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2019.04.20

鎌倉で「本物」のうつわと出会う うつわ祥見KAMAKURA【和を愉しむ】

今回訪れたのは、国内外でうつわの展覧会をプロデュースされている祥見知生さんのギャラリー。シンプルながら、実のある日々のうつわを多くの人に伝えている祥見さんに、土ものの魅力をたっぷりと伺いました。

Text:
渡邊和泉

隠れ家のような静謐なギャラリーで、日々のうつわを選ぶ贅沢

鎌倉駅東口徒歩1分。観光客で賑わう小町通りを入ってすぐの建物の奥へ進み、二階へ続く階段を登ると、そこには表通りの喧噪を感じさせない、静かな空間が広がる。ここが、「うつわ祥見KAMAKURA」。国内外でうつわの展示会を開催している祥見知生さんのギャラリーです。

もとは2002年に、鎌倉のご自宅である一軒家でプライベートギャラリーを始められた祥見さん。若い時から、いずれうつわを伝える仕事をするだろうと思っていたそう。
「10代の頃から洋服よりうつわが好きでした。理由が思い当たらないくらい、いつも私の側にあったものなんです。おかげさまでプライベートギャラリーは、全国からたくさんの方が訪れて下さるようになったものの、開いている日が限定的だったため、2009年に鎌倉駅西口、御成通りに「Utsuwa-shoken Onari NEAR」を、そして、一昨年の12月にこちらの「うつわ祥見KAMAKURA」をオープンしました」

祥見さんのギャラリーでは一年を通じて、多くの作陶家の企画展が予定されているが、以前は企画展を開いている際には、他の作家さんの作品が見られないということがあったそう。
「今は、どちらかの店舗で企画展が開かれているときは、もう一方の店舗では常設展を開いているので、企画と常設いずれもご覧頂けます。徒歩4、5分で両方行き来できるので、鎌倉にいらっしゃるお客様はどちらのお店も覗かれることが多いですね」

▲「うつわ祥見KAMAKURA」の内観。喧噪から離れた静かな空間は、どこか海外のギャラリーにいるような不思議な感覚に。心穏やかに自分と気持ちが通じるうつわを選べそう。こちらのギャラリーが石造りで空間に広がりがあるのに対し、御成通りのお店は、ダークトーンの木材を基調にした温もりのある店舗になっている。

「作家ものといっても、私がセレクトしているうつわは、日々のうつわ、普段使えるうつわ、何気ない日常の中で繰り返し使われることで、手の中に包まれて育って行くうつわです」と祥見さん。
「ひとつひとつはとてもシンプルだけれど、シンプルなだけではなくて、奥に秘めているものがあり、作り手のまなざしがちゃんと感じられるもの、というのがセレクトの基準の一つ。それは何でもないという価値なんです。少し分かりづらいのですが、何でもないものって実はとても難しい。例えば、花火をあげることは簡単ですけど、それをどかーんと上げて終わりではなく、日々とは毎日続いて行くもので、淡々としているけれど、確実で実のあるもの。それを続けて行くことは難しくも価値のあることだと思うんです」

有名なフレンチレストランで食事をするということではなく、日々家族で食卓を囲んだり、毎日積み重ねて行くもの、それが大事ということに近いでしょうか?

「そうですね、実際、うちのうつわに出会って、日々の食生活が変わったと言ってくださる方もいらっしゃるんですよ。今まで料理って本を見て作らなくてはいけないと思っていたけれど、このうつわに何を盛りたいか、例えば八百屋さんに行って一番生きがいい、旬の野菜とオリーブオイルとお塩…。非常にシンプルだけど、とても豊かな食卓に変わったという嬉しい話を聞きます。そんな日常に寄り添ううつわを伝えていきたいと思っています」
                              ▲窓際に飾られた花器とさりげなく生けられた花々も素敵。うつわだけでなく、花器類も多くそろうのが「うつわ祥見KAMAKURA」の魅力。こんな風に飾ってみたいというインスピレーションを刺激される。

もともと粉引が好きで、2005年に死去された作家の青木亮さんを尊敬し慕っていたという祥見さん。
青木さんとの繋がりから、たくさんの志の高い作り手の方々と出会ったという。例えば、尾形アツシさんもその一人。
「尾形さんのうつわの特徴は、粉引と言っても真っ白じゃないところ。粉引というのは、赤土に白い土(白化粧土)を薄くかける技法で、本来であれば白を目指しています。けれど、白さを求めて作陶していても、ときに窯の中からピンクや青白いものなどさまざまな色や表情のうつわが焼き上がってくる。本来ははじかれるものなのですが、尾形さんはその表情の深さや変化に魅力を感じ、白い土をかけるのではなく、「土化粧」という土をかける技法を始めたんです。そうして生まれたうつわは、野良着を着て畑仕事をする農夫のような健康的な美しさを持っています。土の味を活かして、非常に素朴だけれど、本物の日常使いのうつわを作られている作家さんです」

                            ▲ニュアンスのある色みや釉薬の流れに魅せられる尾形アツシさんのうつわたち。じっくりと自分の手に馴染む一枚を探したくなる。粉引取皿 各5,000円 尾形さんの個展が4/20〜29にうつわ祥見KAMAKURAにて開催される予定。

          ▲こちらも尾形さんのうつわ。一枚一枚表情が異なり、素朴で温かみがある。「プロダクトの食器を見ていると、とても均一化されていて、非常に上品だし買い替えることもできます。それはよくも思えるけれど、結局作られた真四角の中にいるような感じがします。土ものというのはその意味で、非常に動きがあると思います」上・ムーンプレート10,000円、右・ヒビ粉引皿 4,000円、下・荒刷毛目皿 4,000円。

          ▲ヒビ粉引といって、最初からひびが入っているような表現も尾形さんのうつわの特徴の一つ。「粉引は表面に化粧土の滑らかさを求めるもの。あえてひびを出す表現は味わいがあって面白い」と祥見さん。左の刷毛目ともまた異なる表情。右・ヒビ粉引片口 6,000円 中・粉引片口 6,000円 左・刷毛目丸湯のみ 4,000円

          ▲力強い、土化粧のうつわ。「ご飯を食べるといった素朴で当たり前のことに”本物”のうつわを使うことで、じわじわと良さが分かってくるもの。私たちはうつわで人を説得する、なんて言います」最初に本物を手に入れるなら、まずは飯椀から始めてみては? 手前・薪めし碗 4,000円

「土ものの作家さんをきちんと伝えて行きたい」という祥見さんは全国を問わず、今では世界各地でも展覧会を開いています。去年はミラノやオランダ、一昨年はニューヨークで、作家さんの個展をプロデュースされたそう。
ミラノやニューヨークはもちろん、鎌倉までもなかなか行けないという方は、現在国立新美術館SFTギャラリーで開催中の「うつわベーシック 碗と椀展」(〜5/13まで)に脚を運んでみては? 祥見さんが選んだ16人の作家の「わん」にこだわった見応えのある展覧会です。

また、6月にはGINZA SIX4階 CIBONE CASEにて小野象平さんの展覧会も開催予定。象平さんは、人気陶芸家・小野哲平さんの長男で、小さい頃からもの作りの環境に育った作り手さん。自ら土を掘り、釉薬も一から自分の手で作られています。そんな象平さんのうつわはおおらかで人間味溢れる作品が多いそう。                                   
                    ▲深い青に浮かぶ模様が、地球儀のようにも世界地図のようにもみえて神秘的。灰釉取皿 各3,000円

「小野象平さんのうつわは色合いがとても深くて綺麗です。このお皿はブルーの色合いがとても美しい。窯のなかの位置によって、色合いが全て異なって出てくるんです」と祥見さん。

「うつわを愛することは日々を愛すること」この言葉はよく祥見さんが使われる言葉。
人間が誰一人同じ人がいないように、一枚として同じものがないうつわを、選び、毎日の生活を楽しむ贅沢…そんな日常を始めてみませんか?

うつわ祥見KAMAKURA
神奈川県鎌倉市小町1−6−13コトブキハウス2F
電話:0467-23-1395
営業時間:12:00〜18:00
定休日:火曜日
▶︎公式サイト

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毎日を幸せにする、心浮き立つ和食器が見つかる碑文谷のギャラリーhttps://domani.shogakukan.co.jp/148884

 

 

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