【目次】
・「かまととぶる」の正しい意味や類語とは?
・漢字で「蒲魚ぶる」の由来はかまぼこ!?
・「かまととぶる」と「ぶりっ子」はどう違う?
・「かまととぶる」人の特徴4つ
・「かまととぶる」を英語で言うと?
・意味を知って正しい言葉遣いを身につけよう
【目次】
「かまととぶる」の正しい意味や類語とは?
そもそも、「かまととぶる」にはどのような意味があるのでしょうか?まずは「かまととぶる」の正しい意味や類語、言い換え表現について確認していきましょう。

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■「かまととぶる」とはウブなふりをすること
「カマトト」とは、知っているのに知らない態度を示し、上品な様子を装うことを意味します。「~フリをする」という意味の「ぶる」をつけることで、「ウブなふりをする人」という意味を表しているのです。
主に女性に使われることが多く、あくまでも「フリをしている」状態を意味することから、褒め言葉よりはネガティブな表現として用いられます。世間知らずの純粋な様子を装っている人も、「かまととぶっている」と言い表すことができるでしょう。
■「かまととぶる」の類語や言い換え表現
「かまととぶる」には、以下のような類語や言い換え表現があります。どれも自分を良く見せようと、本来の状態を取り繕っていることがポイントです。
(1)可愛い子ぶる
「可愛い子ぶる」は、「ぶりっ子」にも通ずる意味を持つ言葉です。「可愛い」という形容詞に「ぶる」という動詞を付け、可愛らしく振舞うことを意味しています。可愛い状態を示すのではなく、あくまでも「可愛らしく装う」様子を意味することから、基本的にはネガティブにとらえられる表現です。
(2)猫をかぶる
自分の本性を隠し、おとなしく見せようとすることを「猫をかぶる」と言います。主に、人前で清楚なフリをすることを意味する言葉です。
猫は寝転んだり甘えたりしているときは、おとなしくとても可愛らしい姿を見せますよね。ところが、一度スイッチが入ると素早く引っかいたり、暴れたりといったい一面もあります。「猫をかぶる」という言葉は、二面性のある猫のように、本性を隠しおとなしい自分を演出している人を表しているのです。
(3)いい子ぶる
「いい子ぶる」も、良い人間を装うことを意味する言葉です。周りの評価を上げるため、本来の自分よりも「いい子」だと思われる人物のフリをします。「かまととぶる」のような世間知らずの純粋な人よりは、優等生で誰からも好かれる人間を装っている人に用いるケースが多いでしょう。
漢字で「蒲魚ぶる」の由来はかまぼこ!?
「カマトト」は漢字で「蒲魚」と書きます。言葉の由来を紐解くと、思いがけない「カマトト」誕生のきっかけを知ることができますよ。

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■「カマ」はかまぼこ「トト」はお魚
蒲魚(かまとと)の「蒲」は、蒲鉾(かまぼこ)を意味する漢字です。また、「魚」は訓読みのとおり、生き物の魚を表しています。
「トト」の語源には諸説あり、「早く早く」「さっさと」という意味を持つ「疾う疾う(とうとう)」という言葉に由来するとも言われています。冷蔵保存ができなかった時代には、魚は早く食べなくてはと急かす必要があったからです。
また、小さな子どもが使う「おとと」という言葉は、魚市場ではねた魚を「おっとっと」と店の人が追いかけたという話が語源とも言われています。
■由来は「蒲鉾はおととからできているの?」のひとこと
蒲鉾は、江戸時代から魚の身をすりつぶして作られていました。ある日、江戸の娘が富裕層のフリをし、「蒲鉾はおととからできているの?」と男性に尋ねたというのです。
蒲鉾が魚から作られているのは、当時の庶民にとっては当たり前のこと。それを知らないフリをして男性の気を引こうしたことが、世間知らずを装う「かまととぶる」へとつながったと考えられています。
また、「カマトト」の語源にまつわる、もう一人が江戸の遊女です。遊女は世間慣れしていないウブな女性を装うため、「世には蒲鉾という美味しい食べ物があるそうですね。それは何からできているのですか?おとと?」と男性客に尋ねたというエピソードがあります。
当時、世間知らずなフリで異性の気を引こうとしていたことから、現在も「カマトト」は、自分をアピールするときの言葉として使われているのです。
「かまととぶる」と「ぶりっ子」はどう違う?
「かまととぶる」の語源や意味合いを知ると、「ぶりっ子」とどう違うの?と疑問に思うのではないでしょうか。両者は似た意味合いを持つ言葉ですが、実は微妙な違いがあります。

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■「ぶりっ子」は「かまととぶる」の類語が転じた言葉
「ぶりっ子」は、「かまととぶる」の類語である「可愛い子ぶる」「いい子ぶる」が転じて生まれた言葉です。
「~ぶる」には、その状態を装う、フリをするという意味合いがあります。つまり、本当の自分よりも可愛く見せようとし、いい子に振舞うことが「ぶりっ子」にあたるのです。
そのため、世間知らずなフリを意味する「かまととぶる」より、「ぶりっ子」は広い意味合いを持つ言葉になります。「かまととぶる」よりも、幅広いシーンで使うことができるでしょう。
■程度の軽い「ぶりっ子」は「ハマチっ子」
「ぶりっ子」に似た「ハマチっ子」という言葉をご存知でしょうか?「ブリにハマチ?」とふしぎに思ってしまいますよね。ブリは、成長するにしたがって呼び名が変わる出世魚です。ハマチは、ブリの大きさに成長する前段階の呼び名になります。
つまり、「ハマチっ子」とは、可愛い子ぶってはいるものの「ぶりっ子」より大げさでない状態を意味します。「ぶりっ子」のようにメジャーな言葉ではありませんが、言葉の豆知識として覚えておきましょう。
「かまととぶる」人の特徴4つ
前述したように、「かまととぶる」はどちらかというとネガティブなイメージで用いられる言葉です。あまり良い意味を持たないとなると、具体的にどんな人が「かまととぶる」と言われるのか気になってしまいますよね。

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「かまととぶる」人には、以下のような4つの特徴があると考えられます。自分が知らない間にかまととぶっていないか、周囲にかまととぶる人はいないか以下の項目を参考に確認してみましょう。
1.知らないフリをして男性を立てる
「かまととぶる」人は、知っていることも知らないフリをするのが大きな特徴です。特に、男性の前で世間知らずをアピールする傾向にあります。例え知っていることでも「分からない」「教えて下さい」と相手に伺いを立て、答えを知ると「すごい!」「知りませんでした!」と相手を立てることも忘れません。
男性のなかには、頼られたり褒められたりすることを好む人もいます。かまととぶる人は、そういった男性の心理を上手についていると言えるでしょう。
2.その場の空気を読むのが得意
男性の気を引くことに注目されがちな「カマトト」ですが、より空気を読むのが得意な人は、このようにプライベート以外でもその力を発揮します。仕事でも自分が出るべきところは出て、引く方が有効的だと思われる場合には、あえて一歩退くこともあるのです。
興味のない相手や、かまととが有効的ではないと思われる相手には、かまととな態度をとることもありません。かまととぶる人は、世間知らずな態度を相手によって上手に使い分ける、空気を読むのが得意な人でもあるのです。
3.リアクションが大きくて聞き上手
かまととぶる人は、相手の行為に対してオーバーなリアクションで答えます。「分からないー」という世間知らずのアピールや、「へぇ、そうなんだ!」「知らなかったー。すごいね!」といった、相手へのレスポンスが大きなことも特徴です。
「うんうん」とうなずき、「それでそれで?」と相手の言葉を引き出す聞き上手であることもポイント。「知らないことを教えてあげよう」「もっと聞いてほしい」という相手の心理を上手に引き出します。
ただ、このような態度をとるのは、気になる異性の前だけであるケースも多々あります。同性や気のない人の前では、冷静でクールな一面を見せたりすることも、かまととぶる人の特徴です。
4.やわらかな印象の清楚なファッションが好み
類語に「可愛い子ぶる」「いい子ぶる」といった言葉を持つ「かまととぶる」人は、やわらかな印象の清楚なファッションを好みます。ボーイッシュでカジュアルな装いよりは、フェミニンな服装が多いのが特徴です。やわらかなイメージで、ピュアな印象を持たれやすいでしょう。
「かまととぶる」を英語で言うと?
「カマトト」は、日本ならではの文化から生まれた言葉です。しかし、「かまととぶる」や「ぶりっ子」といった言葉は、英語で言い表すこともできます。蒲鉾が語源であった「カマトト」のように、海外にもそれぞれの言葉の由来があるため、知っておくとちょっとした豆知識にもなるでしょう。

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世間知らずを装う「かまととぶる」は、演じることを意味する「play」を使い「play innocent」と訳します。例えば、「かまととぶらないで!」と言いたいときは、以下のような英文がおすすめです。
・Don’t play innocent with me.
(かまととぶらないでよね)
「innocent」は、無垢なけがれのない様子を表す言葉です。「play」と組み合わせることで、ピュアで純粋なフリをしていることを表現できます。
また、「かまととぶる」と似た「ぶりっ子」は、「goody two shoes」と英訳されます。「two shoes」は、ふたつの靴のこと。どうしてぶりっ子と靴が関係しているのかふしぎに思ってしまいますよね。
語源となっているのは、18世紀のイギリスの童話です。主人公は、靴を片方しか持たない孤児の女の子。お金持ちに対していい子のフリをし、靴をもらった喜びを「two shoes!」と周囲に触れ回ったことから、“goody two shoes”のあだ名で呼ばれるようになりました。
「あの子はいかにもいい子ぶっている」と言うときには「goody goody two shoes」とgoodyを重ねて表現することもあります。「play innocent」とともにちょっとした知識を身につけておくと、洋画を見るときもさらに楽しくなりそうですね。
意味を知って正しい言葉遣いを身につけよう
「かまととぶる」は、世間知らずなフリを装うことを意味する言葉です。「可愛い子ぶる」や「いい子ぶる」のように、自分を取り繕うさまを意味することから、積極的に使いたい言葉とは言えません。
しかし、言葉の意味を紐解くと、そこには日本古来の文化が関係していることも分かります。成り立ちや正しい意味合いを知ってこそ、相手に失礼のない言葉を使えるとも言えるでしょう。言葉の知識を増やすとともに、大人として正しい言葉遣いを身につけていきたいですね。
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