幽霊がやってくる1か月「鬼月(グィユエ)」
台湾では8/8から「鬼月(グィユエ)」いわゆる台湾のお盆の時期に入ります。
日本でいう“お盆”に当たります
中国語で鬼とは幽霊の事を意味し、1年に1度、あの世とこの世を隔てる地獄の門が開き、無縁仏の霊達も一斉に人間界へと入ってきます。幽霊がこの世にやって来る月なので、「鬼月」と呼びます。この鬼月の習慣は、これは台湾だけでなく香港、中国でも広く認知されています。
鬼月は旧暦(農暦)の7月1日から7月30日までの1か月間の事です。2021年は8月8日から9月6日までがこの期間に当たりますが、この鬼月の1か月には“やってはいけない”と言われていることが数多くあります。
「鬼月」中のタブー
これから1か月間続く鬼月ですが、鬼月中のタブーとされていることの一部についてまとめてみました。
1:家の購入・引っ越し・結婚・車の購入禁止(新しいことを始めたり、大きな買い物禁止)
台湾人は鬼月に引っ越すことをなるべく避けます。鬼月に新居へ引っ越したり新車を購入したりすると、幽霊の注意を引いてしまい幽霊がついてきてしまうと言われています。目立つ行動はNG! でも、本当にやむを得ない場合には、新居に入る前にいくつか魔除けのお祓いをしてから引っ越すそうです。
2:夜の口笛を吹いてはいけない、大きな物音をたてない
日本では夜、口笛を吹くと蛇が出ると言いますが、台湾では幽霊を呼んでしまうと言われています。また幽霊の注意を引かないように、大きな音は立てないようにして生活します。
3:夜に洗濯物を干してはいけない
洗濯物を夜、干しっぱなしにすると、幽霊が服にくっつき、それを着てしまうと憑りつかれるかもしれないからだそうです。
4:夜に人の名前を呼んではいけない
幽霊に名前を知られてしまいます。なので、夜外で人の名前を呼ぶときは霊に名前を覚えられないように、ニックネームなどで呼び合うらしいです。
5:夜に名前を呼ばれても振り向いてはいけない
幽霊に名前と顔を一致されて、特定されてしまうからだそうです。
6:水遊びをしてはいけない
川や海などで水遊びすると、水鬼(水難で亡くなった人の霊)にあの世に連れて行かれると言われています。これは日本のお盆期間も同じことが言われますよね!
7:肩をたたかれても、首だけを後ろに回して振り返らない。
これは鬼月だけでなく、台湾ではよく言われます。元々人間の両肩には魂の火が灯っていると言われ、首を回して振り向くと、その火が消えてしまうからタブーなのです。もしも肩をたたかれたら、体全体で振り向けば問題なしです。
■鬼月のタブーに合わせたサービスやイベントも
1であげたように、大きな買い物はタブーとされているため、新車や家の購入はこの時期売り上げが全然上がらないそう。そのため、最近では鬼月には特別安くなったり、無料サービスを付けてくれたり、色々なイベントをしているお店が多くあります。気にならない人はチャンスの月かもしれませんね!
鬼月の幽霊を「好兄弟」「 阿飄(お化けちゃん)」と呼ぶ
鬼月にこの世にあらわれる幽霊ですが、鬼(幽霊)と言うと、怖くて悪いイメージですよね。そのため台湾人は鬼と呼ばずに、親しみを込めて、「好兄弟」「 阿飄(お化けちゃん)」と呼びます。
無縁仏の好兄弟も、ご先祖様同様、人間界を一ヶ月間漂い続けます。ご先祖様たちには帰る家があるのに対し、彼らは戻るところがないため、きっとお腹を空かして、家に勝手に入ってきてしまい、ご馳走を食べてしまうかもしれません。
「好兄弟」「 阿飄(お化けちゃん)」への大量のお供え物
そこで、家の外に大量のお供え物をして、「ご馳走をあげるから、家の中に入って悪さをしないでね。」という意味で、彼ら用にも大量のお供え物をして労います。
この時期スーパーマーケットにはお供え用のお菓子やカップラーメン、果物等が大容量で販売されています。
そしてお供え物に加えて、洗面器や歯ブラシ、タオルも用意しておきます。1年間お風呂に入れなかったのだから、お風呂に入ってきれいになってねという思いが込められています。
鬼月と言うと少し怖い感じがしますが、日本も台湾もご先祖様へ日頃の感謝の気持ちを持ってお迎えする貴重な風習ですね。
ライター
神谷知佳
台湾で2児(ともに男児)の子育て真っ最中。国際線CA→大手スポーツメーカーの人事を経て台湾移住。現在はフリーランス人事として仕事と育児のバランスを模索中。
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