子どもの会話で「私も持ってる〜!」「僕のほうが大きい〜!」なんて、その小さな顎を上げながら得意げに話す姿を目にしたことはありませんか? 大人から見ると、なにその自慢?なんでそんな見栄っ張りなの?なんてちょっと心配に。子どもたちはなぜこのような言動をとるのか、スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんにお話をお聞きしました。
実は子どもはわりと見栄っ張り!
「幼稚園〜小学校低学年の間に、この『私も持ってる・僕のほうが大きい』という〝もっとすごい現象〟が起こります」(吉田さん)
1:会話の成長:第一段階
3〜4歳くらいの子どもたちは、言葉のキャッチボールはまだ難しく、自分のお話をするので精一杯。たまに話が噛み合ってないのに楽しく遊んでる姿を見て、微笑ましく思ったことありませんか?
2:会話の成長:第二段階
次に相互コミュニケーションが生まれ始めると、誰かが言ったことに『僕も!・私も!』と同調し仲間意識が生まれます。お友達と一緒の意見であることが嬉しかったり、良しという認識を持ち始めます。
3:会話の成長:第三段階
そして同調の先にあるのが〝もっとすごい現象〟です。一緒であることが嬉しかったのですが、今度は個人を評価したくなります。『すごいね』と言われることに快感を覚えると、『私のほうが・僕のほうが』と見栄を張るのです。この見栄を張る言動は、どの子も大なり小なり通る道で、特に勝ち負けにこだわる子は顕著に現れると思います。
「また6歳前後になると、子どもたちの生きている世界は現実とファンタジーが混在しています。プリンセスやヒーローに憧れる一方で、現実世界で起きていることも理解できる。会話のボルテージが上がると、事実よりもファンタジー(作り話)に思わず熱が入ってしまうなんてことも」(吉田さん)
この時期、親が気をつけるべきは?
「大人の常識からすると〝事実ではない=嘘〟となってしまいます。しかし、この時期は人間関係や会話を作り上げる過程であると捉え、あまり責める必要はないと思います。もし我が子が見栄を張ってしまったら、事実とは違うことを指摘してあげてください。それだけで子どもは間違いに気づけるはずです。逆にお友達に見栄を張られ傷ついてしまった我が子には、同調した上で『お友達は勘違いしたのかも』と、そのお友達を責めない言葉で慰めてあげてください」(吉田さん)
吉田さんのお話を聞いてみると、自分の子供時代にもそんな時期があったような気がしませんか? 子どもの見栄っ張りは一過性のものであり、あまり深刻に考えず、会話の練習のひとつと捉えると良さそうですね。
構成・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
HP
Twitter: @hakoniwasalon