なぜ私が遠距離別居家族になることを選んだのか。
顔がめちゃくちゃ好み。趣味も合う。だけど働かない。−−お金がないから実家にまで借金をしながら働いて、子どもふたりと夫を養って来た志保さん。そんな彼女が離婚を決意したのは、夫のどうしても許せないひと言が原因でした。
「子どもたちは守るけど、お前のことを守る気はない」。
志保さん:今思えば、ケンカ中の売り言葉に買い言葉でした。だけど、「実家から援助してもらって仕事もがんばってる私を守らないって、どういうことやねん?」ってブチ切れて、翌日にはもう離婚を決めてました。私、星座占いを信じていて、蠍座なんですけど、好きな相手だったらギリギリのところまで我慢できる。その分、「こいつないな!」って思ってしまったら、もう2度と無理なんです。
前回のお話▶︎子どもは実家に預けて離れて暮らす「新しい生活様式」を生きるシングルマザー
嫌いになったわけではないけれど、夫は人として言ってはいけないことを言ってしまった。「この人を子どもたちのそばに置いておきたくないな」。それが志保さんが感じたことでした。
さかい:でも、お子さんはまだ小さいし、旦那さんが育児をしていたなら、きっとパパに懐いてたんじゃないですか?
志保さん:う〜ん。結局ね、彼のかわいがり方って、ペットに対するかわいがり方と一緒なんですよ。口だけなんですよね。授かり婚だったこともあって、彼には覚悟が足りなかったんじゃないかなあ。今も、養育費も一切もらってませんし。彼には「子どもは私が育てるから、ワンちゃんをお願いします」って頼みました。
―強い…!
実は、子どもが小さいのにも関わらずこの素早い決断を下せたのには、志保さんのお母様が3回の離婚歴があり、志保さんはステップファザーに愛されて育ったという経験があるから。
志保さん:離婚に対して、ネガティブなイメージが全くないんですよね。母親は、問題があるお父さんの横にいるくらいなら、笑ってた方がいい。それを知っているからだと思います。
そのケンカのあと、「次男が1歳の誕生日になる前に別れたい」とすぐに離婚届を提出しました。
が。志保さんの映像ディレクターという仕事は、朝が早くて夜が遅い。シングルマザーになってからは、延長保育のいちばん最後に迎えに行き、子どもたちが眠ってところを連れて帰る、という日々。子どもたちの生活サイクルも狂い始め、見兼ねた志保さんの母親が、「壱岐に連れて行く」と言い出したのです。
最初は子どもたちを引き離されるような気がして、「私ひとりでもできるから!」と言っていた志保さんですが、結婚中の生活費のために作ったカードローンの借金返済のためには、働き方を変えるわけにも行かない。
志保さん:母に言われたんです。「あなたは今、生きてはいるかもしれないけど、〝生活〟はできてない。子どもを預かってもらえる環境があるのに、それをしないのは親のエゴだよ。今は借金を返すことだけを考えてがんばって、稼ぐことに徹しなさい。子どもたちは私が育てるから」って。―さすが、3回結婚した人は言うことが違いますよね(苦笑)。
こうして志保さんの、通い婚ならぬ通いファミリー状態が始まったのですが、その実情のお話は次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。