難い」に変化したといわれています。
ちなみに「かたじけない」を漢字表記すると「忝い」または「辱い」となりますが、通常、ひらがなで書くのが一般的です。漢字表記は読めない人も多いので、「かたじけない」の漢字があることだけ理解しておくのが望ましいでしょう。
「かたじけない」と「めんぼくない」の違い
「めんぼくない」は、自分が何か失敗をして恥ずかしい思いをしたときに使える言葉です。一方、「かたじけない」は、感謝の気持ちを伝えたり謙遜したりするときに使われます。「かたじけない」と「めんぼくない」は混同されがちですが、意味が大きく異なるので間違えて使用しないように注意しましょう。
「かたじけない」の表現と例文3つ
次に、「かたじけない」と同じ意味で使える「かたじけなく存じます」「かたじけなくも」「かたじけないことです」の例文を紹介します。目上の人に使える表現も紹介しているので、状況に合わせて使い分けましょう。
かたじけなく存じます
「かたじけない」は丁寧な言い回しですが、敬語表現ではないため目上の人に使用できません。ただ言葉を少し変化させることで、上司や先輩など目上の人にも使うことが可能です。
・贈り物をたくさんお送りいただきまして、誠にかたじけなく存じます。
・〇〇部長にはいつもご配慮いただき、大変かたじけなく思います。
かたじけなくも
「かたじけなくも」は、「恐れ多い」という意味で相手に謙遜したいときに使える表現です。上司や先輩など目上の人にも使用できるので、感謝の気持ちを伝えたいときに使いましょう。
・かたじけなくも私の分までお送りいただき、誠にありがとうございます。
・〇〇部長にはかたじけなくも、日頃から私の意見を聞いていただきました。
かたじけないことです
使用する相手が親しい間柄の場合は、「かたじけないことです」を使用できます。同じ意味で「かたじけないでござる」もありますが、これは室町から江戸時代に使われた古い言葉です。今はほとんど使用されていないので、「かたじけない」を使用しましょう。また、上司や先輩など目上の人に使うと軽い印象を与えてしまうので、使用するときは十分に注意する必要があります。
・失敗したにもかかわらず、仕事を手伝ってくれて本当にかたじけないです。
・お土産をこんなに多くいただけるとは、まことにかたじけないです。
「かたじけない」の類語表現5つ
「かたじけない」の類語には、「恩に着る」「ありがたい」「感謝」「謝礼」「恐れ多い」があります。意味合いが異なる表現もあるので、正しく意味を理解して使い分けましょう。
恩に着る
「恩に着る」には、「感謝」の意味合いが含まれるため「かたじけない」と似たシーンで使用できます。ただし日常的に使われているというよりも、かしこまった場面で使用されることが多いのが特徴。「かたじけない」は古い印象を与えるので状況に合わせて「恩に着る」という言葉を使うのが良いでしょう。また目上の人には失礼にあたる場合も多いので、使用するときは注意しましょう。
・私の代わりに業務を進めていただき、ありがとうございます。恩に着ます。
・〇〇様には多くの物資をお送りいただき、大変助かりました。恩に着ます。
ありがたい
「ありがたい」は、感謝の気持ちを伝えるときに使用される「かたじけない」の類語表現です。感謝と共にお礼の気持ちも伝えられるので、ビジネスの場面でもよく使用されます。ただし「ありがたい」は、敬語表現ではありません。上司や取引先など目上の人に使用する場合は「〜存じます」「存じ上げます」など丁寧な言い回しにするのが適切でしょう。
・ありがたく頂戴いたします。
・〇〇様からありがたいお言葉を頂戴し、感銘を受けました。
・本日は遠いところまでご足労いただき、ありがたく存じます。
感謝
「かたじけない」の類語表現としてよく使われるのが、「感謝」です。その言葉通り、相手に感謝の気持ちを伝えたいときに使用されます。また敬語表現と組み合わせれば、上司や先輩など目上の人にも使うことが可能です。
・先日の〇〇ではたくさんのお土産をいただき、誠に感謝申し上げます。
・今回のプロジェクトにおいて、〇〇様には度重なるご厚意を賜り、深く感謝いたします。
・早速のご連絡に感謝申し上げます。
謝礼
「ありがたい」と同じく、「謝礼」は感謝の気持ちを表すときに使えます。ただし「ありがたい」と異なるのは、「謝礼」はお礼の気持ちを込めて金銭や品物を贈るという点です。お世話になった人に感謝の気持ちを込めて金品を送ります。
・〇〇では大変お世話になりました。東京から謝礼の品物をお送りさせていただきました。
・本日は〇〇にて誠にありがとうございました。こちら謝礼金をお受け取りください。