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2020.11.07

「読書好きの子」の親が共通でやっていること|高校生では2人に1人が本を読んでいない

言語能力はすべての教科の基礎となり、あらゆる活動に関わってくる要素となるので、非常に重要な力であることはいうまでもありません。 しかし、国語が好き、本を読むのが好き、文章を書くのが好きという子どもは非常に少ないのが現状ではないでしょうか。小さい頃からコトバに慣れ親しみ、学校でも最も時間をかけて国語の授業を受けているのに、国語への興味、コトバへの好奇心が年を重ねるたびに薄れていくのはなぜでしょうか。

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本山 勝寛(日本財団子どもサポートチーム チームリーダー)
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学校生活を重ねるほど本を読まなくなる

公益社団法人全国学校図書館協議会の第65回学校読書調査(2019年)によると、1カ月に1冊も本を読まなかった人の割合は、小学生で6.8%、中学生で12.5%、高校生で55.3% です。つまり、小学校から中学校、中学から高校と、学校生活が長くなるほど、子どもたちは本をまったく読まなくなる傾向にあるということです。小学生の約90%以上は毎月何らかの本を読んでいるのに、高校では2人に1人は本を読まなくなります。

小学生はより平易な本を読んでいるということも想定されますが、それにしても学校生活を重ねるほど本を読まなくなるというのはいかがなものでしょうか。学校教育は、子どもたちが本来持っていたコトバへの好奇心を摘み取ってしまっている可能性があります。

私は、ハーバード教育大学院で、世界の最前線の教育研究をしてきました。また、私自身が2歳〜11歳までの5児の親として子育てに励んでいる最中です。そこでわかったことは、やはり「好奇心」こそ、子どもの成長にとって最重要だということです。

本記事では、小さなお子さんがコトバや読書への好奇心を伸ばす方法を、ご紹介していきます。

夜寝る前の10分読み聞かせ

定番ではありますが、絵本の「読み聞かせ」は、ほとんどお金のかからない、誰でも実践できる最強の教育法だといえます。

国際学力調査PISAで読解力上位常連のフィンランドでは、幼児の読み聞かせが伝統的に実践されています。フィンランド語では「勉強する」という言葉は使われず、代わりに「読む」という言葉が多用されているそうです。

いうまでもなく、読む力はすべての学力の基礎になります。親の所得や学歴以外にも、幼少期の読み聞かせが後の学力に正の影響を与えるという研究結果も示されています。

いい絵本は、絵やストーリーが印象的なだけでなく、言葉のリズムもよいので、言語への好奇心を刺激するのにもってこいだといえます。

絵本の読み聞かせのメリットは、単に子どもの語彙力や読解力を伸ばすのによいという点にとどまりません。親子が物語を通して「忙しい毎日の中で忘れがちだけど、人生における大切なこと」を確認し合い、わかち合い、心と時間を共有することで、親子の絆が深まるのです。ぜひ、夜寝る前の10分でも親子の読み聞かせの時間をとることをお薦めします。

しりとりで語彙力を「相続」させる

なぞなぞクイズでコトバの力を鍛える

私が子どもたちとよくやるのが「しりとり」や「クイズ」です。しりとりは解説の必要はないと思いますが、これも語彙力の強化につながります。子どもだけでなく親が一緒にすることで、親の語彙力を子どもに相続させることができます。

クイズはいろいろな種類がありますが、とくになぞなぞクイズがおすすめです。「パンはパンでも食べられないパンはなんだ?」「フライパン」や、「パパが嫌いな果物はなんだ?」「パパイヤ」などですね。  

親がなぞなぞクイズを出して、子どもが答えるのに慣れてくると、今度は子どもがクイズを考えて出してきます。子どもが自分でクイズを考えるようになると、単に答えるよりももっとコトバへの力が身につきます。

こういった親子での楽しいコトバ遊びのキャッチボールの積み重ねが、子どものコトバへの好奇心を高め、結果的に語彙力の強化にもつながります。

「のめりこむ」読書体験を経験させる

好奇心を育てるのにとくに重要なのは、ドキドキワクワク感、そして「のめりこみ体験」です。

「なんかすっげー気になるから、早く次のページを開きたい」

「何時間でも休憩なしでぶっ続けで読める」

そんな気持ちになるくらい、のめりこんでいるということは、好奇心がエンジンとなり集中力が極度に高まっているということです。

スポーツ選手であればそのスポーツが大好きでのめりこむという状態はイメージがつきやすいかもしれません。あるいは、子どもがテレビゲームにはまって没頭するのも、ある意味似た状態です。

同じように、コトバや物語に対しての好奇心を高め、「のめりこむ読書」を子どもに体験させるのに、ハードルが低く効果的なのはマンガにはまることです。マンガはわかりやすく楽しいといった娯楽性が高いだけでなく、自らが絵を見て、コトバを読んで、ページを開くという能動的な行為が求められます。自分のペースで進め、自分の意思で時間を決められます。これらの条件が、のめりこみ状態をつくりだすのに最適なのです。

「学習マンガ」を読ませる

私は子どもの頃、ゲームを買ってもらえませんでした。ですが、学習マンガであればさまざまなジャンルのものが家にあり、多数の本を読破しました。私が高校生で本好きになり、大学生で本の虫になり、そして社会人で本を自ら書く著作家になるきっかけにもなっていきました。

学習マンガに影響を受けてきたのは私だけではありません。雑誌『プレジデントファミリー』(2012年12月号)の特集「東大生184人親の顔」で、「学習マンガを読んでいた」の質問に対して、同世代の若者が23.3% なのに対して、東大生は46.7% もの割合で読んでいたと回答しています。実に東大生の約半数が幼少期に学習マンガを読み、通常よりも倍近い値になっているのです。

正直な話をすれば、小学生から中学生にかけて、私は本を読むのはまだ好きでも得意でもありませんでした。でも、学習マンガやマンガは大好きでした。好奇心という観点からいえば、それでもだいじょうぶです。マンガにはまることで、「のめりこみ読書」の体験を積み重ねていたからです。

自力で学び続ける人が持っているもの

親の立場からすれば、不透明な未来に対して不安を覚え、どんなにお金をかけてでも子どもたちにあれもこれもとさせておきたくなるかもしれません。

子どもの歩んでいく道を親が先回りして、しっかりと安全な道を整えて、高いところまで自動でたどり着くエスカレーターがないか探し回りたくなるかもしれません。しかし残念ながら、未来を完璧に予想することはできません。どんなに先回りして準備しても、思い通りにならないこともあるでしょう。

しかし、未来がどうなろうとも、社会がどう変わろうとも、確実にいえることがあります。それは、自力で学び続けることができる人は、途中でさまざまな困難や失敗、紆余曲折があったとしても、必ず成功にたどり着くことができるということです。

どんなことでも、どんな環境でも学び続ける力を持ち、自らの内側に学びのエンジンを備えた人は、変化に対応しながら、少しずつでも毎日、毎年成長し続け、やがて望んでいることを実現します。自力で学び続けるエンジンを持つことこそ、この記事でもお伝えしてきたあくなき「好奇心」を持つことです。

好奇心や学びのエンジンは、遺伝的に備わっているものだけでなく、意識して育てることができるものです。そして、激動で不透明な時代をこれから迎えるからこそ、親や教育者が最も意識して子どもに育むべきものです。

日々子どもたちと接しながら、私自身も1人の親として子育てに悩みながら、苦労しています。思い通りにならないことも、うまくいかずに怒ってしまうこともあります。それでも子どもたちの屈託のない笑顔と純真な姿、そして好奇心のかたまりのように新しいことを吸収して成長していく姿を見ながら、そんな子どもたちにとって明るい未来を用意したいと強く思います。

そのためには、日本の子どもたちを育てる大人が、子どもたちの好奇心を思いっきり伸ばし、自力で学び続ける子に育んでいくことだと確信しています。1人でも多くの大人がそのことに気づいて、子どもたちの可能性を最大限に引き出していただければうれしい限りです。

日本財団子どもサポートチーム チームリーダー

本山 勝寛(もとやま かつひろ)

東京大学工学部システム創成学科知能社会システムコース卒業、ハーバード教育大学大学院国際教育政策修士課程修了。小学校から高校まで地方の公立学校に通い、独学で東大、ハーバード大に合格。日本財団で、世界30カ国以上を訪問、教育や人権、国際協力、障害者支援、パラリンピック支援、貧困対策事業を手掛ける。5児の父親で、これまで育児休業を4回取得。ブロガーとして独自の子育て論、教育論を「BLOGOS」などで展開。
著書に『最強の独学術』(大和書房)、『16倍速勉強法』(光文社)、『一生伸び続ける人の学び方』(かんき出版)など。「まなブログ」はこちら

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