「尊い」の意味は主に2種類
尊い(とうとい)は主に2つの意味をもつ言葉です。1つ目は尊いの本来の意味で、価値や身分の高さを表します。2つ目の意味は昨今日常会話で使われるようになった「素晴らしい」という意味です。
それぞれの意味を正しく知っておくと、会話の中で尊いが出た際にどちらの使い方なのかを判断しやすくなるでしょう。ここでは尊いの2種類の意味について解説します。
1.本来の意味「価値や身分が高い」
尊いの本来の意味として、以下のようなものがあります。
・価値がある
・大事である
・貴重である
・身分が高い
・敬うべきである
例えば、貴重な経験をしたときには「尊い経験」と表現することがあります。命などの大切なものについて「尊い命」と表すこともあります。
なお、尊いは身分が高い相手に対しても使える言葉です。そのため、敬意を示すべき相手を呼ぶ際に「尊いお方」と言うこともあります。
2.オタク用語としての意味「素晴らしい」
最近は「尊い」という言葉を、「推し」へ向けた褒め言葉として使われることが増えました。その場合「素晴らしい」「最高」という意味をもちます。「推し」とは、一番好きなメンバーを指す「推しメン」を略した言葉で、「誰かに勧めたくなるほど好き」というニュアンスを含みます。人だけではなく、アニメや漫画、ゲームといった物も対象です。
尊いを使う際は、推しと組み合わせて「推しが尊い」といった言い回しを使って、「好きな相手が素晴らしい」ことを表します。
【場面別】尊いの例文
尊いを使う場面として、本来の意味で使うケースと、推しへ向けた言葉として使うケースが挙げられます。使い方は主に2パターンですが、それぞれをきちんと理解していないと、誰かが尊いと発したときに意味を勘違いしてしまう可能性があります。
あるいは、自分自身が誤用して相手を混乱させてしまうこともあるでしょう。ここでは、尊いの場面別の使い方を例文とともにご紹介します。
■本来の意味で使う場面
尊いを本来の意味で使うのは、情緒的な文章であることが多いです。情緒的とは、「感情的に捉えるような出来事・物」を意味します。
例として、「尊い遺産」や「尊い命」などが挙げられます。尊いの本来の使い方はニュースなどに登場することが多いため、聞き馴染みがあるでしょう。
尊いを本来の意味で使った例文は以下を参考にしてください。
・事故によって、たくさんの尊い命が失われました。
・彼は部族の中で最も尊いお方です。
・私には祖先が残してくれた尊い遺産がたくさんあります。
■推しに向けて使う場面
この場合は、推しに対するポジティブな感情を表したいときなどです。2005年頃に流行した「萌え」も推しへの褒め言葉ですが、尊いは萌えよりも信仰心が強いイメージです。
自分の好きな人や物への気持ちが高まり、神聖さを感じるほど貴重な存在だと認識した際に尊いと表現します。
尊いをオタク用語として使った例文は以下を参考にしてください。
・〇〇くんが尊い!
・自分の推しメンが尊すぎる。
尊いに関連する言葉
尊いに関連する言葉として、2パターンの類義語があります。1つ目は本来の意味の類義語で、「崇高(すうこう)」「気高い」です。2つ目はオタク用語としての意味の類義語で、「琴線(きんせん)にふれる」「エモい」です。
なお、尊いの対義語には「卑しい(いやしい)」が挙げられます。尊いへの理解を深めるためにも、尊いに関連する言葉を確認しておきましょう。
■尊いの類義語
崇高は、「気高く尊いこと」を意味します。尊いと似ていますが、広大さや偉大さを強調したい場合は崇高のほうが伝わりやすいでしょう。
尊いは気高いに言い換えることも可能です。ただし、尊いが身分の高さを表すのに対し、気高いは「品格がある」というニュアンスを含みます。
琴線にふれるは、「素晴らしさに心が動かされること」を意味する言葉です。自分自身の気持ちを琴の糸に例え、何かに心が刺激されて共鳴する様子を表します。
エモいは2010年代に登場した言葉で、英語の「emotional」の略語です。何かに感動して心が動かされた際に使います。