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2025.09.24

「理事」と「役員」の違いとは? 企業や法人における役割と責任を解説【社労士監修】

「理事」と「役員」は似たように使われがちですが、実は意味が異なります。特に会社法や法人格の種類によって立場や権限が変わるため、混同すると誤解を招くことも。本記事では、理事と役員の違い・法人ごとの役割・使い分けのポイントをわかりやすく解説します。ビジネスや非営利活動に関わる方は必見です。

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Summary

  • 「理事」は法人の業務執行を担う役職を指す
  • 「役員」は理事を含む経営層全般を表す広い概念
  • 法人格の種類によって役割や権限が異なる

理事と役員は、企業や法人の組織運営に関わる重要な役職です。理事とは、非営利法人等の法人で業務執行を担当する役職で、役員とは、会社法で定められた経営幹部を指します。

しかし、それぞれの役割や権限の違いを正確に説明できる人は多くありません。特に、役員には、取締役、会計参与、監査役の三役など複数の役職があるため、「理事と役員は同じものなのか?」「組織における責任範囲はどう違うのか?」と疑問を持つ人もいるでしょう。

本記事では、理事と役員の基本的な違いを整理し、実務に活かせる視点で解説します。

理事と役員の違いとは?

理事と役員は、企業や法人の組織運営において欠かせない役職です。両者は「組織の意思決定に関与する点」では共通していますが、所属する組織が異なるなどの相違点もあります。この違いを理解することは、組織内でのスムーズな役職選定や意思決定に役立ちますよ。

理事とは? 役員の中での位置づけ

理事は、特定の法人において組織の運営を担う役員の一種です。NPO法人・一般社団法人・医療法人などの非営利法人では、理事が法人の運営方針を決定し、理事会を通じて事業の執行に関与します。理事は法人の定款に基づいて選任され、理事会において法人の事業計画や重要事項の決定に関与します。

法人によっては、理事が業務執行を直接担当する場合もあれば、理事会の決定に基づき業務執行を監督する役割に留まる場合もあります。また、法人ごとに理事の権限や責任は異なり、業務執行権の有無や、理事長との役割分担なども組織ごとの規定によって定められています。

理事の役割は、組織の透明性と健全性を確保するうえで重要であり、意思決定の根拠やプロセスが明確であることが求められます。

女性
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月見団子

理事は、非営利法人の業務執行を担い理事会で意思決定する。

役員とは? 組織における役割と位置づけ

役員は、企業や法人の経営に携わる役職の総称で、組織の運営方針を決定し、実行する役割を担います。株式会社における役員には、取締役・監査役・会計参与などが含まれ、これらの役職は会社法によって定義されています。役員の主な役割は、経営戦略の策定や業務方針の決定であり、組織の方向性を左右する立場にあります。

また、法人格を持つ組織においては、役員のうち代表権を持つ役職が法的な責任を負う場面も多く、株主や外部ステークホルダーに対して説明責任を果たす必要があります。役員という立場は、組織の方向性を定めるとともに、方針に沿った適切な業務遂行を監督する役割が求められるでしょう。

月見団子

役員は、取締役や監査役を含む経営層全般を指す広い概念。

理事と取締役・執行役員・監事の違い

理事は法人組織における重要な意思決定を担う役職ですが、企業経営では「取締役」「執行役員」「監事」といった役職も同様に組織運営に関わります。それぞれの役職は組織の中で異なる役割と責任を持つため、違いを理解することが実務に役立ちます。

ここでは、理事と各役職の違いについて解説します。

仕事中 男性
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理事と取締役の違い

理事と取締役は、いずれも組織の意思決定に関わる役職ですが、属する組織形態と業務の範囲に違いがあります。取締役は株式会社において、株主から選任され、会社法に基づき法的な責任を持つ役職です。経営方針の策定や業務執行の監督を行い、企業の利益向上に向けた決定を下す立場にあります。

一方、理事はNPO法人や一般社団法人、医療法人などの法人において、法人の活動方針や重要事項を決定する役職です。理事は、法人の定款に基づいて選任され、理事会において事業の方針を協議します。選任の方法や任期は法人ごとに異なりますが、理事は主に法人の目的に沿った事業活動を支える役割を担います。

取締役は企業の利益を重視するのに対し、理事は法人の社会的な目的や活動方針を優先する点で役割に違いがあるといえるでしょう。

理事と執行役員の違い

執行役員は、主に株式会社で導入される役職であり、企業の事業方針を実行する責任を負います。執行役員は取締役とは異なり、会社法による法的な義務はなく、企業の内部規定に基づいて任命されることが一般的です。

執行役員は、取締役が決定した経営方針に基づいて、現場での業務執行や事業推進を担当します。各部門の業績管理や具体的な業務運営の責任を持つ役職として、実践的な役割が求められます。

一方、理事は法人の方針決定に関与し、理事会を通じて事業計画の策定や重要事項の協議を行います。法人によっては、理事が業務執行に関与する場合もありますが、理事会での意思決定を重視するケースが多い傾向です。理事は、法人の理念や目的に沿った事業活動の方向性を定め、組織全体を調整・監督する役割を果たします。

つまり、執行役員は業務執行に特化した役割であり、理事は法人の事業方針を策定し、長期的な視点から組織の運営に関与する点に違いがあります。

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理事と監事の違い

監事は、法人の業務執行や会計処理の適正性を監査する役職で、理事の業務が法令や定款に則って行われているかを確認する責任があります。監事は一部法人では理事会に出席義務があり、他の法人でも理事会に参加することが認められる場合がありますが、どちらも基本的には意思決定には関与せず、客観的な立場で法人運営を監視する役割を担うことは同様です。

監事の職務は、法人の健全な運営を守るために不可欠であり、定期的に監査報告を提出することで法人の透明性を確保します。

一方、理事は法人の方針決定や業務執行に関与する役職であり、法人の発展に向けて積極的に事業活動を推進する立場です。理事は理事会を通じて重要事項を決定し、その実行を監督します。

このように、監事は法人の業務を監査する立場であり、理事は法人の業務そのものを遂行する役割を担います。監事と理事は、組織運営において相互に独立した立場でありながら、法人の健全性を維持するために重要な役割を果たしています。

最後に

POINT

  • 理事は主に非営利法人で業務執行を担う役職
  • 役員は理事を含む広い経営層の呼称
  • 会社法では取締役・監査役などを「役員」と定義

理事と役員の違いを理解することは、組織の意思決定や経営の効率化において重要です。本記事では、役職ごとの責任範囲や法人形態による違いを整理しました。特に、実務においては、役職名だけでなく、その権限や役割を正しく認識することが重要です。組織内で適切な判断を下せるよう、今回の知識を活用してください。

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監修

わく社会保険労務士事務所代表 和久 明(わく・めい)さん

社員12万人超の会社で社会保険、給与計算、社内研修講師を15年以上経験した後、社会保険労務士開業。 常に忙しく手が足りない中小企業の、就業規則作成や法改正フォロー、業務の見える化による社員の働きやすさ実現に取り組んでいる。褒め言葉インストラクター。趣味はサウナ。

事務所ホームページ:https://waku-sr.com
ライター所属:京都メディアライン

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