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2019.09.21

ワラにもすがる思いで、エセ気功師にぼったくられる【うちのダディは脳梗塞15】

 

カリスマモデルとして活躍した10代を経て、20代でデザイナーに転身した佐藤えつこさん。順調にキャリアを築き、「まだまだこれから!」という35歳のとき、父親が脳梗塞で倒れました。アラフォーにして介護歴は5年に。だれにでも起こりうる、けして他人事ではない人生の悲喜こもごもと介護のリアル。「脳梗塞に効く」と聞けばなんでも試した末に、遭遇したざんねんな出来事とは――。

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回復を願うばかりに、思考停止

「脳梗塞に効くらしい」

そんな魅惑の言葉に誘われて、出向いた場所は数知れず。とにかくいろんな治療法を調べて、ありとあらゆるところに電話し、病院やリハビリ施設などに面談に行きました。遠く離れた地方へ足を延ばしたこともあります。

でも、70代で全失語症、右手足完全マヒのダディを見るや、その反応の悪さに心折れる日々。

断られ続けて、ついには気功にも挑戦。基本、どこに行っても断られるので、私も家族もやれるものはなんでもやってみたいという境地になっていました。

ネットで調べたとあるサロンを訪れたときは、出てきた先生(らしき男性)に自信マンマンに「効きますよ!」と言われまして。ボロアパートの狭い一室の小さな入口から車いすをぐいぐい押し込まれて、なんだかよくわからないうちにギュイーンと施術が始まったのですが、ダディはまるで受け入れず怒り出してしまう始末。

そのうちブルブル震えてきてしまい、こりゃダメだな、、、と途中棄権。まったく効かなかったどころか、高いお金だけ払って帰ってきたのでした。

よくよく考えてみたら、完全マヒが街のサロンで治るなら、何百、何千と症例を診てきたはずの大病院が苦戦するわけないなと。しかも後から知人に聞いたら、エセ気功師だったらしく、さらにショック!

すがる思いがあるから、いいかどうかの判断もおかしくなる。

でも、「効くらしいよ」と聞くと、どこへでも、いくらかかっても連れて行ってあげたくなってしまう。

中にはそういう家族の気持ちにつけこむ輩もいて、信頼して相談できるプロを見つけるのは本当に難しい。私たちも、自宅介護を始めた最初の2年くらいは、効きそうな治療を見つけては一喜一憂したものでした。

ありがたいことに、善意や親切で、奇跡の回復エピソードや治療法を紹介してくださる方もいるのですが、最近は以前のようにはなかなかフットワーク軽く踏み出せない自分がいます。

イラスト/佐藤えつこ 構成/佐藤久美子

前回のお話▶︎リア充SNSが見られなくて、ネトゲとパチンコに現実逃避【うちのダディは脳梗塞14】
これまでのお話▶︎だれにでも起こりうる介護のリアルって?元モデルの介護奮闘記【うちのダディは脳梗塞】

佐藤えつこ
佐藤えつこ

1978年生まれ。14歳で、小学館『プチセブン』専属モデルに。「えっこ」のニックネームで多くのティーン読者から熱く支持される。『プチセブン』卒業後、『CanCam』モデルの傍らデザイン学校に通い、27歳でアクセサリー&小物ブランド「Clasky」を立ち上げ。現在もデザイナーとして活躍中。Twitterアカウントは@Kaigo_Diary

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