スノーホテルでのスリリングな一夜と、念願のオーロラとの初対面!
フッティルーテンの最終寄港地「キルケネス」に到着。キルケネスは、ロシアとフィンランドの国境に接する街です。1917年のロシア革命や1939年のロシア・フィンランド戦争の戦地となり、街の至るところに戦争の傷跡がかいま見られます。どことなく、北海道にでも来たかのような気分になってしまう居心地のいい街。ちょっときょろきょろしていると、老婦人が「May I help you?」なんて声をかけてくれたり、とにかく旅行者に親切なんです。街には、ローマまで5102kmなんて書かれた標識があって「すべての道はローマへ通ず」と、学生時代の歴史の教科書で習ったなあ、なんて変な感慨に浸ったりも…(笑)。
国境博物館は、ロシアとの国境近くにある美術館。ロシアとの戦争の記録やサーミ人の記録、鉄鉱石の採掘の展示などがあります。またサーミの芸術家、ヨン・アンドレアス・サヴィオの作品を展示。ミュージアムショップやカフェも併設。ショップでひときわかわいかったのが、ハート型のアクセサリー。ノルウェーでハート型は人気の形らしく、たとえばお菓子であったり、美術館に展示されていた折り紙もハート型だったり、至るところで見かけました。
美術館の近くには、ロシアとの国境ゲートが…。国境は道だけでなく、川であったり、山であったり、いろいろな形で存在しています。川の向こう岸はロシアで、一見、簡単に越えられそうな感じがしますが、特に兵士の姿は見られなくても、無断で国境を越えようとすると撃たれることもあるんだとか…。
ノルウェーには3か所のスノーホテルがあり、そのうちのひとつがキルケネスにあります。2006年にオープンしたスノーホテルは、11月下旬から12月はじめにかけて制作し、クリスマスにオープン。4月までの冬季限定、雪のホテルです。毎年、ホテルのデザインは変わるのですが、今年は中国のハルピン出身のデザイナーの作品で、北極体験とフェアリーテールがテーマ。部屋数は22室あり、すべての部屋に彫刻がされているんです。つくり方は、まず、巨大な風船に雪を吹きかけて、土台をつくります。そして、どんどん雪を厚くして、いわゆる「かまくら」をつくるわけです。なので、ホテルは大きなかまくらがいくつも連なったような形をしているんです。
ちなみにベッドも、もちろん氷製。マットレスが敷いてありますが、−35度でも大丈夫な寝袋の中で寝ます。寝るときは、たとえば保温効果の高い下着などを着用。コートや洋服を着た厚着のままだと、逆に暖まらないんだとか。コートを寝袋の中の背中の部分に敷き、翌日着る洋服なども、すべて寝袋の中にIN。靴もベッドの上に上げて寝ないと、翌日冷えすぎて、履くのが大変なことに…。顔が出る部分は目の部分だけなんですが、冷気が入ってきて、やっぱりだんだん冷えてくるんです。寝袋は、外国人男性でも大丈夫なサイズで結構大きめなので、どんどん潜ってしまったりも…。寝袋のままベッドから滑り落ち、登るのに苦労したのもいい思い出です(笑)。見学とディナーで900クローネ。宿泊になると、食事とサウナ込みで2300クローネと、ちょっとお高いんですが、宿泊してみる価値大です!
スノーホテル
住所:PO BOX 200 N-9915 KIRKENES NORWAY
http://kirkenessnowhotel.com/
冬のノルウェーでは、さまざまなアクティビティを楽しむことができます。たとえば犬ぞり。犬たちと一緒に真っ白な雪の中を駆け抜けていくのは、とても爽快。人懐っこい犬たちで、個性もいろいろ。そりに近い犬ほど、脚力が強いんだとか…。ひとしきり犬ぞりを楽しんだ後は、サーミ人のテントでランチ。トナカイの毛皮の上に置かれている料理は、トナカイの肉の煮込みとマッシュポテト。遊びすぎて、冷えきった身体にあったかい煮込み料理が染み入ります(笑)。
もうひとつおすすめのアクティビティが「キングクラブサファリ」! タラバ蟹釣りですよ! 何でも、カムチャツカ半島に生息していたカニを、食糧難のときにヌルマンソクに放流したところ、ほかに天敵がいなかったため、一気に増えたんだとか…。住民は、ひとり10杯まで取ることが可能なんですって。うらやましい限りです…。で、タラバ蟹がどこで採れるかというと…、なんとフィヨルド! 川の真ん中に穴をあけて、特殊な装置で蟹を捕獲するんです。その様は、まるでワカサギ釣りみたい。採った蟹は、その場で解体し、脚のみレストランへ持ち帰って蒸してくれます。何でも、ノルウェーの人は蟹味噌って食べないんですって。「うわ~、もったいない!」と悲鳴の上がる中、さくさくと解体するお兄さん。蒸した蟹は、旨味がギュッと濃縮され、この世のものとは思えないおいしさ! 蟹好きには、たまらないアクティビティです。
そして、ノルウェーに来て4日目。スノーホテルの目の前の湖(しかし凍っているので、大氷原)にて、待つこと数時間。やっとオーロラとご対面です! ノルウェーでは、大体21時ぐらいから2時ぐらいまでが、オーロラのオンタイム。しかも1時間ぐらい、ゆらゆらと出現してくれることもあれば、5分も経たずに消えてしまうことも…。ちなみにオーロラは、太陽から吹き込まれる太陽風という、電子と陽子などの帯電性粒子を含んだ風が磁力線に沿って極地方に降り注ぎ、酸素や窒素の原子や分子とぶつかって光を発する現象のこと。酸素だとグリーンに、窒素だと赤に発色すると言われています。
オーロラには、いろんな出方があるんだと思いますが、このときは「なんだか白いものがもやもや~っと出てきたなあ」と思ったら、それがだんだん集まってきて、緑のオーロラに…。肉眼では、白っぽく見えていても、デジカメで写すと空がグリーンだったりします。ゆらゆらとグリーンのカーテン状に出てきたり、空の中心に向かってトルネード状に登っていったり、さまざまな形でオーロラは出現。短い旅行期間の中でオーロラを見るコツは、あきらめずに待ち続けること。寒い中、苦労して待ち続けた後に見るオーロラは本当に神秘的で、一生の思い出になること間違いなしです!