ファンにとってタカラジェンヌは雲の上の存在なので、「こんな自分と近い感情を持たれているんだ」と驚きつつ、うれしいファンの方も多いと思います。表紙は、現役時代に天真さんが演じられた『はいからさんが通る』の牛五郎をオマージュした姿ですね。本書の中にある「角リーゼント」のこだわりも楽しく読ませていただきました。
天真:うれしいです、私も楽しかったです。今、(『エリザベート・スペシャル・ガラ・コンサート』の)お稽古場で(『はいからさんが通る』の演出家である)小柳奈穂子先生と一緒なのですが、小柳先生も『cakes』の連載を読んでくださっていたそうです。
書籍の裏話はありますか? 「〆切がやばい!」みたいなエピソードも載っていましたが。
天真:それは、とても、ご迷惑をおかけしました…。こんなにギリギリに出すか!、ってくらい本当にギリギリで出していまして。
受験したときにどうやって受かったかというエピソードは、現役時代からいろいろな場で披露していたために書きやすかったんですよ。だけど逆に言いすぎてしまっていたため自分の中で「これはみんなわかっているだろう」的な書き方をしてしまって、知っている人にはいいけど初めて読む人には伝わりにくかったり。もうちょっと詳しく肉付けしていったら…受験するまでが1万字を超えてしまったという(笑)。1話2,500字程度と言われていたので、本当は受験までを1話にまとめたかったのに3話になっちゃって。書き始めた頃は、何話にするかとか、タカラヅカ人生のどのエピソードを切り取るかという構成をあまり考えていなかったので、書きたいエピソードと「これいるかな?」というエピソードのボリュームに差ができてしまって、これはいかんということで、どのくらいの進み具合でどんなエピソードを書くかを箇条書きにするようになってから落ち着きました
でも、実際に書き始めたら意外と膨らまないエピソードや、書いてみたら「やっぱりいらないかも」と思って書き直す…みたいなことがあってどんどん書くのが遅くなってしまい、『cakes』では隔週月曜日の朝10時に更新だっだんですけど、編集さんに原稿を送るのがその日の朝7時になったこともあります。これはお互いに身を滅ぼす…ということで、最後のほうは出版社に行って編集さんに見張られている前で原稿を書いていました。どれを書こうか悩んだときにすぐに相談できるし、やっぱり見張られていると書けるんですよね(笑)。
▲左右社の部屋を借りて執筆(再現)。このスタイルにしてから、長くても2日で1話を書けるようになったそう。