「出来かねます」の使い方3つの注意点
「出来かねます」は「できません」という意思を伝える丁寧な表現ですが、誤って使用すると相手に誤解を与えかねません。使用時は、
1.「できかねません」は誤った使い方
2.「出来かねます」自体が誤用の場合もある
3. はっきり断るときは「お受けできません」と伝える
の3点に注意してください。ここでは「出来かねます」を使うときに心得ておきたい、3つの注意点をチェックしていきましょう。
1.「できかねません」は誤った使い方
「できかねません」は、誤った使い方です。「出来かねます」と似ているため、知らない間に使わないよう注意する必要があります。
前述したように「かねる」には「しようとしてもできない」という否定の意味合いがあります。一方、「かねません」は「~するかもしれない」という推量を表す言葉です。主に、良くない出来事が起こるかもしれないという意味合いで用いられます。
「伝えられない」と伝えることを断りたいときには「伝えかねます」と表現します。「伝えかねません」とすると「伝えるのかもしれない」という憶測を相手に与えしまう可能性があるからです。
日常会話で何気なく使ってしまいがちですが「できかねません」は誤った使い方であることを覚えておきましょう。
2.「出来かねます」自体が誤用の場合もある
前述したように「かねる」は「しようとしてもできないこと」を意味する言葉です。つまり「出来かねます」は「できる」が「できません」という不自然な表現であり、誤用とされることもあります。また、「いたしかねます」が正しい表現であると言われることもあります。
しかし、正しいシーンで使用すれば「出来かねます」が不自然だと思われることは多くありません。日常生活に浸透し、ビジネスシーンでも見聞きする言葉であるといえるでしょう。
3. はっきり断るときは「お受けできません」
「出来かねます」は「できません」という言葉をやわらかく丁寧に表した言葉です。そのため、相手に対して「もしかしたらできるのでは」という印象を与える可能性もあります。
「出来かねます」は「本当は受けたいのだが対応できない」という意味もあるため、本当に依頼を断りたいときは注意が必要です。
相手に誤解を与えないよう、はっきり断りたいときは「お受けできません」という言葉を用いましょう。なぜ受けられないのかという理由を付け加えると、より相手の理解を得られやすくなります。
「出来かねます」3つのシーン別使用法と例文
「出来かねます」という断りの表現は、ビジネスにおいて電話やメールに返答するとき、相手の要望を断るとき、「回答できない」と断るときに活用できます。直接相手の顔が見えない、電話やメールにも適した表現です。3つのシーンに応じた使い方を例文を参考にマスターしましょう。
1. 電話やメールに返答するとき
相手の表情が分からない電話やメールでは、失礼のない断り方が求められます。そのためには「出来かねます」の前にひとこと添える意識が大切です。相手の気持ちを考えながら、丁寧な表現を心がけましょう。
・大変恐れ入りますが、お客様都合の返品は出来かねます。
・あいにくその日はスケジュールが立て込んでおり、参加出来かねます。
2. 相手の要望を断るとき
「出来かねます」は、相手の要望を断るときに適した表現です。特に、相手が目上の人や取引先の場合「~してほしい」という要望に断りを入れるのは難しいものです。角が立たないよう、丁寧に断りの意思を伝えましょう。
・大変申し訳ないのですが、すでに予約が埋まっているため対応出来かねます。
・誠に恐れ入りますが、参加条件を満たしていない場合はご要望にお応え出来かねます。
3.「回答できない」と断るとき
ビジネスでは、何らかの事情で相手の質問に回答できない場面も訪れます。そのようなシーンでも「出来かねます」を使うのが効果的です。「答えられません」よりも、ソフトに相手への断りの意思を伝えられます。
・大変恐れ入りますが、本日は担当者が不在のため説明できかねます。
・それ以上のご質問はプライベートにかかわるため、回答できかねます。
「出来かねます」で断りの気持ちを丁寧に表そう
「出来かねます」は、断りの気持ちを丁寧に表す言葉です。目上の人や取引先の依頼に対し、断りを入れるのは難しいと感じる場面もあります。「出来かねます」を用いれば、「できません」よりやわらかな印象を与えられます。誤った使い方をしないためには、言葉の意味を正しく理解しておくことも大切です。「出来かねます」を正しく使い、マナーを身に付けた大人を目指しましょう。
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