【目次】
第2回 「誰が注ぐのか問題」
みなさんこんにちは、心理カウンセラーのヌンサリです。さて、働く女性のライフワークバランスについてあれやこれやお話しさせていただくこちらの連載、第2回目の今回は、みなさんも学生時代や職場で経験したことがあるかもしれないシーンから見える、ジェンダーの問題について考えていきたいと思います。
★★★
「女性のほうが、男性に常にお酒を注ぐなんて、あなた何の仕事なのって思われますよ」
アメリカ育ち女性の上司のその忠告以来、飲み会でのふるまいには気をつけていたけれど。これは、そこから約10年後のこと。
日本人の目上の男性が、「(お酒を)注いでくれないのか!」とだれかに言っていました。……どうも自分に言ってるらしい。予想外の出来事に「えっ、私に注いで欲しいんですか?」と確認すると、聞き方が上から目線だと怒られるという。一体何が飲み会での正解なのか、飲み会迷子になりかける私です。
「女性が給仕をすること」はかつての日本の文化に自然に組み込まれていて、ハラスメントというには、している本人もまわりも気がつかないことが多いもの。
もちろん、その反対だってありえるのです。例えば、「イケメンね〜、お酒ついで!」などと言われて嫌な思いをしている男性もきっといるはず。
とはいっても、日本の女性がなかなかその「伝統的な」役割から抜け出せないのは気になるところ。
女性活躍とはいうものの、その政策を決められるフィールドでの人数は未だに少なく、最近では菅内閣の閣僚21人中、女性がたった2人だけと言うことも世界をざわつかせました。
国連などの国際機関で会議をおこなうと、多くの場合、性別に偏りがある会議は問題とされます。たとえば21人の男性と2人の女性のパネリストで会議を行おうとしても、ジェンダーバランスの観点からも却下されてしまうこともあるのです。
国際的な視点でいうとアウト! なことがちょいちょいまかり通っている日本。なにか不快なことがあれば、流してしまうのではなく、もしかしてこれって? と立ち止まってみてください。頭の中で「男女を反対にしても成り立つかな?」 と意識するとよいかもしれません。
もちろん、女性が男性にハラスメントをすることも十分起こうるので、男性も女性も、職場などでおかしいな、不快だな、と思ったことがあった時に、安心して話すことが出来るよう環境整えていくことは大切ですね。
これまでの【元国連勤務カウンセラー・ヌンサリが解説する働く女のライフワークバランス】
大学講師/研究者/カウンセラー
ヌンサリ
日本生まれ。北アメリカ、東ヨーロッパ、西アフリカなどの国連機関での勤務を経て、現在は大学講師、研究者、カウンセラーとして働く。カルフォルニア大学バークレー校、ニューヨーク大学大学院卒。東京大学大学院医学系研究科卒・博士。家族は夫と保育園児。