箱推しとは?意味・定義や使い方を紹介
「推し」は、誰かにおすすめしたくなるほど、特定の人やものを熱心に応援することを指す言葉です。
「箱推し」もまた、推していることに変わりはないのですが、対象の定義や特徴が異なります。言葉の意味と使い方を例文を交えて紹介します。
グループ単位で応援することを指す
箱推しとは、アイドルグループやスポーツチーム、アニメやマンガといった創作物の中に登場するグループなど、複数人で構成される集団全体を応援することです。
たとえば、野球やサッカーチームの場合、特定の選手だけでなくチーム全体を応援する姿勢が箱推しです。グループ全体を一つの「箱」として捉え、その中身すべてを支持する様子を表現しています。
箱推しの魅力は、グループの多様性を楽しめる点にあるといえるでしょう。メンバー全員の個性や才能を認め応援することで、より豊かなファン体験が得られるのです。
グループ全体を応援する人が多いと、ファンコミュニティの結束を強める効果も期待されます。箱推しはK-POPファンの間で特に人気があり、グループの一体感や相乗効果を重視する文化と相性がよいとされているようです。
箱推しの使い方・例文
箱推しという言葉の使い方はさまざまです。たとえばアイドルグループの場合、歌唱力に優れたメンバーやダンスが得意なメンバーなど、それぞれの個性を包括的に応援したいときに使うのがおすすめです。
具体的には「私は○○(グループ名)の箱推しです」と自己紹介したり、「この新曲は箱推し冥利に尽きる」とSNSで感想を述べたりと、多様な使い方ができます。
また、あわせて覚えておきたい使い方として「○○(メンバー名)寄りの箱推し」があります。こちらは、グループ全体を好きだけれど、特定のメンバーを贔屓にしているという意味です。
箱推しと似た意味を持つ言葉
箱推しには、さまざまな類義語や派生語があります。それぞれ使いどころやニュアンスに、やや異なる点があることがポイントです。
箱推しとあわせて覚えたい、似た意味の言葉を紹介します。
全推し
全推しとは、グループやユニットのメンバー全員を等しく応援する姿勢のことです。全推しの人はどのメンバーにも同じ対応をし、グループ全体の成功を願う傾向にあります。
たとえばアイドルグループのファンが、センターポジションのメンバーだけでなく、端のポジションにいるメンバーや新人メンバーにまで、同じように応援するスタイルが全推しといえるでしょう。
全推しはグループの一体感を重視し、メンバー全員の個性や才能を認める姿勢から生まれると考えられます。箱推しと同様にメンバー全員の成長を見守り、それぞれの魅力を発見する喜びがあるのでしょう。
また箱推しと同じく、推しメンバーの不在時も楽しめるため、ファン活動の幅が広がるところも全推しの特徴です。
オルペン
オルペンとは、韓国語のオル(オール)とペン(ファン)をつなげた言葉です。箱推しと同様に、コンサートやライブでグループ全体を支持する姿勢を表し、K-POPファンの間で使用されます。
「○○(メンバー名)オルペン」という使い方もでき、特定のメンバー名とつなげた場合は「好きなメンバーがいるけれど、基本的には全員を応援している」という意味になります。
オルペンの特徴の一つは、ライブ会場での一体感を重視すること。アイドルグループのコンサートで、ファンが全メンバーの曲で同じ熱量を持ってペンライトを振っている人が多くみられます。
G担
G担とは「グループ担当」の略で、箱推しと同じくグループ全体を応援する意味の言葉です。
「担当」という言い方はファンや推しと同じニュアンスで使用されますが、具体的には「○○(メンバー名)担当」「〇〇担(担当の略)」のような使い方をします。「他G担」という表現もあり、意味は「自分が応援しているグループではない、別のグループを応援している人」のことです。
G担は、メンバーの卒業や加入といった変化にも柔軟に対応できるため、長期的なファン活動がしやすいメリットがあるといえます。
DD
DDとは「Daredemo Daisuki(誰でも大好き)」の略で、特定のメンバーやグループに限定せず、幅広く応援する人を指します。
箱推しと似ていますが対象範囲がより広大で「複数のグループをまたぎ、好きな人が多数いる」というようなニュアンスを持つこともあるため、節操がない印象を抱かれることも。
アイドルファンでいえば、所属グループの異なるタレントを多数同時に応援する人がDDと呼ばれることもあるようです。本人が自虐として使うほか、蔑称のように使われるケースも珍しくないので、他者に対して安易に使用するのは避けた方が賢明です。
箱推しは嫌われるって本当?
特定のメンバーを熱心に応援している人からすると、箱推しは理解できないと感じることもあるよう。一部のファンにとって、箱推しが批判の対象になってしまう理由や、応援スタイルの違いにモヤモヤしたときの考え方を見ていきましょう。
愛が浅いと思われることも
箱推しは「愛が浅い」と捉えられてしまうことがあります。これは、特定のメンバーだけを熱心に応援する「単推し」と比較されるためです。
誰か一人を熱心に応援する姿勢を持つ人の中には、何人も推しがいる人は一人一人に対する熱量が足りないのではないかと考える人もいるのでしょう。
一方で、箱推しはグループの長期的な発展を支える行為であり、安定したサポートを提供できるともいえます。グループの持続的な成功に貢献する大切な要素の一つです。
さらに、箱推しはファン同士の交流を促進する効果も期待できます。グループ全体の話題で盛り上がれるため、コミュニティの形成がしやすいのです。
推しが好きなことに変わりはない
箱推しだからといって、ファンとしての熱意が足りないとはいえません。多様な魅力を認め、グループの成長を見守る深い愛情の表れとも受け取れます。
箱推しはオーケストラの演奏を楽しむようなもの。個々の楽器の音色も素晴らしいですが、全体の調和こそが感動を生み出します。同様に、グループ全体の魅力や相乗効果を楽しむのが箱推しの醍醐味といえます。
応援のスタイルは人それぞれであり、どちらが正しいということはありません。個人の楽しみ方の違いとして捉えるとよいでしょう。
箱推しの反対を意味する言葉
箱推しと反対の意味を持つ言葉を知ると、より深くファン文化を理解できるかもしれません。箱推しとあわせて使われることの多い「単推し」「オンリー」の意味を解説します。
単推し
「単推し」は、箱推しとは対照的な応援スタイルです。特定のグループやチームの中から、一人のメンバーだけを熱心に応援することを指します。
たとえば、アイドルグループの中で一人のメンバーだけにファンレターを送ったり、グッズを買ったりするスタイルが該当するでしょう。
単推しの特徴は、推しメンバーへの深い愛着と理解です。その人物の魅力や才能を細部まで把握し、個性を深く愛している傾向にあるといえます。また、箱推しに比べると、経済的負担が少ない点もメリットかもしれません。
一方で単推しの場合、推しメンバーが卒業や脱退してしまうと、ファン活動の継続が難しくなるケースも考えられます。
オンリー
「オンリー」とは、単推しと同じ意味を持つアイドルファン用語で、グループ内でも特定のメンバーのみが好きな人を指します。
オンリーから派生して「アンリー」という言葉もあります。アンリーは「アンチ」と「オンリー」が組み合わさった造語で、自担(自分の好きなメンバー)以外のメンバーのアンチ活動をしているファンに対する表現です。
他のメンバーに対して過剰な批判を繰り返す人も多く、ファンコミュニティ内で問題視されているケースもあるようです。ネガティブな意味を強く与える言葉のため、他の人に対して使うことは控えた方がよいでしょう。
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