こんにちは、editor_kaoです。
最近仕事で銀座に行く機会が多く。週に1度は通っているでしょうか。
コロナ禍ということもあり、昨年はほとんど訪れることがなかったのですが、改めて銀座という街は、とても特別だなと感じています。特に今は外国人観光客の方が減っているので、中央通りが観光バスで埋まっていたとき以前の姿に戻っているよう。私がまだ20代のころ、街を歩く人がみな大人に見えて、やや背伸びをして銀座に行っていたときを思い出します。
特別な気持ちになる「銀座」という街
それは青山や六本木とも、全然違っていて。最も違う点は、どんな着こなしで出かけるか、とても考えさせられる街ということ。どんなに今っぽいおしゃれでも、きちんと感がないのはダメで。どちらかというと、きちんと感に重きをおいて、トレンドはその次になっちゃうくらい(あくまでも個人の意見です)。誰かに教えられたわけでもないのですが、店の佇まいや、店員さんの接客する姿に、敬意を払いたくなるんですよね。特に銀座に本店を構える老舗は、高級店に限らず、とにかく店員さんが優しくて親切なんです。
パンプスを買ったときの忘れられない思い出
かなり前のエピソードなのですが、Domani読者のみなさんも愛用する、銀座生まれのシューズブランドでお買い物をしたときのことです。狙っていたパンプスを試着しに行ったのですが、形が足に合うような合わないような……。歩くと痛いパンプスほどツライものはないので、こちらもいつも以上に選びは真剣。すると店員さんが、実にさまざまな対処法を提案してくださいました。似たようなデザインの別のパンプスを履いてみたり、中敷きを入れてもらったり、ヒールの高さを変えてみたり……。あたって痛い部分にだけパッドを付けることもできたりして、さすが専門店! それまで「痛かったら絆創膏を貼る」アイディアしか知らなかった身としては、目からウロコです。
結局、あれやこれやと長い時間試して、1足買うことにしたのですが、最後にいちばんびっくりしたのが、当日私が履いてきた靴を、磨いてくださったことでした。「簡単に拭くだけになりますが……」とおっしゃっていましたが、別にそのブランドの靴だったわけでもありません。「おお! これが銀座なのか!」と、感じた瞬間です。世界でも、これほどのホスピタリティが備わった街も、そうないのではないでしょうか。
たとえばこれが、ハイブランドで高額の商品を買う場合だったら、わかるんです(ほとんど経験したことないけど)。ジュエリーを購入する際に、シャンパンやチョコレートがふるまわれる、みたいな。でも実際に私が購入したのは2万円くらいのパンプス1足ですし、お店の常連でもありません。金額で対応に差をつけるのも……とも思いますが、すべてのお客様に対して、こういった心配りをするのも、なかなか大変なことではないでしょうか。ほかにもハッとするようなサービスを、お菓子を買うときや喫茶店でお茶するときにも味わったことがあるのですが、そのたびに、こちらも心が温かくなる。それが、私が思う「銀座」という街の印象なんです。
ときには緊張感をもった着こなしも、大人には必要で
さて、長―――い前置きとなってしまいましたが、結局何が伝えたかったかというと、そういう街だからこそ、きちんとしたコーディネートで出かけたいという話でした。オーバーサイズのシルエットや、フラット靴やスニーカーが全盛で、ドレスコードがゆるくなりがちな今ですが、銀座に行くときだけは、普段より少し緊張感をもったコーディネートを選びます。背筋を伸ばして出かけることなんて、そうそうないもの。だからこそ、私にとっては大事な機会なんです。トレンドに流されず、TPOに立ち返る。こういうことって忘れがちだけど、大人の着こなしには、必要な感覚だと思っています。
【今日のひと手間】
ファミリーマートのソックスがバズってますが、個人的にはハンドタオルもおすすめ♪ 吸水性が高いので使いやすく、地厚でタフだから、何度洗ってもへこたれません。色や柄も豊富なので、お買い物ついでにチェックしてみてください。
エディター
editor_kao
大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。ライフスタイルWEBメディアkufura(クフラ)でも「4ケタアイテムで叶えるオシャレ」を連載中。
イラスト/柿崎こうこ