「傷口に塩」という言葉は、状況をさらに悪化させるような行動をたとえる慣用句として知られています。ただ、適切な使い方まで正しく理解している人は少ないかもしれません。
本記事では、「傷口に塩」の意味や成り立ち、言い換え表現から使い方まで、わかりやすく解説していきます。
「傷口に塩」とはどういうこと?|意味と成り立ちをたどる
一度聞いたら忘れられないほど強烈な印象を持つ、「傷口に塩」という言葉。意味や成り立ちを知ることで、より的確に使えるようになります。
「傷口に塩」の成り立ちと意味
「傷口に塩」は、傷口にさらに痛みを増すように塩を塗ること。転じて、困った状態なのに追い打ちをかけるように災難がふりかかることを意味します。

「傷口に塩」は、困難に追い打ちがかかることを意味。
「傷口に塩」を使える場面や類語、英語表現を確認
「傷口に塩」はインパクトのある言葉だからこそ、使い方を誤ると誤解を招く恐れがあります。ここでは「傷口に塩」を用いる際の適切な場面や類語、さらには英語表現について整理していきましょう。
「傷口に塩」を使ってもいい場面とは?
「傷口に塩」とは、困っている状況にさらに不幸や災難が重なることを意味します。そのため、相手や場面を選ばずに使うと、自分は冗談のつもりでも相手を傷つけ、人間関係を損なうリスクがあります。
たとえ親しい関係であっても、相手の置かれた状況によっては笑えないケースもあるため、注意が必要です。状況をよく見極め、言葉が相手に与える影響を意識して使うことが大切ですよ。
類語や言い換え表現は?
「傷口に塩」と似た意味を持つ言葉には、「泣き面に蜂」「切り身に塩」「追い打ち」などがあります。いずれも、すでに苦しい状況がさらに悪化することをたとえた表現です。
泣き面に蜂
泣いている顔をさらに蜂に刺されて、一層つらい思いをすることから、困っているうえに新たな困難が重なることを表します。「泣きっ面に蜂」ともいいます。
切り身に塩
傷口に塩をこすりつけるように、痛みにさらに痛みを加えることから、すでにある打撃に追い打ちをかけることを意味します。「切り目に塩」とも呼ばれます。
追い打ち
弱っている相手に重ねて打撃を与えることから、苦境にさらに厳しさを加えることを指します。
「傷口に塩」の英語表現
「傷口に塩」に近いニュアンスを持つ英語表現としては、ことわざの “Misfortunes seldom come singly.”(不幸は重なってやってくるものだ。)がよく知られています。
直訳は「不幸はめったに一つだけでは来ない」という意味で、日本語の「泣き面に蜂」や「傷口に塩」と同様に、悪い出来事が続けざまに起こることを表します。
“rub salt in the wound”(傷口に塩を塗る) という表現もあり、こちらは「さらに追い打ちをかける」という意味で使われます。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

実際の会話や発信でどう使う?|具体例と避けたい場面
ここでは、場面に応じた使い方の工夫を考えていきましょう。
ビジネスシーンでの例
例文:プレゼンが失敗した直後に上司から厳しい指摘を受けて、まさに傷口に塩を塗られた気分だった。
「失敗した」という状況にさらに「厳しい指摘」という追い打ちが加わり、精神的な痛みが強調されています。ビジネスシーンで使いやすい表現です。


