「ご連絡いたしました」など場面に合った表現を使い分けることが大切です。
「ご報告申し上げます」や「ご連絡申し上げます」のニュアンス比較
「ご報告申し上げます」は、形式的で経過や結果を丁寧に伝える場面に適しています。一方、「ご連絡申し上げます」は、報告に比べて伝える内容に幅があり、事務的な連絡事項や確認の通知といった用途に適しています。どれも敬語のレベルや距離感が微妙に異なるため、相手・状況・伝えたい内容で適切に選ぶ意識を持ちましょう。
言い換えの選び方|相手・場面・文脈でどう使い分ける?
表現を選ぶ際には、誰に(Who)、何を(What)、何のために(Why)伝えるのかを意識するだけで、最適な言葉が自然と選べるようになります。
社外の取引先に対しては、「ご連絡いたしました」や「ご報告申し上げます」などが、相手との信頼関係を崩さず丁寧でしょう。社内での使用では、日常的な連絡であっても、読み手の立場や職位に応じて適切な言い回しに調整したいですね。
いずれにせよ一つの表現に頼らず、相手や文脈に合わせて使い分けていくことで、言葉遣いそのものに柔軟性が生まれ、対話の質が高まっていきます。

すぐに使えるメール・手紙の例文集
具体的なシーンを想定した例文で使い方をマスターしましょう。

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「報告」「お礼」「依頼」など目的別のテンプレート
言葉選びに迷う場面の多くは、用件が明確であっても、どのような表現が丁寧かつ伝わりやすいかを判断しにくい状況にあります。そこで、以下に3つの目的別に、実際の業務で応用しやすい表現例を紹介します。
【報告】
本日、会議資料を提出いたしましたので、ご連絡いたします。
この文では、目的と行動が簡潔に伝わる構成になっています。
【お礼】
先日はご多忙の中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。改めてご挨拶をかねてご連絡申し上げました。
この一文は、感謝の表現と継続的な関係性を意識した表現が両立しています。
【依頼】
来週の打ち合わせ日程について、ご都合をご確認いただきたく、ご連絡いたしました。
文末の調整によって、丁寧な印象がより高まります。
よくあるNG文例と、その改善ポイント
やってしまいがちなNG文例と改善案を紹介します。
【NG】
ご連絡させていただきましたのは、確認をお願いしたかったためです。
「~のは~ためです」という構文は、回りくどく、意図が伝わりにくい印象を与えます。
【改善例】
〇〇の件でご確認いただきたく、ご連絡いたしました。
文の構造がシンプルになり、要件がストレートに伝わります。
より丁寧に伝える応用文例のパターン集
敬語表現に、相手を気遣う「クッション言葉」を添えるだけで、こちらの配慮が伝わり、印象が格段にアップします。
【応用1】
本日中に資料を送付いたしましたので、念のためご連絡申し上げます。
【応用2】
お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【応用3】
取り急ぎご連絡まで失礼いたします。
これらの例では、丁寧語の中に配慮や誠意を含ませる工夫がされています。「取り急ぎ」など、状況や急ぎ度を表現する語を組み合わせると、より臨機応変なやりとりが可能です。重要なのは、内容を飾り立てることではなく、読み手が「丁寧に伝えようとしてくれている」と感じられる要素が含まれているかどうかです。
最後に
- 「ご連絡させていただきました」は二重敬語だが、ビジネス現場では慣用的に広く使われている。
- 重要な連絡や社外メールでは「ご連絡いたしました」「ご連絡申し上げます」などがより適切。
「ご連絡させていただきました」という一つの表現を深掘りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。最も大切なのは、完璧な敬語を使うことよりも、こちらの「相手を敬い、配慮する気持ち」が伝わることです。
自信を持って使える敬語を身につけるには、その場にふさわしい表現を「選び取る目」と、「柔軟な言い換え力」が大切です。ぜひ、本記事で紹介したポイントを活用し、ご自身のビジネス語彙を磨いてください。
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監修
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
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