右手が懐に入りやすい形と覚えておく
右前になった理由は所説ありますが、懐に右手を入れやすいように右前になったという説もあります。
右手で衿元に懐紙などを入れる想像をしてみるとわかりやすいでしょう。迷った場合は右手を懐に入れやすい形または、右手で衿を直しやすい形で前合わせをすると覚えておくと間違いがありません。
柄が華やかな方を上にする
衿元に柄がある着物の場合は、隠れてしまう左側の衿より上にくる右側の衿に柄が多く配置されていることが多いものです。衿合わせに迷った場合には、華やかに見える方が上側になるように着付けると良いでしょう。
ただし、上半身に柄がない「留袖」「色留袖」や、無地の単一色の「色無地」、総柄の「小紋」などは当てはまりませんので、注意が必要です。
自撮り写真の反転機能にも注意
スマートフォンのカメラアプリの中には、自撮り用の左右反転機能が付いているものがあります。正しく右前に着物を着ていても、左右反転してしまうことで「左前」に写ってしまうのです。
着物で写真を撮るのは、洋服で撮る時とは気分も少し違いますよね。和服を着てスマートフォンで自撮りをする際には、左右反転機能をオフにして写真を撮るようにしましょう。
浴衣や男性の着物も「右前」が正解
洋服の場合は女性服は右側が上、男性は左側が上に重なるのが一般的であり、両者に差があります。そのため和服も男女で着方に違いがあると考えてしまうかもしれません。
しかし、着物の場合は女性でも男性でも右前に着るのが正解です。また、浴衣も着物と同様に右前に着るようにしましょう。
ここからは、男性の着物の着方と浴衣の着方を詳しくご紹介します。
浴衣も着物も右前に着る
夏祭りや温泉旅館など、着物より気軽に楽しめるのが浴衣の魅力です。浴衣の合わせ方も、着物と同じように相手から見て右側が上に重なる右前です。
浴衣は元々湯上りに着る衣装で、実は正式な和服ではないとされています。そのため、着方に関しても着物と違いがあると考えてしまいがちですが、それは間違いです。
混乱を防ぐために、浴衣も着物も右前と覚えておきましょう。
男性の着物も右前に着る
洋服の場合は、左右の重なりが男女で異なり、ボタンのかけ方も反対となります。しかし、着物は男女の区別なく右前に着るのが正解です。
私たちの多くは右利きであることから、和服を右前に着ることで、裾の乱れを直す際や懐から物を出し入れする際に便利であったとされています。
男女ともに和服の合わせは右前というポイントを忘れてはいけません。
まとめ
「左前」とは、相手から見て左側が上に重なっている状態を指します。「左前」は亡くなった人に着せる死に装束を意味するため、間違って「左前」に和服を着てしまわないように気を付けましょう。
和服の合わせは右前が正解で、浴衣や男性の着物も例外ではありません。相手から見てyの字になるようにと覚えておくと、頭に入りやすいはずです。
日本の魅力を存分に感じられる和服を楽しむために、その着方やマナーに関しても学んでおけるといいですね。
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