場面や相手に応じて、適切な類語や柔らかい表現に言い換える工夫が大切です。
柔らかく依頼したい場合
「お手すきの際に」(例:お手すきの際にご確認いただけますと幸いです)
「ご都合のいいときに」(例:ご都合のいいときで構いませんので〜)
相手のタイミングに任せ、負担をかけないニュアンスが伝わる便利なフレーズです。
語調をさらに和らげたい場合
「恐れ入りますが」(例:恐れ入りますが、ご対応のほどお願いいたします)
「お時間を頂戴し恐縮ですが」(例:お時間を頂戴し恐縮ですが、よろしくお願いいたします)
どちらも相手に恐縮する気持ちがダイレクトに伝わるため、重要なお願いや確認に向いています。

お忙しいところ × 定番フレーズ|メール文例&返信例テンプレート集
実際に使えるメール例文を、用途ごとに紹介します。
依頼メールにおける文例
まずは、依頼する際のメール文例を場面別に紹介します。こちらの都合で相手を動かすことになるため、丁寧な表現を心がけましょう。
1:資料の確認を依頼する
文例:お忙しいところ恐縮ですが、添付の企画書について、ご確認いただけますでしょうか。ご意見を伺えますと幸いです。
2:日程調整をお願いする
文例:お忙しい中大変恐縮ですが、下記候補日より、ご都合のいい日時をお知らせいただけますでしょうか。
3:会議出席を確認する
文例:お忙しいところ申し訳ございませんが、〇月〇日の打合せにご出席いただけるかご確認いただけますと幸いです。

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返信・お礼の組み込み例
「返信をもらったこと」や「確認してもらったこと」など、相手の行動に対する配慮を中心に紹介します。
1:返事をくれた相手へのお礼
文例:お忙しい中ご返信いただき、誠にありがとうございます。
2:資料確認後の回答
文例:お忙しいところご確認いただき、ありがとうございました。内容、確かに承知いたしました。
3:後日の回答を伝える場合
文例:お忙しいところ恐縮ですが、確認のうえ改めてご連絡差し上げますので、今しばらくお待ちください。
使いやすい定型フレーズ
続いては、便利な定型フレーズを紹介します。
1:挨拶と併用
文例:お忙しいところ失礼いたします。まずはご挨拶かたがた、ご連絡申し上げます。
2:協力依頼
文例:お忙しい折に恐れ入りますが、ご協力のほどお願い申し上げます。
3:本文への親切な誘導
文例:お忙しい中誠に恐縮ではございますが、ご一読いただけますと幸いです。
形式的に見えないための一文の工夫
相手に配慮した文例を紹介します。
1:感謝を添えて
文例:お忙しいところ、いつも迅速なご対応をいただき感謝申し上げます。
2:業務のねぎらいを含める
文例:お忙しい中にもかかわらず、綿密な調整をいただき誠にありがとうございます。
3:今後への期待もこめて
文例:お忙しい時期かと存じますが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
英語で「お忙しいところ」を伝えるには?
英語では日本語ほど婉曲的な前置きを使わない傾向が強いですが、気遣いを表す際に以下の表現が用いられます。
Thank you for your time.(お時間をいただきありがとうございます)
I appreciate your busy schedule.(ご多忙の中、感謝いたします)
Sorry to trouble you when you’re busy, but …(お忙しいところ恐れ入りますが…)
どれも相手の忙しさを労りつつ依頼や感謝を伝えるニュアンスが含まれています。
最後に
- 「お忙しいところ」は相手への配慮を伝える表現。
- 使い過ぎやワンパターンを避け、適切な言い換え表現も活用しよう。
- 文頭・文末・件名と配置によってニュアンスの調整が可能。
「お忙しいところ」は、単なる形式的な枕詞ではなく、相手の立場や状況に配慮し、ビジネスマナーとして信頼関係を築くための大切なツールです。正しい使い所やニュアンスを知って場面ごとに上手に使い分けることで、受け取る相手に一層良い印象を与えることができます。ぜひ、今日からメールや会話で効果的に活用してみてください。
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執筆
武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。