Q.「子どもが便秘がちです。どう解消したらいいのでしょうか?」
A.「大人と同じように子どもだって便秘になります」
子どもの便秘を、とても驚く方がいらっしゃいます。実際、子どもも便秘をするもの。原因は大人と同じように、食事や生活習慣の影響、そしてストレスも考えられます。子どもは便秘になると、不快感から機嫌が悪くなったり、トイレへ行くのを嫌がります。これはおうちの方にとっても心配でしょうし、とても困ることでしょう。
便秘になるきっかけは?
子どもの便秘の主な原因
・食事の内容(水分や食物繊維の不足)
・食事のときによく噛まない
・運動不足
・睡眠不足
・トイレットトレーニングがうまくいっていない
・トイレ習慣の乱れ
など
きっかけになりやすいのが、トイレットトレーニングです。排せつの習慣が定着するまでは、トイレに行くのも、トイレでうんちをするのも嫌がることがあります。
このようなことをきっかけにトイレへ行くのを我慢しているうち、便秘になることが考えられます。この場合は、「トイレに行きたい」、「トイレでうんちをしたい」と思えるようにすることを考えてみるのはいかがでしょうか? 好きなアニメのポスターを日替わりで貼るなど、子ども自らトイレに行きたくなる工夫をしてみましょう。
トイレでうんちをすることに慣れないうちは、踏み台の高さが合わなくてふんばりにくいといったことも考えられます。子どもにとって快適な状態が整っているか、環境も見直してみると改善する点が見えてくるかもしれません。トイレが自立できている子でも、ちょっとしたきっかけで便秘になることもあります。
「おでかけ中にトイレに行きたくなったけれど、行けずに我慢したら出なくなった」、「『早く』とせかされて落ち着いてできなかった」なども影響する可能性が十分にあります。
「便秘 ⇔ トイレ嫌い」の悪循環を断つ
便秘になる。便がなかなか出ない。便が固くておしりが痛い。このような経験をすると、ますますトイレに行くのがイヤになり、悪循環に陥ってしまいます。このようなときは、小児科などかかりつけの医師に相談し、子ども用の浣腸などで刺激を与えてすっきりさせることもよいでしょう。
ただ、薬に頼ることを習慣化させないように、水分や食物繊維をしっかり摂りよく噛んで食べる、十分な睡眠をとり、適度な運動を行う、そして、1日のルーチンの中にトイレの時間を組み込むのも大切です。「ごはんを食べたらトイレに行く」など決まったタイミングで行く習慣をつけ、時間の余裕をもっておくようにしましょう。こうした生活が、自然な排泄のベースになります。
ストレス要因や生活習慣を見直しても「便秘になる」「ひどい便秘の状態が慢性的に続いている」といった場合、かかりつけの医師を受診しましょう。ごく稀にですが、腸の奇形で詰まりやすいなど、病気が原因で便秘になっている可能性も考えられるためです。
便秘になる要因
食事(水分不足、食物繊維不足、よく噛まない)
生活習慣(運動不足、睡眠不足)
ストレスなど
↓
便秘
うんちがでない
うんちが固い
↓
トイレに行きたくない
うんちをしたくない
解消のポイント
便秘
↓
浣腸 または、食事、生活習慣、トイレ習慣、ストレスの見直し
↓
便秘解消
うんちが気持ちよく出る
↓
トイレに気持ちよく行ける
日頃から「うんちが出た?」「どんなうんちだった?」「今日はどうして出にくかったと思う?」など話題に出すことで、子どもの健康状態を一緒に考えることも有効です。
大人でも苦しい便秘、子どもにしてあげられることは…
発達心理学と視聴覚コンテンツの専門家・沢井佳子氏の編著書『6歳までの子育て大全』(アチーブメント出版株式会社 刊)よりお届けする企画第4弾!(第3弾はこちら) 今回ご紹介したのは、保健師で元北里大学看護学部教授・鳥居央子さんによる解説「子どもの便秘」についてです。
便秘でお腹が張って苦しいと、大人でもずいぶん気が滅入るものです。なんといっても24時間、お腹のことが頭から離れないのが便秘の辛いところ。この辛さは、極力小さな子どもに味わってほしくないものですが…。悲しいかな、このコロナ禍で自由に遊びまわることが難しく、ストレスいっぱい&運動量の減少も重なり、便秘の子どもが増加の一途をたどっているのだとか。
しかも、鳥居さんによると“トイレットトレーニングが上手くいかなかった場合”などにも便秘になる可能性があるとのこと。こうして考えると、沢山の要因が転がっていて、子どもも便秘と隣り合わせであることが伺えます。
しかし、子どもが便秘になったとき、上記のとおりに『してあげられること』も沢山あるのです。それぞれの子どもに合った対処法を選ぶ…そのためには、お子さんがお腹の状態を気兼ねなく話せる環境が大事かと思います。まずは、一緒に健康状態を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。
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回答者プロフィール
鳥居央子(とりい・ひろこ)
保健師、元北里大学看護学部教授。一般社団法人日本こども成育協会・こども成育講座講師。東京大学医学部保健学科卒、保健師・看護師免許取得。同医学系研究科保健学専攻修士・博士課程修了。保健学博士。こどもの城小児保健部保健師、愛育研究所研究員、東京医科歯科大学助手を経て、北里大学看護学部准教授、教授。2012年同退職。以後、同学部小児看護学研究室の教育支援・研究協力を行っている。「6歳までの子育て大全」4章:予防・ホームケアに寄稿。