羊頭を掲げて狗肉を売る
羊頭を掲げて狗肉を売る(ようとうをかかげてくにくをうる)
《「無門関」六則から》羊の頭を看板に出し、実際には犬の肉を売る。外見と内容が違うこと、見せかけが立派でも実質がそれに伴わないことのたとえ。羊頭狗肉。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「羊頭を掲げて狗肉を売る」とは「ようとうをかかげてくにくをうる」と読み、羊の看板を掲げながら、実際は低価格な犬の肉を売ることを表現した言葉です。見せかけに対して中身が伴っていないときに使用します。
「羊頭を掲げて狗肉を売る」には見かけを立派にしてごまかすという意味があるものの、「砂上の楼閣」にはごまかすという意味合いはありません。しかし、ともに見かけ倒しであるという点において、類義語だといえるでしょう。
机上の空論
机上の空論(きじょうのくうろん)
頭の中だけで考え出した、実際には役に立たない理論や考え。
[補説]「砂上の楼閣」との混同で、「砂上の空論」とするのは誤り。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「机上の空論」とは「きじょうのくうろん」と読み、理論上は整合性があるように見えても、実際には実現できない考えを示す言葉です。
「砂上の楼閣」の持つ、実現不可能なことの意味に近い言葉といえるでしょう。ただし、「机上の空論」には「見かけ倒しで、基礎がしっかりしていない」という意味はないため、使用する際は正しく使い分けましょう。
有名無実
「有名無実」とは表面的には有名であるが、実際には中身や実質が伴わないことを指します。例えば、有名なブランドや称号があっても、その実力や価値が伴っていない場合に使います。
有名無実(ゆうめいむじつ)
[名・形動]名ばかりで、それに伴う実質のないこと。また、そのさま。「―な(の)規則」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「砂上の楼閣」の対義語
「砂上の楼閣」の主な対義語は、「堅実」「用意周到」の2つです。早速意味を見ていきましょう。
堅実
堅実の意味は、以下のとおりです。
堅実(けんじつ)
手堅く確実なこと。確かであぶなげのないこと。また、そのさま。「―な手段」「―に生活する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「堅実」とは、「考え方ややり方がしっかりとしており、危なげがない」という意味です。砂上の楼閣のような不安定さは感じられません。
例文
・私の彼は堅実な性格をしており、数年前に交わした約束も守ってくれます
・子どもの教育費を貯めるために、堅実な計画を立てていこうと思います
・今度お見合いする相手は、堅実な性格の方だと嬉しいなと、期待しています
用意周到
用意周到の意味は、以下のとおりです。
用意周到(よういしゅうとう)
用意が行き届いて、手ぬかりがないこと。また、そのさま。「―な(の)実施計画」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「用意周到」とは、「事前準備が完璧にできている」という意味です。人の性格を「用意周到」と表現するときは、何事にも慎重で、どんなときも事前準備を怠らないタイプとの意味が込められているでしょう。
例文
・新しいプロジェクトを成功させるために、彼は用意周到に計画を立てた。
・日頃の避難訓練で用意周到な準備を行っていた成果もあり、今回の災害では大きな被害は発生しませんでした
「砂上の楼閣」の英語表現は?
「砂上の楼閣」は英語で「castle in the air」や「a house of cards」と表現できます。どちらも不安定で崩れやすいものを表すのが特徴といえるでしょう。
【例文】
・His plan was nothing but a castle in the air.(彼の計画はただの空想に過ぎなかった)
・Their plan looked solid, but it fell apart like a house of cards.(彼らの計画はしっかりしているように見えたが、砂上の楼閣だった)
最後に
「砂上の楼閣」とは、見た目は立派でも基礎がしっかりしていないため、長続きしないという意味です。砂の上に建物を建てることができないように、実現不可能という意味も含まれています。
「砂上の楼閣」という言葉は、使うシーンによっては相手に不快感を与えることがあるため、使用には注意が必要です。類義語や対義語の違いを理解して、適切に使い分けてみてくださいね。
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