恐れ多い
「恐れ多い」も「かたじけない」の類語表現です。「恐れ多い」は、立場が上の人から受けた厚意に対して「自分にはもったいない」という謙遜の意味が含まれるのが特徴。上司から大きなプロジェクトを任された際などビジネスの場面でも使用されます。
・恐れ多いことではございますが、〇〇様へのご連絡よろしくお願い申し上げます。
・先日、恐れ多くも〇〇様からお褒めの言葉をいただきました。
・わざわざ先方から弊社にご足労いただきまして、恐れ多いことでございます。
「かたじけない」の返事の仕方
自分からではなく、先方から「かたじけない」と言われることもあるでしょう。そんな場面で使える返事には、「お気になさらないでください」「お役に立てて嬉しいです」「とんでもないことです」「滅相もないことです」があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
お気になさらないでください
「かたじけない」の返事の仕方には、「お気になさらないでください」があります。相手の言葉に対して「そんなに気にしないで」という気持ちを込めて伝えられる表現です。ただし、状況によっては素直に気持ちを伝えるほうが好ましい場面もあります。その場の雰囲気を見て、上手く使い分けましょう。
・お心遣い誠にありがとうございます。どうぞお気になさらないでください。
・こちらで待たせていただきますので、お気になさらないでください。
・どうぞお気になさらず、先に召し上がってくださいませ。
お役に立てて嬉しいです
感謝の気持ちを込めて「かたじけない」と言われたときは、その気持ちを素直に受け入れるほうが望ましい場面もあります。そんなシーンで使えるのが「お役に立てて嬉しいです」の表現です。「どういたしまして」だけでは軽い印象を相手に与える可能性もあるので、「かたじけない」の返事をするときは十分に注意しましょう。
・微力ながらお役に立てて嬉しいです。
・先日はありがとうございました。〇〇様のお役に立てたのであれば幸いです。
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とんでもないことです
「とんでもない」を丁寧にした表現である「とんでもないことです」。相手から思いかけず感謝の気持ちを伝えられたときに驚く意味合いが含まれるのが特徴です。
また、同じ意味を持つ「とんでもございません」について、従来は正しい日本語ではないと指摘されることもありました。ただ、2007年に文部科学省が発表した「敬語の指針」によると、謙遜する場面で「とんでもございません」を日本語として使用しても問題ないことが発表されています。
・いえいえ、とんでもございません。皆様のご協力があったおかげでございます。
・とんでもございません、お役に立てて幸いです。
参考:文部科学省「敬語の指針」
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滅相もないことです
「滅相もないことです」も「かたじけない」の返事として適切な表現です。ビジネスの場面では、謙遜や強い否定を伝えたいときに使用できます。
・〇〇様にそう言っていただけるとは、滅相もないことです。私でよければ、またお手伝いさせていただきます。
・私のお手柄なんて、滅相もないことです。皆様のご協力があってこそ成し遂げられた結果です。
・滅相もないことです。当たり前のことをしたまでです。
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「かたじけない」の英語表現
海外の人とのやり取りで「かたじけない」と伝えたいときもあるでしょう。そんなときは、「be too good for 〜」「cry with joy」などを使えば感謝の気持ちを伝えられます。
「be too good for 〜」は、直訳では「〜に良すぎる」という意味があります。ただ、「恐れ多い」の意味合いを含めることが可能です。一方で、「cry with joy」は「涙が出るほど嬉しい」という意味で最上級の感謝を表せます。
・Your consideration is too good for me.(ご配慮いただきまして、かたじけなく存じます)
・Their cooperation made me cry with joy.(かたじけなく、御社のご協力には大変感謝申し上げます)
「かたじけない」の意味を理解して正しく使おう!
「かたじけない」は古い言葉になるため、現代では使用される機会も減っています。しかし、状況によっては「かたじけない」を使用したほうが好ましい場面もあります。そんな場面で適切に使えるように正しい意味を理解することが大切です。また、「かたじけない」と言われたときにも正しく返事できるようにしておきましょう!
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