【目次】
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「相容れない」とは互いの主張や立場を受け入れないという意味
「相容れない」とは互いの主張や立場が相反しているため、両立しない、もしくは許容できないという意味です。
【相容れない:あいいれない】
互いの主張や立場が相反していて両立しない。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「相容れない」は相容れるの否定形ですが、相容れるという言い方をすることはほとんどありません。否定形で使われるのが一般的で、相容れるという表現を使う場合にも、「相容れることはない」といった否定を伴った表現になります。
「相容れない」の読み方
「相容れない」の読み方は「あいいれない」です。相が「あい」、容が「い」と読みます。相(あい)には互いにという意味があり、相という文字をこの使い方をした他の語句では「相憐れむ」や相撲用語の「相四つ」などがあります。
容は許容するという意味です。容を「い」という読み方をする語句としては容れ物があげられるでしょう。容れ物は入れ物とも表記されます。
「相容れない」の2つの使い方
「相容れない」という言葉がよく使われるのは人間関係を表す時でしょう。立場の違いや意見の違いがあって、互いに譲らないケースは少なくありません。ビジネスの場面はもちろんのこと、日常生活でもこの言葉はよく使われます。
「相容れない」という言葉を使う場合は、「両立しない」というニュアンスで使う場合と「許容できない」というニュアンスで使う場合があります。それぞれ例文をご紹介しましょう。
1.「両立しない」というニュアンスでの使い方
「両立しない」というニュアンスで使う場合には、人だけでなくて、物質でも使うことがあります。
【例文】
・上杉謙信と武田信玄は水と油のような存在なので、まったく【相容れない】。
・過激な発言が注目されている政治家が発表したエネルギー政策は、脱炭素社会構築に向けた政策とは【相容れない】ものだった。
・農耕民族と遊牧民の文化には【相容れない】点が多々あります。
2.許容できないというニュアンスでの使い方
「許容できない」というニュアンスでの使う場合の多くは人間関係を表しています。
【例文】
・あの二人は兄弟でありながら、性格も主義主張も正反対で【相容れない】。
・社長派と専務派の対立は根深いものがあるため、それぞれが主張を譲らず【相容れなかった】。
・会社に入ったころはあんなに仲が良かったのに、出世争いをするようになってから、同期の二人は【相容れない】存在になってしまった。
「相容れない」という意味のことわざ「氷炭相容れず」
「相容れない」と同じニュアンスを持ったことわざに「氷炭相容れず」があります。氷と炭のようにまったく性質が異なるため、互いに受け入れることがないという意味です。
このことわざは中国戦国時代末期の韓の思想家である韓非子の著書『韓非子顕学』の一節、「氷炭不相容、寒暑兼時不至」に由来します。氷と炭は同じ容器の中に一緒に長くはいれておけないというたとえから、君主が違う意見すべてに耳を傾けていると、臣下が混乱するという教訓を示した文章です。
「相容れない」の類義語4つ
「相容れない」にはいくつかの類義語があります。その中でも意味や使い方の難しい語句を4つ選びました。漢字2文字の語句2つと四字熟語2つです。
1.齟齬
2.矛盾
3.二律背反
4.自家撞着
「相容れない」の類義語という共通点はありますが、ニュアンスや使い方はかなり異なります。それぞれの語句の意味と例文をご紹介しましょう。
1.齟齬(そご)
「齟齬」とは物事がうまく噛み合わない、もしくは食い違っているという意味の語句で「そご」と読みます。「齟齬をきたす」といった使い方をするところが特徴的です。
【例文】
・今後の我が社の経営方針について、コンサルティング会社の意見と大株主の意見とが【齟齬】をきたしているため、どう判断すべきか困っている。
・お互いの意見を丁寧にすりあわせて、【齟齬】をきたさないようにしてください。
・教師が教えた内容に【齟齬】があると、生徒が混乱するので気をつけなければならない。
2.矛盾(むじゅん)
「矛盾」とは矛と盾のことで、二つの物事が食い違って辻褄が合わないという意味です。「この盾を通す矛はない」「この矛で通せない盾はない」という言葉で矛と盾を売っていた商人の言葉に「その矛でその盾をついたらどうなる」と聞かれて答えに窮した中国の故事成語が由来になっています。
【例文】
・上層部の指示に【矛盾】があると、組織運営がうまくいきません。
・容疑を否認する供述があまりにも【矛盾】していたので、容疑者が犯人である可能性は高まった。
3.二律背反(にりつはいはん)
「二律背反」とはもともとは哲学用語で、相互に矛盾する二つの命題が同じくらいの妥当性をもって主張されることを意味します。哲学者カントの使ったドイツ語「アンチノミー」の訳語です。どちらの命題を選ぶか、悩む場面で使われることが多い言葉といえるでしょう。
【例文】
・レストランで提供する料理の質の向上と材料費の削減とは【二律背反】の関係にあるので、両立するのは困難です。
・残念ながら、この愛を貫くことと親の言いつけを守ることとは【二律背反】しているので、簡単には結論を出すことができません。
4.自家撞着(じかどうちゃく)
「自家撞着」とは同一人物の言動が食い違っているという意味です。自家は自分という意味があります。つまり「自家撞着」とは「自己矛盾」を起こしている状態を表す言葉です。
【例文】
・彼が言い訳するたびに、根拠となることが異なっているので、【自家撞着】に陥っている。
・彼は「世のため人のために情報をシェア」していると言うけれど、彼が情報を拡散することで傷つく人がいるのだから、彼の発言は【自己撞着】だと思います。
「相容れない」の読み方と意味を知って正しく使おう
「相容れない」とはそれぞれの立場や主張が相反していて、両立しないという意味です。それぞれの意見や存在を許容できない場合にも使います。相容れないの読み方は「あいいれない」です。相は互いにという意味があり、容は許容や受容のニュアンスがあります。
「相容れない」関係はたくさんあり、ビジネスの場面はもちろんのこと、日常生活でもよく使われる言葉なので、正しい読み方と意味を知って、正しく使いましょう。
写真・イラスト/(C) shutterstock.com
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