Summary
- 「青田買い」は農業の取引に由来する言葉
- ビジネスでは採用の早期化を表す言葉として多用
- 「青田刈り」と混同されやすいので注意が必要
「青田買い」という言葉を見聞きして、「就活のこと?」「不動産のこと?」と戸惑ったことはありませんか?実際には複数の場面で使われるため、意味が曖昧になりがちです。
この記事では、「青田買い」の語源から使い方までを整理し、誤用を避けながら実務に役立てるための視点を紹介します。
「青田買い」とは?|複数ある意味を確認
まずは「青田買い」の語源と意味を確認していきましょう。
本来の意味はどこから来た?|語源と歴史的背景
「青田買い」という言葉は、もともと農業の取引に由来します。まだ稲が成熟する前に、収穫量を見越してその田の稲を先に買い取る行為を指すものでした。
収穫前の「青田」を対象とする考え方が、後に他の分野でも応用されるようになりました。意味を取り違えないためにも、この原義をしっかり押さえておくことが肝要です。

よく使われる意味は?
現在では、「青田買い」は就職活動の早期採用に関する場面でよく使われています。「企業が人材確保のため、卒業予定の学生の採用を早くから内定すること」を意味し、学生を実る前の稲に、能力を収穫量にたとえた表現とされています。
また、未完成の不動産物件を契約する際にも「青田買い」が使われることがあります。場面ごとにニュアンスが変化するため、語源を理解して使い分けることが、信頼ある言葉遣いにつながります。
辞書には次のように説明されていますよ。
あおた‐がい〔あをたがひ〕【青田買い】
1 稲の収穫前に、その田の収穫量を見越して先買いすること。→青田売買
2 企業が人材確保のため、卒業予定の学生の採用を早くから内定すること。卒業前の学生を実る前の稲に、能力を収穫量にたとえた語。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「青田買い」は農業の取引に由来する言葉で、今では就職活動の早期採用に関する場面でよく使われています。
実際の使いどころは?
意味を知るだけでは言葉は使いこなせません。実際に「どういう場面で使うのか」を押さえることで、活用の幅が広がります。
ビジネスシーンでの使用例
「青田買いの動きが加速している」という言い回しは、採用計画の早期化や競合企業の動向を語るときに使われます。企業が、卒業前の学生に対して早めに接触・内定を出す動きは、現代の「青田買い」の代表的な用法です。
日常会話やカジュアルな場面ではどう使われる?|比喩的な表現として
「まるで恋人の青田買いだね」という表現は、まだ付き合う前の段階で相手に強い関心を示す様子を、冗談交じりに言うときに用いられます。相手を「これから育つ人材」と見立てて、言葉遊びのような感覚で使われていみをが特徴です。
一方で、比喩的な使い方には注意も必要です。場面や相手によっては、失礼だと受け止められることもあるでしょう。笑いや親しみを意図したとしても、使うタイミングと関係性をよく見極めることが大切です。

知っておきたい補足知識|よくある誤解と言い換え表現
「似た言葉と間違える」と信頼感を損なうこともあります。ここでは、よくある誤解と言い換え表現を紹介します
「青田刈り」との違いは?|混同されやすい語を明確に区別する
「青田買い」と「青田刈り」は、響きが似ているため混同されることがあります。
「青田刈り」は、稲が実る前に刈り取ることを意味します。「企業が人材確保のため、卒業予定の学生の採用を早くから内定すること」を伝えたい場合には、「青田買い」が正しい言い方です。
しかし、文化庁の「国語に関する世論調査」によると、平成26年度の調査では「青田刈り」を使う人の割合が31.9%いたとのこと。本来の言い方は、「青田買い」ですので覚えておきましょう。

「青田買い」の言い換え表現は?
状況に応じて、同じ意味を持つ別の表現に言い換えることも効果的です。例えば「早期採用」「唾をつける」「先行投資」といった言葉は、「青田買い」と近いニュアンスで用いられます。
シーンに合った表現を選ぶことで、相手に与える印象や伝わり方は大きく変わりますよ。
「青田刈り」は誤用なので、注意。
最後に
POINT
- 「青田買い」は農業の取引に由来する言葉
- 就活では早期採用を意味
- 言い換え表現は、「早期採用」「唾をつける」「先行投資」など
「青田買い」という言葉は、農業の取引に由来していることがわかりました。日常何気なく使う言葉も、背景をたどると意外な発見があります。言葉の由来を知ることで、表現の奥行きや日本語の豊かさをあらためて感じますね。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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