「社運をかけたビッグプロジェクトとして、社長の肝いりの案件が始動した」
社長という地位も権力もある立場の人が、社員や取引先の賛否両論の中で奔走し、新たな決断をした時などに使われます。この「肝煎り」は、よく耳にする使い方ですね。
「弁護士の肝煎りのおかげで、当事者双方、納得のいく話し合いができた」
この「肝煎り」は、弁護士が奔走して、心を砕いて仲介してくれたという意味です。弁護士のおかげで、全員が納得できる結果になったことを表しています。
「新聞社の肝煎りで犬猿の仲だった政治家同士の対談が実現した」
仲介してくれた人や組織に対する使い方です。通常なら実現できそうにない対談を無事に進めるために、双方の政治家を取り持った人や組織が介在し、成功させたことが伝わりますね。
【目次】
類語や言い換え表現とは?
では、「肝いり」は、類語や言い換え表現では、どのような言葉があるのでしょう? その意味と使い方を紹介します。
中立ち
「中立ち(なかだち)」は、双方の間に立って事をとりもつこと。例文:「十数年間、決裂していた父との対面が兄の中立ちで実現し、双方の誤解がとけた」
まとめ役
「まとめ役(やく)」は、大勢の意見を整理して結論を導く様にする役割のこと。例文:「どんなに困難な課題でも、まとめ役のリーダーの一言がチーム全員の気持ちを一つにしてくれる」
口添え
「口添え(くちぞえ)」は、お互いの交渉がうまくいく様に、言葉で働きかけること。例文:「無理難題ばかりを主張してくる取引先を説得するため、数十年来、先方の社長をよく知る専務からも口添えいただくよう相談した」
最後に
みなさんがこれまで使っていた「肝いり」と、今回紹介した「肝いり」の言葉のイメージは、一緒でしたか?「肝いり」は、元々の日本語としての成り立ちを考えると、人の間に立って、心をつくして一生懸命でいる人に対して使うのがよさそうです。案外、ネガティブな意味で使っていた人もいたのでは?普段何気なく使っている言葉の成り立ちに注目したり、言い換えてみると、日本語の正しい使い方を再発見できます。ぜひ、参考にしてくださいね。
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