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「かまととぶる」の正しい意味や類語とは?
そもそも、「かまととぶる」にはどのような意味があるのでしょうか?まずは「かまととぶる」の正しい意味や類語、言い換え表現について確認していきましょう。
■「かまととぶる」とはウブなふりをすること
「カマトト」とは、知っているのに知らない態度を示し、上品な様子を装うことを意味します。「~フリをする」という意味の「ぶる」をつけることで、「ウブなふりをする人」という意味を表しているのです。
主に女性に使われることが多く、あくまでも「フリをしている」状態を意味することから、褒め言葉よりはネガティブな表現として用いられます。世間知らずの純粋な様子を装っている人も、「かまととぶっている」と言い表すことができるでしょう。
■「かまととぶる」の類語や言い換え表現
「かまととぶる」には、以下のような類語や言い換え表現があります。どれも自分を良く見せようと、本来の状態を取り繕っていることがポイントです。
(1)可愛い子ぶる
「可愛い子ぶる」は、「ぶりっ子」にも通ずる意味を持つ言葉です。「可愛い」という形容詞に「ぶる」という動詞を付け、可愛らしく振舞うことを意味しています。可愛い状態を示すのではなく、あくまでも「可愛らしく装う」様子を意味することから、基本的にはネガティブにとらえられる表現です。
(2)猫をかぶる
自分の本性を隠し、おとなしく見せようとすることを「猫をかぶる」と言います。主に、人前で清楚なフリをすることを意味する言葉です。
猫は寝転んだり甘えたりしているときは、おとなしくとても可愛らしい姿を見せますよね。ところが、一度スイッチが入ると素早く引っかいたり、暴れたりといったい一面もあります。「猫をかぶる」という言葉は、二面性のある猫のように、本性を隠しおとなしい自分を演出している人を表しているのです。
(3)いい子ぶる
「いい子ぶる」も、良い人間を装うことを意味する言葉です。周りの評価を上げるため、本来の自分よりも「いい子」だと思われる人物のフリをします。「かまととぶる」のような世間知らずの純粋な人よりは、優等生で誰からも好かれる人間を装っている人に用いるケースが多いでしょう。
漢字で「蒲魚ぶる」の由来はかまぼこ!?
「カマトト」は漢字で「蒲魚」と書きます。言葉の由来を紐解くと、思いがけない「カマトト」誕生のきっかけを知ることができますよ。
■「カマ」はかまぼこ「トト」はお魚
蒲魚(かまとと)の「蒲」は、蒲鉾(かまぼこ)を意味する漢字です。また、「魚」は訓読みのとおり、生き物の魚を表しています。
「トト」の語源には諸説あり、「早く早く」「さっさと」という意味を持つ「疾う疾う(とうとう)」という言葉に由来するとも言われています。冷蔵保存ができなかった時代には、魚は早く食べなくてはと急かす必要があったからです。
また、小さな子どもが使う「おとと」という言葉は、魚市場ではねた魚を「おっとっと」と店の人が追いかけたという話が語源とも言われています。
■由来は「蒲鉾はおととからできているの?」のひとこと
蒲鉾は、江戸時代から魚の身をすりつぶして作られていました。ある日、江戸の娘が富裕層のフリをし、「蒲鉾はおととからできているの?」と男性に尋ねたというのです。
蒲鉾が魚から作られているのは、当時の庶民にとっては当たり前のこと。それを知らないフリをして男性の気を引こうしたことが、世間知らずを装う「かまととぶる」へとつながったと考えられています。
また、「カマトト」の語源にまつわる、もう一人が江戸の遊女です。遊女は世間慣れしていないウブな女性を装うため、「世には蒲鉾という美味しい食べ物があるそうですね。それは何からできているのですか?おとと?」と男性客に尋ねたというエピソードがあります。
当時、世間知らずなフリで異性の気を引こうとしていたことから、現在も「カマトト」は、自分をアピールするときの言葉として使われているのです。
「かまととぶる」と「ぶりっ子」はどう違う?
「かまととぶる」の語源や意味合いを知ると、「ぶりっ子」とどう違うの?と疑問に思うのではないでしょうか。両者は似た意味合いを持つ言葉ですが、実は微妙な違いがあります。
■「ぶりっ子」は「かまととぶる」の類語が転じた言葉
「ぶりっ子」は、「かまととぶる」の類語である「可愛い子ぶる」「いい子ぶる」が転じて生まれた言葉です。
「~ぶる」には、その状態を装う、フリをするという意味合いがあります。つまり、本当の自分よりも可愛く見せようとし、いい子に振舞うことが「ぶりっ子」にあたるのです。
そのため、世間知らずなフリを意味する「かまととぶる」より、「ぶりっ子」は広い意味合いを持つ言葉になります。「かまととぶる」よりも、幅広いシーンで使うことができるでしょう。