エレガントなワイン好きはドイツワインを選んで
ヨーロッパの多くのワイン生産国のなかでも、いま最注目と言っても過言ではない、ドイツワイン。
寒冷な気候のドイツはぶどうが完熟しづらく、そのためこれまではワイン造りが困難な年も多くありましたが、近年は本来の涼やかな気候を映しながらも果実感に満ちた、魅力的なワインが続々生まれています。
繊細なアロマとフルーティーさ、豊かな酸のバランスいい白ワイン、エレガントで細やかなタンニン (苦味) が特徴の赤ワイン。白赤いずれも、パワフルで濃いワインとは対極ですから、エレガントなワインが好み、という女性たちはぜひチャレンジしてみてくださいね。きっと無理なく、スムーズに、そして美味しく飲み進められます。
アジア料理とのマリアージュが絶品
そんなドイツワインは、私たちが大好きなアジア料理ともぴったり。アジア料理は酸味、甘み、旨み、スパイシーさとさまざまな要素を内包した料理です。ワインとあわせるのは難しそう、と考える人も多いかもかもしれませんが、まったくもって心配ご無用。
Wines of Germany日本オフィス主催の「ドイツワインとアジア料理のハーモニー」イベントで、ワインをセレクトしてくださったのは「パレスホテル東京グランドキッチン」のチーフソムリエ・瀧田昌孝さん。そして、そのワインに合う料理を指南してくれたのが「代官山・蜜香 mi-shang」のシェフ・村木美沙さんです。
▲ 左からシェフ村木さん、Wines of Germany日本オフィス代表のロイック・ブリュノさん、ソムリエの瀧田さん。
果実感と豊かな酸に支えられた白
まずはドイツワインの代表的な品種であるリースリングから。
▲ ロバート・ヴァイル「リースリング・トラディション」¥4,114
ロバート・ヴァイルの「リースリング・トラディション」は、ピュアで甘酸っぱさが口いっぱいに広がる白ワイン。「百合やスズランなどのフローラルさ、柑橘などの果物の香りがふんだん。爽やかで伸びやかな酸と、熟した果実由来の味わいも感じられます」(瀧田さん)。単独で飲んでも十分美味しいけれど、村木さんのおススメは料理とワインの甘酸っぱさが調和する「鯛の甘酢あんかけ」。そのほかにはエビマヨスイートチリ、ちらし寿司などでも好相性ですよ。
▲ 鯛の甘酢あんかけとリースリング。甘酸っぱい同士の組み合わせ。
次はヴァグナー・シュテンペルの「ヴァイスブルグンダー・トロッケン」です!
▲ ヴァグナー・シュテンペル「ヴァイスブルグンダー・トロッケン」¥2,970
ヴァイスブルグンダー、フランスではピノ・ブランと呼ばれる品種の白ワイン。熟した梨やリンゴ、アプリコットなど果物の華やかな香りとミネラル、そして豊かな酸も感じられます。「ジューシィで上質なこの白が、3000円前後というのは、かなりハイコスパ。ドイツワインならではです」(瀧田さん)。白ワインでありながら十分にボリューム感もあるので、「豚や筍、キクラゲを使った揚げワンタンなんてぴったり」(村木さん)。ほかにもキスなど魚介系天婦羅とか、海老の塩炒めといった甲殻類の炒めものとも合いますよ。
▲ ジューシィでボリューム感もある白は、揚げ物や甲殻類と。
勝負の日に飲みたい優雅な赤
そして赤ワインは、ベルンハルト・フーバーの「マルターティンガー・シュペートブルグンダー」です。
▲ ベルンハルト・フーバー「マルターティンガー・シュペートブルグンダー」¥5,500
ドイツ語のシュペートブルグンダーは、一般にピノ・ノワールといわれる品種。「お誕生日や仕事で成功した時など、記念日やキメの日に飲みたいハイレベルな1本」(瀧田さん)。バラやラズベリーなどの赤い果実、スパイスや樽の香りもバランスよく感じられて、透明感のあるミネラリーな酒質。それだけに、料理もガストロノミックなものを用意したいですね。村木さんがセレクトしたのは、牛肉の広東醤油煮込み。それ以外にも中華版・豚の角煮の東坡肉(トンポーロー)、鶏の照り焼きなどとも合いますから、是非楽しんでみてください。
▲ ハレの日に、エレガントな赤ワインと肉を合わせて。
協力/Wines of Germany日本オフィス
ライター
鳥海 美奈子
共著にガン終末期の夫婦の形を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』(集英社)。2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在、ワイン記事を執筆。著書にフランス料理とワインのマリアージュを題材にした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)がある。雑誌『サライ』(小学館)のWEBで「日本ワイン生産者の肖像」連載中。ワインホームパーティも大好き。